- From: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>
- Date: Thu, 20 Jun 2024 00:25:01 +0000
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>, 小林龍生 <tlk@kobysh.com>
- CC: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
小林 様 たびたび返信をいただきありがとうございます。 > そして,問題は読者です.“常用漢字表”の通行字体に慣れてしまっていますので,いまや旧字体の使用は,徐々に少なくなっていて,多くの出版物が“常用漢字表”の通行字体にしないと,読者が読めないという現状があります.ですから,読者を考えると,“常用漢字表”の通行字体を使わざるを得ないとい現状もあります. 『学年別漢字配当表』が『常用漢字表』の字体だけを示しているため、私を含め『当用漢字表』以後に初等教育を受けた世代は、古典学習に精勤した者以外は、旧字体ですらすらと書くことができなくなっています。私も「はてな、旧字体はどうだっけ?」と立ち止まって考えても分からず漢和字典に頼らざるをえないこと、しばしばです。旧仮名遣いも同様で、漢字音の仮名遣いなど完全にお手上げで、やはり辞書か参考書に頼らざるをえません。日常生活で略字体を使うことは効率の面からも自然なことで、現代仮名遣いも、それはそれで有用なものだとは思いますが、どちらか一方を小学一年生の時から憶えさせられる状況は、困ったものだと感じます。 > 以前であれば,古い本から引用する場合,旧字体を使用する例もありましたが,最近は,すべてといっていいくらい新字体です.つまり,“常用漢字表”の通行字体です. 『小林秀雄全集』が完結した後に『新注 小林秀雄全集』を新字体+現代仮名遣いで刊行した時には驚きました。この場合は、両方の版が刊行されているので、読者はどちらの版も買え、選択肢があるので良いのですが。小林秀雄自身が生前に出版社に新字体+現代仮名遣いでの刊行にOKを出していた可能性がないとは言えませんが、私には「え、そんなことがあるの?」と、意外に思えました。 > 時間が解決していくのでしょう. そのためには、規範性をもつ(あるいは規範性があるかのように見なされる可能性が高い)ものは、あまり性急に決めないようにするのが良いように感じます。 山本
Received on Thursday, 20 June 2024 00:25:07 UTC