- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Tue, 25 May 2021 10:10:32 +0900
- To: 木田泰夫 <kida@mac.com>, Koji Ishii <kojii@chromium.org>
- Cc: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
木田 様 石井 様 みなさま 小林 敏 です. いま読んでいるSusan Weinschenk著,武舎広幸ほか訳“インタフェースデザイン の心理学 ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針 第2版(100 things every designer needs to know about people)”(オライリー・ジャパ ン,発売:オーム社,2021.4)では,以下のように別の説明もしています. 英文の場合,1行100文字程度が画面上で読む速さの点では最適ですが,一般には 短い中程度(1行あたり45〜72文字)の長さの方が“好まれる”ことが明らかに なりました.(Dyson, Mary C. 2004, "How physical text layout affect reading from screen" Behavior and Information Technology, 23(6) 377- 93.) 人にどちらかが好みかと尋ねると,行の短いマルチカラムだと答えるのです.面 白いことに,どちらが早く読めるかと尋ねると,それは行の短いマルチカラムだ と言い張ります.データは逆を示しているのですが. とも書かれています. 長い方が早く読めるのは,読む際にはジャンプ(サッカード)と静止を繰り返し ていくが,改行でサッカードと静止が中断され,短い行では,この中断の回数が 多くなるからだということのようです. なお,私はよく新聞のデータベースを使用しているのですが,日経新聞を含め, 1行の字数が固定されていて,しかの50字を超える例が多く,このような長い行 は,改行で次の行頭に移動する際に,目が混乱し,あまり読みやすいものではな いと感じています. 木田泰夫 さんwrote >・行長が短いと理解力は落ちるけど速度は速まる。斜め読みができる >・小説はじっくり読んでほしいので行長を長く取りあえて読む速度を落とす… > >これは面白い知見ですね! 確かに斜め読みは行が短い方がやりやすいし、行が長い >ほどじっくり入り込みやすいというのは感覚的にも大納得です。 > >それで新聞は短いわけなのですね。また、その目的を考えた上で、では組版がどうあ >るべきかを考えなくてはならないですね。 > ># 新聞サイト、日本のをみてみましたが、日経が NY Times ほど凝ってはいませんが、 >その方向ですね。いくつか比べてみましたが、行長や余白の取り方、日本の新聞社の >中では一番読みやすいようです。 > >木田 >> 2021/05/24 16:08、Koji Ishii <kojii@chromium.org>のメール: >> >> 昔読んだReadabilityの研究論文で、行長が短いと、理解力は落ちるけど、速度は速 >> まる、というのがありました。新聞くらいの短さになると、ぱっと見でその行に重 >> 要な単語があるかどうかの判断がおおよそつくため、いわゆる斜め読みができる。 >> 行長が長い文章で斜め読みすると、ほぼ何も頭に入りませんが、短いと、細かい点 >> は飛ばしつつ、要点は押さえられるようです。 >> >> 小説などでは、「重要そうじゃなくても、後で重要になってくる」みたいなのがあ >> るし、じっくり共感しながら読んでほしいので、行長を長く取り、 あえて読む速度 >> を落とす代わりに、全ての字を読ませることを選んでいる、という話だったと記憶 >> しています。 >> >> 雑誌も、全部の記事は読まれないことが多くて、パラパラと眺めながら、面白そう >> な記事だけ読んだりしますよね。なのでその中間なのかな、と。 >> >> https://www.nytimes.com/ >> はこの特徴を使っているのではないかと思われ、トップページは行長を短くして多 >> くの記事の要約を載せ、クリックすると行長の長いページで記事を表示します。こ >> のサイトは他にも組版に結構気を使っていて、見出しの折返し時に、各行の長さが >> 揃うようにJavaScriptで制御しているなど、なかなか興味深い工夫が見られるサイ >> トです。
Received on Tuesday, 25 May 2021 01:11:44 UTC