- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Wed, 17 Sep 2025 07:39:47 +0900
- To: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>, JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
Taro Yamamoto 様 小林 敏 です. コメント,ありがとうございます. 2桁のアラビア数字の前後を空けないという処理は,活字組版時代から行われてきました.それは,四分スペースを入れる処理はできるだけ避けたい,また,主に行の調整処理を避けたいということからと思います. そのことは,現在は考えなくていいのではと,私は思っています. 行送り方向のラテン文字の位置は,どれでも何がしかの不満がでるものだと思っています.ある意味,適当な(いいかげん,という意味と,適切の両方の意味)位置に決めないといけない,ということで,どれが望ましいか,何か言及した方がよいかもしれない.つまりキャップハイトの中心にそろえるというのがいいかもしれないという言い方です.それと,山本さんのコメントにある,これだと上によって見えるよ,みたいなことを追記してもよい.(ここは方式だけ示して,ある種の価値判断から逃げた書き方をしています.) ところで,最近の書籍の多くというか,ほとんどは,私の見るところ,ラテン文字のデセンダーの下端と,和文のボディの下端,縦組でいえばラテン文字のデセンダーの左端と,和文のボディの左端の位置を合わせているように見えます.特に縦組では,左に寄り過ぎているように見え,私は,いやだなと思っています.山本さんは,これをどう評価しますか? Taro Yamamoto さんwrote >コメントします。 > >> - 和文のフォントの字面の大きさ.ボディに対して,そのフォントの平均的なサイ >> ズが大きい場合は,視覚的な和文の文字間は狭くなるので,それとのバランスから, >> 空ける量は狭くてよい.空けないという選択もできる. > >和欧間のスペースは、文章や複数の単語を含む欧文が和文に挿入されている場合には、 >欧文中のワードスペースとのバランスも考慮した方が良いと考えます。そのため、私 >は個人的には和欧間のスペースを調整不可として固定するのには反対ですが、固定し >た場合でも、引用欧文中のワードスペースとのバランスが著しく異なることにならな >いようにすることが望ましいと思います。その意味からも、標準的な欧文ワードス >ペースを1/3 EMとするような、調整の結果として空きすぎる結果を将来しやすい慣行 >にも反対です。(JIS X 4051などで決められた1/3 EMというのは、一時期のChicago >Manual of Styleのバージョンにあったワードスペースに関する文章全体をよく読まず >に、その一部分だけを杓子定規に信じ込んだ結果だと推測します。欧文のワードス >ペースは、書体デザイン、主にx-heightの高さに依存して、最適値が選択されるべき >と考えます。大文字だけの場合にはCap. heightを考慮することになります)。 > >> 和文とラテン文字との字間を空ける処理を選択した場合,和文とアラビア数字の間 >> も,原則として同じ処理を行う. >> 注 全角文字のアラビア数字 全角文字のアラビア数字を横組で使用する方法もあ >> る.特に1桁の数字に限り使用する方法がある.全角文字のアラビア数字は,字詰め >> 方向にいくらかの余白がある.したがって,この数字を使用する場合,句読点の前 >> 後,括弧の内側などに配置するとき,余分な余白が発生するという問題がある. > >写真植字では、和文に含まれる欧文とアラビア数字のグリフは、和文に合うようにデ >ザインされていますが、純粋な欧文デザインの観点からは、妥協的な処理であって、 >むしろ印字作業の効率化のために採用されたものと考えられます。その場合、全角の >アラビア数字を1桁で組む場合、まだ半角のアラビア数字グリフを2桁で用いる場合に >は、必ずしも、その前後に和欧間の1/4のスペースを入れるとは限らないと思います。 > >> - 和文とラテン文字のボディの中心を揃える.活字組版では,長い間,この方法で >> 処理してきた.または,和文文字の字面とラテン文字の字面の中心をそろえる,具 >> 体的には,和文文字はボディ,ラテン文字の字面の大きさは,デッセンダーライン >> とアッセンダーラインの距離と考える. > >ボディを揃える方法では、多くの場合、欧文が和文と比較して上がって見える傾向が >生じると思います。 > >> - 和文のボディの中心とラテン文字のベースラインとキャップラインの中心をそろ >> える.つまり,和文とラテン文字の大文字の中心をそろえる.ラテン文字の大文字 >> を使用する例が多い場合は,この選択が考えられよう. > >この場合は、必ずしも常に最適解とはいえないまでも、多くの場合において、通常の >大文字+小文字の欧文との混植においても、妥当な結果が得られると考えます。 > >> - 和文のボディの中心とラテン文字のベースラインとミーンラインの中心をそろえ >> る.つまり,和文とラテン文字の小文字(短字)の中心をそろえる.ラテン文字の >> 小文字を使用する例が多い場合は,この選択が考えられよう. > >この場合、小文字だけの場合はともかく、大文字+小文字の通常の欧文では、欧文が >上がって見える場合が多くなると予想します。 > >> - 和文文字にベースラインが設定されている場合,例えば,ボディの上端から88% >> の位置とラテン文字のベースラインとをそろえる. > >従来の日本語PostScriptフォント及びCFFベースのOpenTypeフォントでは、和文の全角 >ボディの底辺は、欧文ベースライン(y = 0)よりも- 120の位置に、多くの場合、揃 >えられていました。そのため、和文書体に含まれる欧文のデザインも、それを前提に >大きさと太さと字幅を調整して、デザインされてきました。他方で、そのことを前提 >にデザインされていない欧文書体の場合には、この欧文ベースラインと和文の全角ボ >ディとの相対的な位置関係で、良好に見える必然性はありません(偶然的な可能性は >ありますが)。 > >また、欧文と和文との関係は、上に述べたように、相互の位置関係だけでなく、文字 >の大きさと文字の太さについても、和文と欧文との視覚的な均衡を図ることで最適化 >されるものと考えます。 > >山本太郎
Received on Tuesday, 16 September 2025 22:41:02 UTC