さらにコメントします。
> 次に,縦組でのラテン文字の正立は,主に1文字または,大文字の頭字語で,小文字を含むものは避けた方がよいのか.いや,それは選択の問題なのか.(これは山口さんの見本組を見ればわかるように,小文字を含んだラテン文字の正立は,特に指示をしない限り,字間が均一にならず,乱れるという問題がある.)
この点についての、私の考えは以下のとおりです。
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全角欧文・全角数字を縦組みで正立させる場合
主に、大文字の頭文字や組数字に限定して用いるのが望ましい。ただし、小文字が必要な場合には、縦組みにおいて天地方向のスペーシングが自動調整可能なフォントを対応するアプリケーションで用いることが望ましい、その場合でも、文字によっては前後の文字との衝突が避けられない場合や前後のスペースが不均等になる場合がある。その場合にはグリフの前後のスペースをマニュアルで調整する必要がある。また、そのようなフォントとアプリケーションが用いられない場合には、より高い頻度で、文字によって前後の文字との衝突が避けられない場合や前後のスペースが不均等になる場合があるため、マニュアルで天地方向の位置調整が必要となる。
プロポーショナルの数字やラテン文字を縦組みで正立させる場合
主に、大文字の頭文字や組数字に限定して用いるのが望ましい。ただし、小文字が必要な場合には、文字によっては前後の文字との衝突が避けられない場合や前後のスペースが不均等になる場合があるが、それを避けるには、マニュアルで天地方向の位置調整が必要となる場合がある。
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> その上で,どう処理するか,というか,ラテン文字のボディ(文字の高さ)をどう説明するかを含め,その他の処理について議論したらどうでしょうか.
プロポーショナルのラテングリフの天地方向のスペーシングが不可能なのは、それらにはボディが存在しないためなのです。ですから、ボディが無いことを説明する必要があります。
それに対して、全角欧文・全角数字のボディは、和文のボディと同じとみなしていますが、それもまた、実際のグリフ形状を無視した便宜的なボディにすぎないので、上記のような制約がある程度は避けられません。ただし、全角欧文・全角数字の場合には、慣例的に’VORG’を用いて、グリフの縦方向の位置を調整して、全角の中央にグリフを配置するようにしているフォントもあります。
また、'vpal'はプロポーショナルの欧文・数字には用いることはできません。なぜなら、横組用の'palt'も縦組用の'vpal'も、等幅のボディの存在を前提としていて、フォントの中のグリフの印字前と印字後のオフセット値を利用して、仮想的なプロポーショナルな字幅情報を得ているからです。つまり、プロポーショナルでないグリフをプロポーショナルにすることが、'kern'や'vkrn'の機能ということです。
基本的に、欧文や数字を縦組みで正立させる場合には、全角欧文・全角数字を用いるのが、もっとも妥当と考えます。
山本