Re: 両側ルビの例

木田 さま
みなさま

 小林 敏 です.

両側ルビの例です

1 2つ以上の読みがある例

 五経 ごきょう,ごけい
 下司 げす,げし
 大王 おおきみ,だいおう
 土一揆 どいっき 土 つち

2 読み方が変化した例

 白村江 はくそんこう,はくすきのえ
 新羅 しんら,しらぎ
 百済 ひゃくさい,くだら
 昔は後ろの読みが一般的でしたが,最近は前の読みに変わったようです.今はその
過渡期で,両方を示さないといけないということか?

3 人名の読み例

以下の例は,中学の教科書である黒田日出男ほか著“社会科 中学生の歴史 日本の歩みと世界の動き”(帝国書院,2021年1月)による.前が上,後ろが下
 栄西 ようさい えいさい
 荻原守衛 おぎわらもりえ 原 はら

4 日本語と韓国語や中国語の読み

以下の例は,中学の教科書である黒田日出男ほか著“社会科 中学生の歴史 日本の歩みと世界の動き”(帝国書院,2021年1月)による.前が上,後ろが下
新羅 しらぎ シルラ
高麗 こうらい コリョ p.51
山東(省,半島) シャントン さんとう
旅順 リュイシュン りょじゅん p.194
瀋陽 シェンヤン しんよう p.194
長春 チャンチュン ちょうしゅん p.195
大連 ダーリエン だいれん p.195
遼東半島 リヤオトン りょうとう p.195
長春 チャンチュン ちょうしゅん p.197
孫文 そんぶん スンウェン p.197

5 漢字の読みを示す+片仮名で別表記を示す

以下の例は,藪禎子ほか校注“新日本古典文学大系26 キリスト者評論集”(岩波書店,2002.12)の巌本善治著“男女交際論”による.前が右,後ろが左
接吻 せつぷん キツス
握手 あくしゆ セークヘンド

*この例は,あまり見ないが,たしか以下は実例があったと思うが,不確か.
 三位一体 さんみいつたい トリニテイー

6 漢字の読みを示す+訓読みの俗語を示す

以下の例は,曲亭馬琴作,浜田啓介校訂“南総里見八犬伝1”(新潮社,2003年5月)による.最初が右,後ろが左
 象 ぞう キサ
 沛公 はいこう コウソ
 従者 ずさ トモヒト

以下の例は“新日本古典文学大系1 明治編 開化風俗誌集”(岩波書店,2004年)の服部撫松著“東京新繁昌記”による.最初が右,後ろが左
 陋断 ろうだん ケチナハナシ
 麦麵 ばくめん パン
 懲戒 ちようかい コラシメ
 稗史者流 はいししやりゆう ゲサクシャ
 吸螺師 すいらし ホラフキ

*このような例は,この時代に,それなりにある.

7 漢字の読みを示す+その言葉の説明(行間注的)を示す

以下の例は谷崎潤一郎,鈴木三重吉,野上弥生子著“少年少女日本文学館4 小さな王国・海神丸”(講談社,1987年2月)の野上弥生子著“海神丸”による.このシリーズは,どれも同じ形式のようです.
()は右ルビ,[]は左ルビ 説明は()で囲み,語句のルビの直後で右側に配置.この説明は例文の文末に示す.この説明があるために,説明対象の直後の語句のルビが左ルビになっている.
 割(わり)のよい点[てん]では (労力(ろうりよく)に比(くら)べ利益(りえき)の多い)
 黒人(くろうと)仲間[なかま]で五島[ごとう]以上[いじよう]だと (事情(じじよう)にくわしい者(もの)。玄人(くろうと))
 華奢(きやしや)な身体[からだ]つきを (ほっそりして弱々しい)

以上です.

Received on Monday, 8 August 2022 04:24:53 UTC