Re: 和欧文のアキ問題

敏先生、

A-b か A-c について、縦中横や正立などの指定ができる場合は良いのですが、できない環境の場合は横倒しのままになりますね。縦書き環境に縦中横または正立指定の機能は必要不可欠と言うべきでしょうか?

また、正立させたい場合を探して指定をかける手間がとても面倒くさそうです。理想的にはプレーンテキストを流し込んで自動的にうまくいって欲しい。かといって、一文字の場合という条件で自動処理すると副作用が怖いですよね。その意味で入力の段階で挙動をあらかじめ指定できる全角コードポイントの存在はありがたいように思います。

全角を指定する IVS ってあるんですか? もしそれがあるなら、そしてインプットメソッドがそれをサポートしてくれれば、状況を少しマシにできましょうかね。

木田

> 2021/04/07 15:50、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール:
> 
> 木田 様
> みなさま
> 
>  小林 敏 です.
> 
> 以下の件,1点補足
> 
> この件は,横組と縦組のどちらになるかわからない,両方に対応しないといけな
> い場合はどうなるかも問題となります.
> 
> このケースでは,ラテン文字等はプロポーショナルな文字を使用し,縦組の場合
> で正常な向きにしたい文字列については,以下のA-bかA-cにするというのが原則
> かと思います.
> 
>  Kobayashi Toshi さんwrote
> 
>> 木田泰夫 様
>> みなさま
>> 
>>  小林 敏 です.
>> 
>> 木田泰夫 さんwrote
>> 
>>> 敏先生に質問です
>>> 縦書きであってもギリシャ文字もプロポーショナルを使うのが正しかった、とのこと
>>> ですが、縦書きの場合文字の上下方向にアキは入りますか?
>> 
>> 和欧文のアキ問題,後で考えのですが,前提を共通に理解していなかったかと思
>> います.私は横組で考えていた.そこで以下に整理して示します.
>> 
>> 横組の場合
>> 
>> A ギリシャを含めラテン文字は,原則としてプロポーショナルな文字を使用す
>> る.全角のラテン文字等を使用することは妨げないが,その場合,和欧文のアキ
>> 処理の対象外である.
>> 
>> B 1文字であろうが,単語であろうが,語間を含んだ複数の単語であっても,プ
>> ロポーショナルな文字を使用した場合,和文と欧文の字間は原則四分アキとする.
>> 
>> 縦組の場合
>> 
>> A 使用する文字及び処理方法
>> 
>> a 全角のラテン文字等を使用する.
>> b プロポーショナルな文字を使用し,縦中横処理で正常な向きにする.(この
>> 場合も全角の文字を使用してもよいが,あまり使用する意味はない.)
>> c プロポーショナルな文字を使用し,なんらかの書式で1字1字を正常な向きに
>> する.(1字の場合はbと同じ結果であるが,2字以上の場合はbと異なる.aと似
>> た形になる.
>> d プロポーショナルな文字を使用し,文字を横向きのままとする.
>> 
>> この場合,全角のラテン文字等を使用するか,プロポーショナルな文字を使用す
>> るかは,どちらが正しいということにはならない.一般的にいえば,正常な向き
>> の形で処理する方法としては,これまでは全角を使用する例が,コンピュータ組
>> 版でも多かった.ただし,同一文書にdがある場合,aの字形がdと異なる場合も
>> あり,これを避けるということでは,bかcということになる.特にcの処理は,
>> すこし前までは可能でない処理系があったので,全角を使用するという方法が,
>> 処理も簡単であり,一般的であった.
>> 
>> なお,活字組版の事情を説明すると,仮想ボディに対し,文字を天地中央に配置
>> することも活字組版では可能であり,また,縦組で正常な向きに配置する場合,
>> 活字組版ではプロポーショナルな文字を使うのはかなり面倒であったこと,こう
>> した事情から,縦組では多くは全角文字を利用していた.縦組で正常な向きにす
>> るために全角のラテン文字等が考えられたといってよい.
>> 
>> 現在は,書式の設定でプロポーショナルな文字を正常な向きにする方法は簡単に
>> できる.したがって,今後はcが増えていく可能性が高いということかもしれな
>> い.
>> 
>> B 和欧文のアキ 前後は漢字か仮名の場合に限定すると,和文と欧文の字間は
>> 以下のようになる.
>> 
>> a ベタ
>> b ベタ(これは仮想文字クラスを設定すれば,縦中横処理した文字列と和文の
>> 字間はベタという規定で解決できる.
>> c ベタ
>> d 四分アキ
>> 
>> ここで,和欧文のアキを四分とした設定した場合,cでもそれが適用されてしま
>> う問題がでる.ラテン文字等の行送り方向と和文が接する場合はベタである,と
>> いうことで解決できるかもしれない.
>> 
>> 実際にも,最近の書籍では,cで,和文との字間を四分にした例を,少ないが何
>> 回か見かけたことがある.これは意識的な選択か,処理系で勝手に処理して,そ
>> のままとした結果なのかはわからない.たぶん,後者だろうな,と思っている.
>> 
>> 最後にbやcがベタでdが四分アキかの問題
>> 
>> これは,ラテン文字等は,字送り方向(文字を並べていく方向)の仮想ボディと
>> のアキはわずかであり,これらの文字が単語として並んだ場合,各単語を構成す
>> る字間が均一に見え,アキ過ぎにならないように文字は設計されている.この単
>> 語間の字間がラテン文字等の設計では特に注意されている.したがって,この単
>> 語を構成する字間を空けること(レタースペーシング)は,特別の場合(例えば
>> 強調やヘッダーに使うという場合)を除き,避けることとされていた.したがっ
>> て,和文と欧文を並べると,和欧文間が狭くなるので,四分アキが行われてきた.
>> 
>> これに対し,ラテン文字等の行送り方向の設計は字送り方向と異なり,ある程度
>> のアキがあるので和欧文間が狭くなる例はないわけではにが,その必要性は少な
>> いということになる.
>> 
>> 以上です.
> 
> 

Received on Wednesday, 7 April 2021 10:21:00 UTC