Re: JLReq-D: Fonts Section [DRAFT]へのコメント

敏先生、皆さま

ご質問への答えは下に埋めます。

From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
Sent: Wednesday, December 7, 2022 20:14
To: Nat McCully <nmccully@adobe.com>; 泰夫 木田 <kida@mac.com>; public-i18n-japanese <public-i18n-japanese@w3.org>
Subject: JLReq-D: Fonts Section [DRAFT]へのコメント

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Nat McCully様
みなさま

 小林 敏 です.

これまで,いろいろと疑問に思っていたことが理解できそうで,とても参考になるドキュメントだと思います.

いくつか質問がありますが,一度にできないので,複数回に分けてコメントさせていただきます.

最初に全体的な事項,ラテン文字との混植の問題.

和文とラテン文字の混植は,それぞれの文字設計の考え方が大きく異なるので,簡単ではありません.ラテン文字には,大文字,小文字の短字(acemnなど),さらにAscentやDescentのある字があります.それぞれと和文の合わせ方は異なります.これらのどれかに限られていればよいのですが,そうもいきません.ですので,大文字などの使用を考慮しながら,最も使用の多い小文字の短字を主に考えるということになるかと思います.

次に行送り方向の位置も,縦組と横組では異なります.かつて活字組版の時代に9ポイントの本文に括弧書きなどを8ポイントを使用したことがあります.0.5ポイントのインテルがなかった(実はあったがあまり一般的でなかった).そこで,1ポイントのインテルで,縦組は右側に寄せ,横組では下側に寄せて配置していました.
縦組みと横組みの違いについてとても興味があります。後ほど情報を詳しく聞きたいです。できればうちのエンジンにそういう高度な対応入れていきたいです。
つまり,この慣行に合理性があるということであれば,ラテン文字を組み合せる場合にも,横組は多少は下側に下がっていても多少は問題は避けられる.しかし,逆に縦組では左寄りになるのは,あまり望ましくないということつながる可能性があります.最近の例では,特に縦組で左に寄りすぎている例が多いのですが,これは見た目のバランスがよくないと思っています.

以下は,いくつかの質問です.

  Nat McCully さんwrote

> What has been the state of the art until now?
の中の以下
> The font Ascent and Descent add up to equal the Ideographic Embox....

活字を考えると,Ascentの上側,Descentの下側にすこし余白があるのではないか?
これは'd'と'p'と関係するascentとdescentを考えればボディを示すsTypoAscenderはそれより高くなっており、余白は少しあります。私が書いたascentとdescentは実はsTypoAscenderのメトリックスのことでした。
>Origins of the Digital Font’s Ideographic Embox
のなかの以下

> At that point the term “virtual body” will mean a type body equal in “height” to the point size, but the ideographic embox will reside inside that body and be a different “height”.

これまで,文字のサイズは,活字のボディ,あるいは仮想ボディのサイズを意味していた.したがって,字面の大きさを示すものではなかった.上記の意味は,今後は,この字面あるいはグリフの大きさで文字サイズを示すということか?
バリアブルフォントの字面はサイズに直接リンクできなくなることを想像していました。

> Conflicting Font Metric Systems and Font Rendering
の中の以下

> This last point forces font foundries to set the “ascent” and “descent” and baseline/origin of Japanese fonts ...

この意味ですが,“ascent” and “descent” and baseline/originを日本語フォントでも設定しているということか?
そうです。ascentとdescentとoriginはすべて欧文用のメトリックスですが、和文フォントに設定する場合は和文用に設定していて、欧文字形と関係なくなり、混雑するのです。
そして,
 so that the ideographic and other Japanese glyphs are centered in this height, making the font ascent + descent equal to the ideographic embox height rather than equal to the ascent and descent of the Latin glyphs.

6日の会議で,山本さんは,たしかラテン文字のcapital lineとbase lineの中心と和文文字の中心が位置をそろえる基準になる,といっていたと記憶しているが,ラテン文字と和文文字の位置を決める場合,その位置決めとしては,以下の5つが考えられる.
1 ラテン文字のascender lineとdescender lineの中心に和文の中心ををそろえる
2 ラテン文字のcapital lineとbase lineの中心に和文の中心ををそろえる
3 ラテン文字のmean lineとbase line(x height)の中心に和文の中心ををそろえる
4 和文文字に設定されているbase lineにラテン文字のbase lineをそろえる
 *縦組の場合にも和文文字のbase lineは設定されているとして
5 ラテン文字のbase lineに和文の仮想ボディのい下端(または左端)をそろえる

実際はどうなっているのか?
実際はAdobe以外のソフトは全てのフォントを欧文ベースラインに描画しています。和文フォントは欧文文字をバランスよくoriginを設定してますが、フォント間の互換性や和欧混植は問題が多いですので、Adobeアプリでは複数の揃え方を用意しています。合成フォント機能も入っています。
また,これを選択できるという仕組みを考えられないか?

参考までに,活字組版時代は,一般に1というか,ascender lineの上とdescender lineの下にごくわずかのアキがあって(つまり活字のボディ),それと和文活字をそろえていた.したがって,横組で考えると,和文とラテン文字が同じサイズであれば,ラテン文字の大文字は,見た目でやや上側に配置されることになっていた.また,小文字の短字の下側にアキがあった.

> but as a result the Latin font metrics had to be compromised in such fonts, and interoperability with fonts in other scripts was negatively affected.

この点ですが,具体的にはどういう事例がありますか?
後ほど絵で説明をしたいと思います。

以上,よろしくお願いいたします.
どうもありがとうございました。

ナット

Received on Saturday, 10 December 2022 03:19:45 UTC