RE: 全角の定義の再提案

津田様

私はここでの議論は、個別の書体デザインにおいて、個別のグリフがどのようにデザインされているかどうか、からは独立していると考えています。
主要な日本の文字が「全角等幅」の仮想ボディを基準の大きさ及び揃えの基準位置として参照してデザインされているか、あるいは等幅であっても「condensed/expanded」な仮想ボディを基準にしているか、あるいは個別のグリフが別々の固有の字幅を持つ「proportional」としてデザインされているか、が議論されてきましたが、ある特定の書体・フォントが、それらの3つの内の「全角等幅」あるいは「condensed/expanded」のどちらかに分類できたとしても、それは、その書体・フォント中のすべてのグリフ及びグリフの形のすべての部分が、全角や長体や平体の仮想ボディの範囲内に収まっている、あるいはそれらの仮想ボディの境界線の近傍にすべてぴったりと収まっていなければならない、ということではなく、それぞれのデザインの意図や使用目的や個別の特性に応じて、いろいろな場合があることは当然のこととして考えている、と思います。全角正方形を基準にデザインされている書体であっても、ご指摘のように、字面の小さな書体もあれば大きな書体もあるでしょうし、その中には全角のボディから食み出る部分のあるグリフもあるかもしれません。

このことは、プロポーショナルの欧文書体の場合でも、サイドベアリングが大きめ設定されている字間がゆったり目の書体もあれば、その反対の書体もあり、また、普通のフォントでもイタリック体やスクリプト書体のグリフなどでは仮想ボディから文字の一部が大きく飛び出ているものがあるのと同じことですが、その場合に、それぞれのグリフに設定されている仮想ボディや字幅の議論は、個別のデザインや個別のグリフからは、独立して議論することができます。

ですから、津田様が一方で「“全角文字”の字幅は、仮想ボディのサイズと同じ1000に」すると書かれていることがあてはまるフォントがあった場合に、そのデザイン上の必要から「仮想ボディからはみ出すことも厭わない」ことがあったとしても、何らここでの議論における全角や半角の議論と矛盾することはないと思います。(これまで一般に用いられてきたほとんどの日本語フォントについて、このことがあてはまると思いますし、それには津田様がサンプルとして示してられる書体も含まれると考えます)。

山本



From: atsuda@fontworks.co.jp <atsuda@fontworks.co.jp>
Sent: Monday, October 23, 2023 6:26 PM
To: kida@mac.com; binn@k.email.ne.jp
Cc: public-i18n-japanese@w3.org
Subject: Re: 全角の定義の再提案


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みなさま

フォントワークスの津田です。
全角、半角について、少し違和感を感じておりましたので、書類にまとめさせていただきました。
現状の内容から少しずれますが、確認とさせていただきたく存じます。
(少し前に、フォントごとに違うという議論があったので、
乗り遅れた感もありますが。)

よろしくお願いいたします。

差出人: 木田泰夫 <kida@mac.com<mailto:kida@mac.com>>
日付: 月曜日, 2023年10月23日 16:58
宛先: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp<mailto:binn@k.email.ne.jp>>
CC: public-i18n-japanese@w3.org<mailto:public-i18n-japanese@w3.org> <public-i18n-japanese@w3.org<mailto:public-i18n-japanese@w3.org>>
件名: Re: 全角の定義の再提案
インラインで:

> 2023/10/21 8:29、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp<mailto:binn@k.email.ne.jp>>のメール:
>
> 木田泰夫 様
> みなさま
>
>  小林 敏 です.
>
> 木田泰夫 さんwrote
>
>> * 同様に「行送り方向の文字の幅」を、そこで使用しているフォントの漢字の行 送り方向の幅,フォントに漢字のない場合には仮名の行送り方向の幅として定義する
>
> これも前のメールに書いたように,いらないんではないかな.

以下の敏先生のご説明含めて了解です。なしで。

> 行送り方向について,全角とか二分などといった言い方はします.しかし,字詰め方向の全角を相対化したので,行送り方向については,全角や二分という言い方はやめた方がよい,と思います.行送り方向か,字詰め方向か,どっちのサイズが基準かあいまいになるからです.
>
> そして,行送り方向について,つまり行間について,行送り方向の文字の外枠の大きさを基準として説明することは,ありますが,字詰め方向は,はるかに少ない.そして行送り方向について全角とか二分といわないなら,基準も不必要になる.ちょっとくどいが,“そこに使用されている文字について,行送り方向の文字の外枠のサイズ”といえばよい.ただ,ちょっとあいまいといえばあいまいであるが.ただし,その厳密さの要求は,字間に比べると,行間は,はるかにあいまいでよい.
>
> ここまで考えてくると,字詰め方向についても,全角,二分,四分という用語も使用しない,という方法も考えられるが,やっぱり全角,二分,四分という用語は便利なので,もしすこし,その定義をどうするか,ねばりましょう.

👍

> 木田泰夫 さんwrote
>
>> また、jlreq-d 上では「フォント」とは、単一の名前のついたフォントだけではなく、CSSの@font-faceで定義されたもの、OS が同様に構成するもの、InDesign上で定義できるもの、なども含めパラグラフに統一的に適用されるものを「フォント」と考えれば良いかと。
>
> これは,考えなくていいと思う.つまり,文字クラスごとにフォントを指定するものだと思いうが,その方法ではなく,“span”ダグで名前をつけてフォントを指定しても実現できる.であるならば,フォントごとに,全角の意味が実現できた方がよいし,それがいいいのではないかと私は思うのですが,どうでしょうか?

 「文字クラスごとにフォントを指定するものだと思いうが」の部分、結果としてはそうなるのですが、手順としては異なります。例えば、単純化すると、システムが、仮想的なフォントを「まず Helvetica、そこになければヒラギノ」という形で定義します。実際にはもっと複雑ですが、要は複数のフォントを使って仮想フォントを構成し、この仮想的なフォントがテキストに適用される、という形です。

> フォントごとに,全角の意味が実現できた方がよいし,それがいいいのではないかと私は思うのですが,どうでしょうか?


下のようなシナリオをもとに、動的に構成された仮想フォントも、ファイルとして静的に存在する、いわゆるフォント、も、同じものだとみなすべきだと考えます。

例えば、A:「ヒラギノゴシック」というフォント、それを90%長体にした B:「ヒラギノゴシックコンデンスト」、また、A と B を組み合わせて、漢字にA、仮名にBを使った C:「ヒラギノハイブリッド」というフォントがあったとします。

ある段落に対して、漢字に A、仮名に B を使った仮想フォントを適用するとします。この場合の組版と、その段落に対して C を適用した場合の組版は異なるべきでしょうか? おそらく同一であるべきでしょう。仮想フォントのシナリオで、 A と B に異なる「全角」を適用してしまうと、C とは結果が異なってしまいます。

いかがでしょう?

木田

Received on Monday, 23 October 2023 22:46:25 UTC