- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Wed, 19 Jun 2024 07:31:45 +0900
- To: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>, 小林龍生 <tlk@kobysh.com>
- Cc: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
小林 様 山本 様 小林 敏 です. Taro Yamamoto さんwrote >各位、 >常用漢字の「*」の付いている字体について、コメントします。 > >例えば,“淫”(面区点1-1692)という文字は,“ノ”の下の三点は,常用漢字表では,下に広がった字形ですが,“JIS X 0213”の例示字形では,上が広がった字形です.つまり,“JIS X 0213”では,上が広がった字形でも,下が広がった字形でも包摂されていると考えられます. これは,私の認識違い.補遺で“JIS X 0213”で表示字形を修正しているので,“常用漢字表”と一致している. >しかし,“常用漢字表”では,その違いは,デザイン差には例示されていなく,筆写の楷書字形と印刷字形の違いという項目で説明されている字形です.印刷字形として,上が広がった字形でも,いいとは,言っていないと思います. > >『常用漢字表』の「表の見方及び使い方」の末尾に、「付 情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で、本表の通用字体とは異なる字体(中略)を使用することは差し支えない」という記述があります。これはJIS X 0208及びJIS X 0213の規格票の例示字形の変更の歴史的経緯とそれらが採用した包摂規準とに関連していると推測しますが、上で取り上げられている「*」の付いている字体の内、少なくとも現時点で例としてチェックした下記のJIS X 0213が包摂するJIS X 0213:2004の例示字形とそれ以前の規格票のバージョンの例示字形に対応する字体については、どちらの字体も、印刷字体としてJIS X 0213の包摂規準だけでなく常用漢字においても、上記の『常用漢字表』の「表の見方及び使い方」の末尾の「付」により許容されると考えられます。ただし、これはすべての「*」の付いている字体については当てはまらないと思いますが。また、下に示す11文字の例は、あくまで、このことがあてはまる文字の一部だけを例示したものですべてではありません。参考まで。 >山本太郎 問題は,“JIS X 0213”で包摂しているといい,“常用漢字表”で,“使用することは差し支えない”という言い方が同じかどうか,という解釈の問題だと思います. ところで,“謎”は,表では2点しんにゅうであるが,1点しんゅうで印刷されていれば,それでよいということについて,“字体の許容”という言い方をしています.これと“使用することは差し支えない”は同じかどうかという問題でもあります. さらに,“常用漢字表”の“表の見方及び使い方”の12の(3)には,“*”のついた字の多くは,……通用字体の扱いに字体上の差異があるものである”という説明がある.また,山本さんの引用した“使用することは差し支えない”も,山本さんの引用にもあるように,“情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で”という限定がついている. ですので,山本さんの資料の“JIS 1990”の字形での表示があった場合,それは,“JIS X 0213”では,規定された通りの字形と考えてよいが,“常用漢字表”に規定された通りの字体(“通用字体”)かといえば,“常用漢字表”で“通用字体の扱いに字体上の差異がある”といっているのであるから,“JIS 1990”の字形は,“常用漢字表”に規定された通りの字体(通用字体)ではないと言えるのではないか.ただ,“情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で”使えない場合は,それはそれでよい,といっているだけだ,という考え方が出る可能性があるということです.言い換えれば,通用字体ではないが,ない場合は,使ってもいいよ,といっているのではないか,そこに包摂とは意味の違いがあるのではないか,ということです. これまでの,歴史的ないきさつがあるので,“JIS X 0213”と“常用漢字表”で,できるだけ一致させるために苦労しているなあ,と思います.それはそれでやむをえないと思います.ただ,“常用漢字表をJIS X 0213の《きれいな》サブセットと見做しえる”かといえば,少し疑問があるよ,ということです.
Received on Tuesday, 18 June 2024 22:33:46 UTC