- From: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>
- Date: Mon, 4 Oct 2021 05:48:25 +0000
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>, Yasuo Kida <kida@mac.com>
- CC: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
>>写植にはボディは存在しないので、選択されたレンズによって印字できる仮想的な全 >>角の正方形の大きさと等しい歯数(印画紙を巻き付けたマガジンが、一文字印字する >>ごとに移動する距離を、回転する歯車の歯数で表した数)を設定して、その一定字送 >>り量で組むことを、ベタと言いました。 > 私の写植のベタ組は,指定された文字サイズの決められた字幅と同じ歯送りで印字していくことと理解しています. 私が上に述べたのは、特殊な文字ごとの字幅設定を行わないで、和文を全角の仮想ボディと想定して、組むという意味でした。特殊な文字ごとの字幅設定を行う場合に何が「ベタ」かと言えば、仰られているように「指定された文字サイズの決められた字幅と同じ歯送りで印字していくこと」となりますから、結果的には、同じことを意味していると思います。 > 16級以外はどうしたかといえば,比例計算で,しかも古い機種で最低の歯送りが1歯の場合は,小数点以下は四捨五入していたので,文字サイズによっては欧文の字間は問題になることがあった.ですので,私は16級で印字し,製販の段階で縮小していた. それは大変手間のかかる作業だったと察します。 残念ながら、16級で印字した場合でも、根本的な問題がありました。 上で書かれているように、日本の写植文字盤の欧文が全角の1/16が最小の字送り量だったため、多くの活字鋳植機用の欧文書体が1/18で設計されていたことと、食い違っていたことです。これは、文字のデザインを修正し、全体の大きさも調整しなければ、解決できませんが、1/18 -> 1/16なので、字幅の解像度が粗くなってしまうという避けられない問題がありました。セリフのある書体の場合であれば、(極端なケースで等幅のタイプライター書体で行われているように)セリフの長さを微妙に変えたり、「O」や「G」などのカウンタースペースをもつ文字の字形を微妙に調整することで、字幅の不一致の問題を分かりにくくすることは可能でしたが、セリフのないサンセリフ書体の場合、例えば、「i」、「l」、「I」などの文字では字形の調整が不可能なため、全体の大きさで調整するしかなくなりますが、他の文字とのバランスも考慮しなければならないため、なかなか最適化することは困難です。 他方で、1970–80年代の欧文専用のコンピュータ化されたシステムでは、1/18の3倍以上の字幅の精度(例えば1/54、1/432、現在では1/1,000や1/2,048)を持っていましたが、これは、光学的写植やアウトラインフォントのもう一つの問題点、つまり活字と違って、一つのマスターのデザインから、光学的あるいは電子的に、拡大・縮小することで、幅広い範囲の文字サイズでの印字を可能にしていることに起因するスペーシング上の欠点(印字サイズによって詰まり過ぎたり空き過ぎたりする)を、一律にスペーシングやトラッキング(つまりテキスト全体をほんの少しだけ詰めたり、空けたり)することで、緩和する意図があったと思います。(もちろんアウトラインフォントが使われるようになって以後も、システムによっては、サイズごとに異なるマスターフォントを持っているものもありましたし、現在のデジタルフォントでも、主な利用サイズのレンジ[キャプション、本文、見出しなど]ごとにフォントを別に用意している欧文フォントも多数ありますが。) 参考まで 山本
Received on Monday, 4 October 2021 05:48:48 UTC