Re: [jlreq] 落語ネタ:阿Q正伝から1Q84へ (#324)

ラテン文字が複数の頭字語で,すべて大文字の場合について,まず考えてみよう.

組版処理を考えた場合,頭字語は2つに分けられる.1字1字読む場合と,単語のように読む場合である.前者はOECD(経済協力開発機構),後者はOPAC(オーパック,オパック)のような例である.

大文字だけの場合,その言語に慣れていないものにとってあまり読みやすいものではない.小文字の場合は,ある程度の慣れがあれば単語を単位として読むことが可能であるが,大文字の場合は,なかなか慣れないということからであろう.逆にいえば,大文字だけの場合は,どちらかといえば1字1字読んでいる可能性が大きいといえる.特に1字1字読むケースでは,そのように考えてよいであろう.

次に,縦組において,単語として読む場合は,横向きでは可能であるが,縦向きにした場合は,ある程度努力しない単語として読むことがむつかしい.こうしたことを考慮すれば,頭字語,特に1字1字のケースでは,どちらかといえば縦向きの方が読みやすいといってよいのではなかろうか.

実際にも,多くの場合,頭字語は,単語のように読む場合を含め,縦向きにしている.
ただし,単語のように読む場合や,文字数の多いCOMECON(コメコン,経済相互援助会議)などでは,横向きにしてもよいのかもしれない.

これ以外にいくつかの問題があるケースがある,例を掲げておく.

1 大文字に小文字が混じった例
fMRI(機能的磁気共鳴画像法),BRICs(ブリックス),ECoG(皮質脳波法)
*これらも縦向きにしているが,小文字が混じる場合,縦向きにすると時間が不均一になる場合もある,横組にしてもよいかもしれない.

2 数字交じり:H5N1(鳥インフルエンザ),D20サミット
*縦向きにして,2桁の数字は縦中横で処理するのがよいであろう.

3 語間を含む例
FOOD ACTION NIPPON(自給率を赤める運動)
*語間を含む例も,一般に縦向きにする例が多いが,横向きにしてもよいだろう.なお,語間は全角アキにする方法と,二分などと狭める方法とがある.

4 つなぎ符号を使った例
NDL–OPAC(エヌディエル・オーパック),CD–ROM,COVID–19(新型コロナ感染症)
*縦組にする例が多いが,横向きにしてもよいだろう.つなぎ符号は,横向きにする場合は二分ダーシであり,縦向きの場合も二分ダーシが望ましいが,いろいろなつなぎ符号が使用されている.

5 片仮名が混じる
ワシントンD.C.
*縦向きにする例が多い.問題は省略符のピリオドで,全角のピリオドを使用する例とプロポーショナルなピリオドを使う例がある.どちらもあまりバランスがいいとはいえない.特に全角の場合はバランスが悪い.いっそ横向きにしてもよいだろう.

縦向きにする処理は,全角字形を使用する方法と,プロポーショナルな文字を使用し,文字の向きを書式で指示する方法とがある.

このように頭字語や,それに類するケースのラテン文字の向きは,簡単ではない.

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