Re: 全角の歴史

敏先生、

大阪医科薬科大学での実験データから、文節の途中で改行すると前の行に戻って読むことが増えることは分かっています。先に引用した「漢語のように行頭、
行末を強制的に揃えようとすれば、
語は至るところでぶつ切り状態になってしまう。」は、現在の日本語組版の大きな欠点だと思います。木版や肉筆の伝統を蘇らせ、活版の模倣から離れて、この欠点を解消することがデジタルテキストの将来ではないかと期待しています。


> で,ここからが難しいというか判断を要することですが,……
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> もし,プロポーショナルな組版がよいものであり,また,それほど手間がかかならいので,あれば,なぜ一気に書籍でプロポーショナルな組版が一般化しなかったか,という疑問です.3つの可能性が考えられる.
> 1 書籍をつくる人が保守的でなかなか変われない.
> 2 読者が,全角ベタ組になれており,そのために,なかなか変われない.
> 3 全角ベタ組には,慣れ以上に,それなりの読みやすさがある可能性ある.
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木版から活版に変わったとき、明治20年にはこの逆の変化が起こりました。心理的抵抗は凄まじかったはずです(確か橋口さんの論考には具体的な言及があったはずです)。活版は木版を模倣できないので、全面的に切り替えるしか選択はありませんでした。変化を決定づけたのは、活版のコストのほうが圧倒的に安くなったからだと推測しています。幸か不幸か、コンピュータ組版は活版をほぼ模倣できます。したがって、今回はコストは関係ありません。

私は変化を期待していますが、それが起こるかどうかは誰も分からないでしょうね。

村田 真

Received on Monday, 9 October 2023 13:57:33 UTC