- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Wed, 19 Jun 2024 18:12:32 +0900
- To: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>, 小林龍生 <tlk@kobysh.com>
- Cc: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
山本 様 みなさま 小林 敏 です. Taro Yamamoto さんwrote >お教えいただきありがとうございます。「あ、そう」と言っていれば良いのですね。『当用漢字表』や『常用漢字表』が略字体を「規範」的な文字にしてしまった(特に『常用漢字表』はそれを明朝体で例示してしまった)のは困ったものだと思っていたのですが、「規範」として意識しなくても良いということを知り安堵しました。(略字体自体は必要に応じてどんどん使えば良いと考えますが)。ただ、「同音の漢字による書きかえ」の影響は逃れがたく困ったものですが、規範として意識しなくても良いので、うれしく思います。 建前からいえば,私の書いた通りですが,そのように受け止める人がどれくらいるかは別問題で,実は出版の現場でも“常用漢字表”を規範的にとらえている人は多いのです. そして,問題は読者です.“常用漢字表”の通行字体に慣れてしまっていますので,いまや旧字体の使用は,徐々に少なくなっていて,多くの出版物が“常用漢字表”の通行字体にしないと,読者が読めないという現状があります.ですから,読者を考えると,“常用漢字表”の通行字体を使わざるを得ないとい現状もあります. 以前であれば,古い本から引用する場合,旧字体を使用する例もありましたが,最近は,すべてといっていいくらい新字体です.つまり,“常用漢字表”の通行字体です. “常用漢字表”は告示,つまり国民にお知らせしたものであり,そして,“目安”であること,その字体は正字を示したものではなく,“通行字体”を示したものであるということは,文書の性質からは言えるということです. “同音の漢字による書きかえ”も(“当用漢字表”が制限的だっためにできたものですが),言語は変わるものであるという点では,やむをえないのでないかな.社会にどれだけ定着するかは,その文字によりけりで,例えば,“短篇”と“短編”も,いまもって“短篇”がけっこう使用されており,定着したものと,定着しないもの,混用されているものとがあるように思います.まあ,それにつきあっていくしかないのでしょう.時間が解決していくのでしょう.
Received on Wednesday, 19 June 2024 09:13:52 UTC