- From: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>
- Date: Tue, 16 Sep 2025 08:18:48 +0000
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>, JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
- Message-ID: <DM8PR02MB8070A33D2C883E7F41A219CBCE14A@DM8PR02MB8070.namprd02.prod.outlook.com>
コメントします。 > - 和文のフォントの字面の大きさ.ボディに対して,そのフォントの平均的なサイズが大きい場合は,視覚的な和文の文字間は狭くなるので,それとのバランスから,空ける量は狭くてよい.空けないという選択もできる. 和欧間のスペースは、文章や複数の単語を含む欧文が和文に挿入されている場合には、欧文中のワードスペースとのバランスも考慮した方が良いと考えます。そのため、私は個人的には和欧間のスペースを調整不可として固定するのには反対ですが、固定した場合でも、引用欧文中のワードスペースとのバランスが著しく異なることにならないようにすることが望ましいと思います。その意味からも、標準的な欧文ワードスペースを1/3 EMとするような、調整の結果として空きすぎる結果を将来しやすい慣行にも反対です。(JIS X 4051などで決められた1/3 EMというのは、一時期のChicago Manual of Styleのバージョンにあったワードスペースに関する文章全体をよく読まずに、その一部分だけを杓子定規に信じ込んだ結果だと推測します。欧文のワードスペースは、書体デザイン、主にx-heightの高さに依存して、最適値が選択されるべきと考えます。大文字だけの場合にはCap. heightを考慮することになります)。 > 和文とラテン文字との字間を空ける処理を選択した場合,和文とアラビア数字の間も,原則として同じ処理を行う. > 注 全角文字のアラビア数字 全角文字のアラビア数字を横組で使用する方法もある.特に1桁の数字に限り使用する方法がある.全角文字のアラビア数字は,字詰め方向にいくらかの余白がある.したがって,この数字を使用する場合,句読点の前後,括弧の内側などに配置するとき,余分な余白が発生するという問題がある. 写真植字では、和文に含まれる欧文とアラビア数字のグリフは、和文に合うようにデザインされていますが、純粋な欧文デザインの観点からは、妥協的な処理であって、むしろ印字作業の効率化のために採用されたものと考えられます。その場合、全角のアラビア数字を1桁で組む場合、まだ半角のアラビア数字グリフを2桁で用いる場合には、必ずしも、その前後に和欧間の1/4のスペースを入れるとは限らないと思います。 > - 和文とラテン文字のボディの中心を揃える.活字組版では,長い間,この方法で処理してきた.または,和文文字の字面とラテン文字の字面の中心をそろえる,具体的には,和文文字はボディ,ラテン文字の字面の大きさは,デッセンダーラインとアッセンダーラインの距離と考える. ボディを揃える方法では、多くの場合、欧文が和文と比較して上がって見える傾向が生じると思います。 > - 和文のボディの中心とラテン文字のベースラインとキャップラインの中心をそろえる.つまり,和文とラテン文字の大文字の中心をそろえる.ラテン文字の大文字を使用する例が多い場合は,この選択が考えられよう. この場合は、必ずしも常に最適解とはいえないまでも、多くの場合において、通常の大文字+小文字の欧文との混植においても、妥当な結果が得られると考えます。 > - 和文のボディの中心とラテン文字のベースラインとミーンラインの中心をそろえる.つまり,和文とラテン文字の小文字(短字)の中心をそろえる.ラテン文字の小文字を使用する例が多い場合は,この選択が考えられよう. この場合、小文字だけの場合はともかく、大文字+小文字の通常の欧文では、欧文が上がって見える場合が多くなると予想します。 > - 和文文字にベースラインが設定されている場合,例えば,ボディの上端から88%の位置とラテン文字のベースラインとをそろえる. 従来の日本語PostScriptフォント及びCFFベースのOpenTypeフォントでは、和文の全角ボディの底辺は、欧文ベースライン(y = 0)よりも- 120の位置に、多くの場合、揃えられていました。そのため、和文書体に含まれる欧文のデザインも、それを前提に大きさと太さと字幅を調整して、デザインされてきました。他方で、そのことを前提にデザインされていない欧文書体の場合には、この欧文ベースラインと和文の全角ボディとの相対的な位置関係で、良好に見える必然性はありません(偶然的な可能性はありますが)。 また、欧文と和文との関係は、上に述べたように、相互の位置関係だけでなく、文字の大きさと文字の太さについても、和文と欧文との視覚的な均衡を図ることで最適化されるものと考えます。 山本太郎
Received on Tuesday, 16 September 2025 08:18:56 UTC