- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Wed, 07 Apr 2021 15:50:32 +0900
- To: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
木田 様 みなさま 小林 敏 です. 以下の件,1点補足 この件は,横組と縦組のどちらになるかわからない,両方に対応しないといけな い場合はどうなるかも問題となります. このケースでは,ラテン文字等はプロポーショナルな文字を使用し,縦組の場合 で正常な向きにしたい文字列については,以下のA-bかA-cにするというのが原則 かと思います. Kobayashi Toshi さんwrote >木田泰夫 様 >みなさま > > 小林 敏 です. > > 木田泰夫 さんwrote > >>敏先生に質問です >>縦書きであってもギリシャ文字もプロポーショナルを使うのが正しかった、とのこと >>ですが、縦書きの場合文字の上下方向にアキは入りますか? > >和欧文のアキ問題,後で考えのですが,前提を共通に理解していなかったかと思 >います.私は横組で考えていた.そこで以下に整理して示します. > >横組の場合 > >A ギリシャを含めラテン文字は,原則としてプロポーショナルな文字を使用す >る.全角のラテン文字等を使用することは妨げないが,その場合,和欧文のアキ >処理の対象外である. > >B 1文字であろうが,単語であろうが,語間を含んだ複数の単語であっても,プ >ロポーショナルな文字を使用した場合,和文と欧文の字間は原則四分アキとする. > >縦組の場合 > >A 使用する文字及び処理方法 > >a 全角のラテン文字等を使用する. >b プロポーショナルな文字を使用し,縦中横処理で正常な向きにする.(この >場合も全角の文字を使用してもよいが,あまり使用する意味はない.) >c プロポーショナルな文字を使用し,なんらかの書式で1字1字を正常な向きに >する.(1字の場合はbと同じ結果であるが,2字以上の場合はbと異なる.aと似 >た形になる. >d プロポーショナルな文字を使用し,文字を横向きのままとする. > >この場合,全角のラテン文字等を使用するか,プロポーショナルな文字を使用す >るかは,どちらが正しいということにはならない.一般的にいえば,正常な向き >の形で処理する方法としては,これまでは全角を使用する例が,コンピュータ組 >版でも多かった.ただし,同一文書にdがある場合,aの字形がdと異なる場合も >あり,これを避けるということでは,bかcということになる.特にcの処理は, >すこし前までは可能でない処理系があったので,全角を使用するという方法が, >処理も簡単であり,一般的であった. > >なお,活字組版の事情を説明すると,仮想ボディに対し,文字を天地中央に配置 >することも活字組版では可能であり,また,縦組で正常な向きに配置する場合, >活字組版ではプロポーショナルな文字を使うのはかなり面倒であったこと,こう >した事情から,縦組では多くは全角文字を利用していた.縦組で正常な向きにす >るために全角のラテン文字等が考えられたといってよい. > >現在は,書式の設定でプロポーショナルな文字を正常な向きにする方法は簡単に >できる.したがって,今後はcが増えていく可能性が高いということかもしれな >い. > >B 和欧文のアキ 前後は漢字か仮名の場合に限定すると,和文と欧文の字間は >以下のようになる. > >a ベタ >b ベタ(これは仮想文字クラスを設定すれば,縦中横処理した文字列と和文の >字間はベタという規定で解決できる. >c ベタ >d 四分アキ > >ここで,和欧文のアキを四分とした設定した場合,cでもそれが適用されてしま >う問題がでる.ラテン文字等の行送り方向と和文が接する場合はベタである,と >いうことで解決できるかもしれない. > >実際にも,最近の書籍では,cで,和文との字間を四分にした例を,少ないが何 >回か見かけたことがある.これは意識的な選択か,処理系で勝手に処理して,そ >のままとした結果なのかはわからない.たぶん,後者だろうな,と思っている. > >最後にbやcがベタでdが四分アキかの問題 > >これは,ラテン文字等は,字送り方向(文字を並べていく方向)の仮想ボディと >のアキはわずかであり,これらの文字が単語として並んだ場合,各単語を構成す >る字間が均一に見え,アキ過ぎにならないように文字は設計されている.この単 >語間の字間がラテン文字等の設計では特に注意されている.したがって,この単 >語を構成する字間を空けること(レタースペーシング)は,特別の場合(例えば >強調やヘッダーに使うという場合)を除き,避けることとされていた.したがっ >て,和文と欧文を並べると,和欧文間が狭くなるので,四分アキが行われてきた. > >これに対し,ラテン文字等の行送り方向の設計は字送り方向と異なり,ある程度 >のアキがあるので和欧文間が狭くなる例はないわけではにが,その必要性は少な >いということになる. > >以上です.
Received on Wednesday, 7 April 2021 06:52:07 UTC