Re: web における和欧間スペース

みなさな

 小林 敏 です.

行頭そろろについては,単語または文節単位での分割を行わない場合,次のような問題を考える必要があるように思います.

1 見た目のバランスの問題,行末の乱れは気になるか?

1)行末の乱れが大きく異なっているれば,それはそういうものだと思いますが,日本語組版では,乱れは部分的です.これが問題です.その乱れの印象は,紙とWebで同じか,違うか? 私は,Webでは,すこし違うのではと疑っています.なぜなら,紙は,常に全体を見ることができるし,常に目に入ります.Webでは,目に入らないケースもそれなりにある.ということは,行末の乱れは紙ほど問題にならない,といえるか?

2)もうひとつは慣れの問題です.行頭そろえばかり見ていると,そういうものだと感じてしまう.そういうものだと思ってしまう人が多くなる.

*例は異なりますが,横組の句読点は,ある種の専門家にとっては,コンマ・ピリオドが常識です.公文書ではコンマ・マルは常識です.ですがワープロが一般化し,デフォルトがテン・マルとなり,多くのドキュメントがテン・マルとなり,コンマ・ピリオドやコンマ・マルは間違いであると思う人も増えている.(公文書に近いドキュメントを私が委員長で,コンマ・マルで作成したことがあるのですが,教育長にテン・マルにしろといわれ,直したことがある.)

2 読む際に行頭そろろは問題はでないか?

1)行中で全角アキや二分アキにするケース(例は少ない)がある.見出しでラベル番号とテキストとの間などです.つまり意味を持つアキです.行頭そろえでは,行末のアキは,たまにしか出ないが,この行末のアキが行中の全角アキや二分アキと誤解される恐れがある.こうした誤読は,私の読書経験でも,例は少ないがあります.一瞬,このアキの意味と考えてしまうということです.

2)これより大きな問題は,改行ではないかという誤読です.行末が空いていれば改行かなと思ってしまう例は,それなりにあります.

ただ,この問題は,段落間のアキを大きくする方法(例えば1行アキ)で回避できる可能性があります.しかし,この段落間のアキを大きくする方法には,次の2つの問題を考える必要があります.
 (1)段落間のアキを大きくしない紙の本では,見出しを立てるほどではないが,ある程度の区切りとして1行アキにする方法があり,これはそれなりに便利な方法で,よく長文のテキストでは利用されています.段落間のアキを大きくした場合,この1行アキの方法を採用できないので,別の方法を考えないといけない.
 
 (2)段落間のアキを大きくする方法(例えば1行アキ)は,メールなど短いテキストでは,よいのですが,長文の小説やその他の書籍のように長い読み物の場合,はたして,段落の区切りとして問題にならないか,という懸念を持っています.長文の小説やその他の書籍では,本の内容にもよりますが,多くの場合,流れるように読んでいます.その場合の段落の区切りとしては大きすぎないかという懸念です.
 つまり,段落間のアキを大きくする方法(例えば1行アキ)は,常に採用できるか疑問があるということです.

こうしたことがテストできるとよいのですが,その差異はわずかなので,なかなか結論が出ないと思います.とりあえずは,以上のようなことを意識しながら文字を読むことを続けることかな,とも思っています.

  Yasuo Kida さんwrote

>両端揃えに議論を限ると、それは既に(不満点はまだあれど)実装されて多くの場所
>で利用可能です。石井さんの言われたように、ウェブでは行頭揃えと両端揃えが容易
>に切り替えられます。それにも関わらず、行頭揃えのほうが多いのです。スタイルの
>指示を一つ足すという労力をかけるだけで両端揃えにできます。その中で行頭揃えが
>多いということは、その要因は何でしょう? そここそを、我々はよく理解する必要
>があると思います。
>
>私自身、今書いているメールの空行でのパラグラフ区切り、行頭揃えの日本語が悪い
>ものだとは感じていません。美しさでは劣るでしょうけれど、両端揃えに比べて読み
>にくかったり、読み間違えたりするとは感じていません。日常使いとして十分です。
>日本語に関する不満点は他にあります。

Received on Wednesday, 13 July 2022 07:15:20 UTC