Re: 組版=テキストレイアウト?

木田さん


  *   組版、とレイアウト、は文字に限定するとほぼ同じ意味でしょうか? さらに、jlreq-dで「組版」という用語を「レイアウト」または「テキストレイアウト」に置き換えても問題ないでしょうか?

原義としては版を組むのが組版でしょうが、写真植字以後、版下を作成する素材あるいは版を構成する素材としてtype(活字)で組まれたテキストのブロックまたはその作成のためにtypeを組むことを、組版と呼んでいるように感じますが、いかがでしょうか。その意味で、組版に相当する英語は、typesettingになるのではと察します。ただし、typesettingはまったく正しく間違いではないと思いますが、そういうと、詳細かつ個別的な技術を指示しているように感じます(日本語だと「植字」に近いか)。もう少し大雑把に活字を配列しているのだ、という意味を含めようとすると、text compositionがふさわしいように思えます。


それに対して、英語のlayoutは、あくまで紙面をどうデザインするか、という意味の言葉です。(下記語源参照)そして、印刷での用例は1910年と新しく、デザイナーと組版・印刷者との分業が確立されてからの用語に思われます。
https://www.etymonline.com/word/layout#etymonline_v_30809
[https://www.etymonline.com/graphics/header.jpg]<https://www.etymonline.com/word/layout#etymonline_v_30809>
layout | Etymology of layout by etymonline<https://www.etymonline.com/word/layout#etymonline_v_30809>
"configuration, arrangement," 1852, from the verbal phrase; see lay (v.) + out (adv.).… See origin and meaning of layout.
www.etymonline.com

そのことも考えますと、レイアウトはより大域的に、ページや見開きの中に、文字や図版や表や写真をどのように配置するかということを意味しているのではないでしょうか。テキストレイアウトはそこからテキスト以外の要素を除いたもののように思えますが、少し曖昧にも感じられます。(活版時代の用語については私は詳しくありませんが、組まれたものを配置するという意味では、「大組」がレイアウトに近いかもしれません)。


  *   質問の意図は、書いていて、「組版」という用語はどのくらい一般的なのかな、「テキストレイアウト」の方が分かりやすい可能性はある? と思ったことです。例えば、リフローを起こすのは、環境に合わせて柔軟なレイアウトがなされるから、と言った方が分かりやすそう。

上記の理由から「レイアウト」は曖昧なので、止した方が良いのではないでしょうか。また、レイアウトが変わってもリフローが起こるとは限らず、レイアウトの変化だけが改行位置の変化を引き起こす原因になり得るわけでもありません。

山本

Received on Monday, 6 May 2024 23:58:41 UTC