UAX#50: U+303B VERTICAL IDEOGRAPHIC ITERATION MARK (was Re: 17日火曜日、フォント分科会

敏先生

ご指摘ありがとうございます、おっしゃる通りですね。思い返せば、この文字は議論した記憶があります。

この辺は仕様に明記しておらずあいまいで申し訳ないのですが、Uは縦書き時に字形を変えては「いけない」と禁止しているわけではないんです。例えば毛筆書体においては、かな文字すべてが別字形になることもあり得ますよね。それも許容されます。当時の議論では、
鈴江戸 <https://wiki.csswg.org/_media/spec/suzuedo.png>の例などを挙げました。

以前にどなたかがご指摘くださいましたが、アプリ制作者にとっては、UとTuの違いは必要ありません。

UAX#50は、フォントとアプリの間に立って、双方が共通の認識を持つことで、相互運用性を担保しましょう、ということを目的としています。このため、フォント側へのお願いと、アプリ側へのお願いが混在します。

UとTuの区別は、フォント制作側に対し、これらの文字は、縦書き時に「注意が必要です」と喚起する目的があります。Tuの文字に対して、縦書き字形がなければ、それは警告として考えることができますが、それ以外の文字に対して縦書き字形があっても構わない、ということです。

ちょっと当時のメモが見つからず恐縮なんですが、議論の結果、この文字は「字形が異なる場合もあるが、注意喚起が必要なレベルではない」と判断しました。一方で、例えば、全角!は、中国語においては右上にずらすことが慣例であると理解されており、同じ「ずらすだけ」でも、もし中国語フォントでずらされていなければ「注意喚起」となるべき文字であるため、
Tuの一覧に字形例の記載 <http://www.unicode.org/reports/tr50/#table_2>があります。

正直、当時の我々の知識では、この文字を縦書きで位置をずらすことが「慣例」であるべきなのか、「許容」であるべきなのか、学術的に正確な判断ができたかというと自信がありません。あいまいな記憶で記録がなく申し訳ないですが、
当時の主要と思われるフォント10種を調べて
<https://wiki.csswg.org/spec/utr50/vert#:~:text=U%2B303B,IDEOGRAPHIC%20ITERATION%20MARK>
ずらしている例がなかったことから、「許容」とする、としたのではないかと記憶しています。


On Sun, Aug 15, 2021 at 9:56 AM Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp> wrote:

> 木田泰夫 様
> みなさま
>
> 小林 敏 です.
>
> 1点だけ,こまかいことですが,
>
> U+303B(VERTICAL IDEOGRAPHIC ITERATION MARK)の“〻”は,
> UAX#50では,“U”です.“〻”は,“々”と似た意味ですが,ちょっとだけ違っています.
> 例 数〻 各〻 愈〻
>
> これらは,数々,各々,愈々とも表記します.これを,わざわざ“〻”を使用するのは,例えば“各”でいえば,“各”の1字で“おのおの”と読むんだ.だから,各々は“おのおのおのおの”とも読まれてしまう.これを避けるために,“各”は“おの”とも“おのおの”とも読まれるので,念のために“おのおの”と読むんだということを示すために付ける,ということです.(漢文の読み下しでたまに見かけます.)
>
>
> こうした意味から“〻”では,異体字もあり,仮想ボディに対する位置も,縦組では,やや小さくした字面を右寄せ,あるいは,右寄せ,かつ上寄せにした例もあります.これを横組にした場合はどうなるかという問題(いろいろ意見あり)もあります.
>
> ですので,UAX#50で言えば,Tuではないか?
>

Received on Sunday, 15 August 2021 06:25:51 UTC