Re: 行長は全角の整数倍であらねばならないか

木田さま、敏さま、みなさま、
小林龍生です。

木田さんの、「タイトルを変えました」で、ストンと落ちました。
大切なことは、行長を全角の倍数にすることではなくて、読みやすく不自然にならないように、時間は適度に詰めて(原則ベタ、フォントのデザインによってはやや詰め)組み、行間も適度に開けること。
従前の活版組版から、杉浦康平さんを中心とする写植の詰め組への移行、中村征宏さんのナール(詰め組が不要な本文書体)の開発という流れを踏まえれば、行長が「全角の整数倍であらねばならない」などということは、ぜ〜んぜんない、ということは明らか。
jlreq-dにおいては、「日本語の読みやすさとは」みたいな感じで、字間、行間、マージンの問題を、(Natの言う)ベストプラクティスとからめて書いておくのがいいのかな。ま、もう少し、先の議論だけれど。

2023年8月31日(木) 8:37 Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>:

> 木田泰夫 様
>
> 小林 敏 です.
>
>   木田泰夫 さんwrote
>
> >もしアキが大きな問題なら、禁則、ルビ、英数字などのプロポーショナル要素によっ
> >て行の調整が頻繁に入るような場合はどうなんでしょう? アキを統一したければ、
> >両端揃えよりも行頭揃えの方が良いわけで、まさにこの理由でアクセシビリティ対応
> >の欧文は行頭揃えを選択できる必要があります。
>
> >もちろん、整数倍かどうかは全域にわたるアキのデフォルト状態を決め、行の調整は
> >そこからばらけるという問題なので、同じには扱えませんが、全域にわたって同じよ
> >うに空く方が、ばらけるよりはまだ問題は小さいのではと想像します。ばらけるのは
> >両端揃えを選択したら不可避です。つまり整数倍かどうかは、その不可避の問題より
> >は小さな問題である、と。どうでしょう?
>
> >ところで、本文ではなくてタイトルの場合はずっと短いので影響は大きくなりますが、こ>の場合には両端揃えにはならないですかね?
>
> 1
> 禁則、ルビでの行の調整処理は多く発生しないが,横組で英数字ではテキストによりけりですが,そのような場合はあります.(この問題は,前のメール“行長とマージン”にも書いておいた)
>
> 活字組版では,そのために英数字が挿入されても行の調整処理がでないようにする工夫がされていました.
> アラビア数字の字幅に二分のものを使う.今でもモリサワのリュウミンの付属書体のアラビア数字の字幅は二分です.
> ラテン文字の小文字で多くのものが二分のフォントを使う.
>
> 2 次に行頭そろえの選択について
>
>
> 日本語組版で,テキストの状況にもよりますが,行頭そろえを選んでも,多くの行で行末がそろう.ほんの一部だけの行末が空いている.これが困る.ラテン文字の行頭そろえでは,すべての行の行長が違う.つまり,違うことが,ごく当然になる.一部だけの行末が空いていると,何故という疑問を抱かせる可能性がある.次に,これは意見が異なるかもしれないが,この一部だけの行末が空いているのは,見た目の体裁があまりよいものではない,という考え方もある.もう1点,多くの読者は行末がそろっているものになれている,特に紙に印刷されたものでは.ただし,この状況はWebでは変わってきていると思う.
>
> 3 字間を空ける調整は,あまり問題とならないか.
>
> 描画の演算処理に負担がかかる可能性があるが,これは私ではわからない.特にデータ量が多くなければ問題とならないとは思う.
>
> 次に,読む際の妨げになるかならないか.
>
> これは,人により,感じ方は事異なる.私は職業柄,目が訓練されており,今でも,その影響が残っているので,一般化はできないが,以下のようなことは感じている.
> ツメ組,アキ組のものも一部で行われている.これも調整量によるが,こうした場合,読むスピードと,文を理解する程度が落ちる(これはかなり言える).
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> 行の調整処理で字間が空いていると,それは量にもよるが,けっこう気になる(けっこ細かい字間調整でも気が付く).つまり,読む際に,そこでスピードが変わる.最も,数学の本を1行,1字単位で,数行を何分もかけて読む場合は問題にならない.これに対し,一般の読み物は,流れるように,かなりのスピードで読むが,この際に,ちょっと,つっかえる感じになる.
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> ただ,これは私の場合で,ずっと以前ですが毎日新聞のエコノミストがDTPに変え際に,極端なツメ組にした.とても読みにくくて,手紙を書いた記憶がある.すこし後で,ツメ組は,かなるゆるやかなものに変わった.その時,息子も読んでいたので,変わったけど,読みにくくないか,と聞いたが,何も感じていなかったようである.
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> また,だいぶ前に校正の教師を短時間やったことがある.この時,字間の調整や,約物の詰めた箇所を見つけることが,受講生は最初はなかなかできなかった記憶がある.
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> ということは,一般の人が字間のアキや約物が詰まることには,程度問題であるが,それほど気にならない可能性も考えられる.
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> もっとも字間の調整はフォントにもよる.一般の明朝体の仮名では,最初から,ベタ組でもいくらか空いている.活字組版では漢字ではなく,仮名の字間の調整を優先した.つまり,アキがないものを調整するのではなく,アキが少しある箇所の方が,調整しても気が付きにくいということである.ところで,最近のフォントは,仮想ボディ一杯のものが多くなっている.こうしたフォントでは,逆に字間の調整は,気になるかもしれない.
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> 最後に,タイトルは,一般に字数が少ないので,行頭そろえにする.長くなった場合,2行,3行にするが,この場合も同様です.特に字下げした場合など,行末まで組まない.行末もあけないとバランスが悪い.本文とは異なります.折り返し位置も,自動ではなく,手動で決める.(あれ,これ変動レイアウトの場合,どうするのかな?)
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Received on Wednesday, 30 August 2023 23:56:19 UTC