Re: 全角の歴史

MURATA Makoto 様
みなさま

 小林 敏 です.

  MURATA Makoto さんwrote

>木田さん、
>
>私には「1.4.1 欧文組版から見た日本語組版の特徴」が、とても活版印刷以降に偏っているように見えるのです。全角・等幅が日本語組版の中心であり、今後の日本語デジタルテキストでもそれは変わらないと謳っているように見えます。

うーん,そうかな?

今,私が書いている部分では,今後プロポーショナルな組版が増える可能性はある,というつもりです.

全角の文字を用い,字間をベタ組(以下全角ベタ組という)にするのは,技術的な制約が強く,特に本文組で,それ以外の組版は,むつかしかったのです.(字送りを均一に留守ツメ組は,技術的の可能であったが,山本さんが指摘するように最適かどうか疑問であった).

それでも何とかしようということで,手の掛けられる見出し等では,全角ベタ組でない配置が,主に手作業で行われていた.

その状況を変えたのでInDesignとOpenTypeです.この組合せで,字形を元に字間を調整する組版の自動化が可能になった.本文は,自動化しないと,経費を考えると,実現できないんです.最近は雑誌や,書籍の一部で,この組版は,けっこう行われています.

で,ここからが難しいというか判断を要することですが,……

もし,プロポーショナルな組版がよいものであり,また,それほど手間がかかならいので,あれば,なぜ一気に書籍でプロポーショナルな組版が一般化しなかったか,という疑問です.3つの可能性が考えられる.
1 書籍をつくる人が保守的でなかなか変われない.
2 読者が,全角ベタ組になれており,そのために,なかなか変われない.
3 全角ベタ組には,慣れ以上に,それなりの読みやすさがある可能性ある.

私は,本を毎日毎日,大量に読んでおり(だいたい月に単行本で40冊から50冊),かつ多くが全角ベタ組でそれに慣れています.ですので,私の意見は参考にならない可能性があるが,やっぱり慣れたものが読みすいということは,私に限れば,いえる.

Received on Thursday, 5 October 2023 04:14:41 UTC