Re: EPUB 日本語組版拡張仕様の試案を公開しました

Publickey新野です。

> これで、CSS の標準に論理プロパティが入るのは確実になったと思います。
まだ早いかもしれませんが、おめでとうございます!

村上さんと村田さんの標準化活動を応援したくて、Publickeyで記事を
書かせていただきました。

CSS3で縦書きスタイルを、電子出版の未来のために。日本発で提案中
http://www.publickey1.jp/blog/10/css3.html

間違いのないよう、過去のMLでの発言などを読み返しできるだけ調べて書いたつもりではあるのですが、それほど事情に詳しくないゆえ、誤解していたり、間違っているところがあるかもしれません。もしそうでしたらご遠慮なくご指摘ください>みなさま

電子出版は興味がある人が多いと思うので、いままで標準化活動に興味のなかった人にも興味を持ってもらって応援する動きが広がるといいなと思っています。

にいの


2010年6月3日13:36 MURAKAMI Shinyu <murakami@antenna.co.jp>:
> 村上です。
>
> CSS3の論理プロパティ(margin-before など)の議論について、追記です。
>
> W3C CSS WG 内で、CSS の生みの親であるホーコン・リー氏(Opera CTO)が
> これまで論理プロパティに抵抗していたのですが、それが変わってきました。
>
> 論理プロパティを実のプロパティではなく、書字方向によって物理プロパティに
> 変換されるエイリアス(direction-dependent aliases, DDAs)としてなら
> メモリーも消費しないので良いだろうと:
> http://lists.w3.org/Archives/Public/www-style/2010Jun/0006.html
> CSSにエイリアスのメカニズムを定義するのが正しいアプローチだろうとも。
> 私もまったく同じ考えです:
> http://lists.w3.org/Archives/Public/www-style/2010Jun/0079.html
>
> これで、CSS の標準に論理プロパティが入るのは確実になったと思います。
>
> 今、議論になってるのは、DOM でエイリアスである論理プロパティにアクセス
> したときにどうなるかということです。エイリアスだからといって、DOM では
> 使えないのでは不便なので、DOM でアクセスしたら、実プロパティ
> (物理プロパティ)へと変換されてアクセスできるようになると思います。
> 関心のあるかた、直接議論に参加したい方は www-style ML をチェックしてください。
> http://lists.w3.org/Archives/Public/www-style/2010Jun/thread.html#msg3
>
> --
> 村上 真雄 (MURAKAMI Shinyu)
> http://twitter.com/MurakamiShinyu
> Antenna House Formatter:
> http://www.antenna.co.jp/AHF/
> http://www.antennahouse.com
>
>
> MURAKAMI Shinyu <murakami@antenna.co.jp> wrote on 2010/06/01 17:54:16
>> 村上です。
>>
>> 村田真さんと私による EPUB 日本語組版拡張仕様の試案を公開しました:
>>
>> EPUB仕様の日本語組版拡張を目指して(Version 0.8)
>> http://nadita.com/murakami/epub/epub_JapaneseTextLayout_ja.html
>>
>> この試案で、最も議論になるだろうところは、次のところかと思います。
>>
>> 3. 縦書きと横書きに共通のスタイル指定
>> 3.1 論理的方向指定
>> 3.2 論理的プロパティ
>> 3.2.1 論理的 margin プロパティ: margin-before, margin-after, margin-start, margin-end
>> 3.2.2 論理的 padding プロパティ: padding-before, padding-after, padding-start, padding-end
>> 3.2.3 論理的 border プロパティ: border-before, border-after, border-start, border-end, etc.
>> 3.2.4 論理的 width/height プロパティ: logical-width, logical-height, min-logical-width, etc.
>>
>> CSS3 Text Layout 仕様で標準化を目指している論理的プロパティを使う
>> としています。
>>
>> この議論については前にも紹介しています:
>> http://lists.w3.org/Archives/Public/public-html-ig-jp/2010May/0020.html
>>
>> また、今も www-style@w3.org ML 上で議論が続いています:
>>
>> Re: [css3-text-layout] New editor's draft - margin-before/after/start/end etc.
>> http://lists.w3.org/Archives/Public/www-style/2010May/thread.html#msg33
>> http://lists.w3.org/Archives/Public/www-style/2010Jun/thread.html#msg3
>>
>> ホーコン・リー氏と同じく CSS 仕様に margin-before, margin-after,
>> margin-start, margin-end, ... などたくさんのプロパティを追加するなんて
>> 無茶だと思う人もいるかと思います。しかし、これが CSS 標準で縦書きを
>> 使えるものにするためには不可欠のものだと私は思っています。
>>
>> (縦書きだけではなく、アラビア語やヘブライ語のような右から左に書く
>> 言語のスタイル指定においても、絶対方向指定しかできない今の CSS 仕様は
>> 問題があり、そのために *-start/end についてはずっと前から提案されていて、
>> WebKit と Mozilla では独自拡張として実装されてます)
>>
>> 最近出てきている縦書き対応のEPUBビューワーなどを試すと、
>> どれも縦書きモードでは margin-top が右を指すという90度回転方式
>> がとられていて、このままではそのような非標準CSS実装が、日本だけで
>> ひろまるということが起きそうです。
>> (EPUB仕様は XHTML と CSS を使うものなので、そのビューワーは、
>> Webブラウザと同じで (X)HTML+CSS の組版エンジンからなります)
>>
>> W3C CSS WG では、margin-top は縦書きだろうが絶対に上を指すという
>> ことが前から決定しています。
>> (そのことが再確認された3月のCSS WGの議事録)
>> [CSSWG] Minutes and Resolutions 2010-03-24
>> http://lists.w3.org/Archives/Public/www-style/2010Mar/0539.html
>> (この議事録でも、ホーコン・リー氏(howcome)と他の人々による *-start
>> などの議論があり、興味深いです)
>>
>> ですので、margin-top が右マージンになるような縦書きの実装は CSS 標準
>> から外れて問題なのですが、margin-before などが使えない現状では、
>> 過渡的な縦書き実装として、やむを得ないものではあると思います。
>>
>> そのような縦書き実装のひとつで「ブログ出版局」による実装を最近知りました。
>> 公開されているそのドキュメントには、CSSのプロパティの設定を90度回転
>> させるということが書かれています。
>>
>> ブログ出版局サポートサイト - 本文スタイルの反映(HTML, CSS)
>> http://blog.print.cssj.jp/?itemid=197
>> 引用:
>>       ……また、単に本文が縦書きになるだけでなく、スタイルが90度回転
>>       されます。例えば、<div style="border-top: 1px solid">... のよう
>>       にCSSで上に境界線が指定されたボックスがあった場合、縦書きレイア
>>       ウトでは境界線は右側に表示されます。この規則はテーブルの境界線や、
>>       幅、高さ、マージン、パディング、にも適用されます。そのため、横書
>>       きのスタイル指定の趣旨を壊さずに、縦書きにすることが出来ます。
>>
>> これは、現時点で HTML+CSS で縦書きを実現するための、現実的な方法だとは
>> 思います。縦書き用に、スタイルシートを、margin/border/padding など方向が
>> 関係するところをすべて直して作りなおさなければ、縦書きにできないという
>> のであっては、あまりにも不便だからです。
>>
>> もしも margin-before など論理的プロパティの標準化ができなければ、
>> 90度回転方式の非標準CSS縦書きのEPUB実装が永続化することになります。
>> そうするとCSS3の縦書きの標準化は破綻します。
>> CSS3 ドラフトの writing-mode プロパティでの縦書きの指定は、
>> top/bottom/left/right の方向を変えるということは意図されてません。
>> writing-mode: rl-tb (direction: rtl と同じ)で left が右側になったり
>> しないのに writing-mode: tb-rl で left が上を指すようになるのでは
>> 仕様の整合性がなくなります。
>>
>> 私は、margin-before など論理的プロパティが標準化されて、実装も進み
>> いずれそれを使ってスタイルシートが書くことが普通になることを
>> 願っています。
>> 90度回転方式での縦書きは、それまでの過渡的なものとしての役割であれば
>> よいなと思います。
>>
>>
>> --
>> 村上 真雄 (MURAKAMI Shinyu)
>> http://twitter.com/MurakamiShinyu
>> Antenna House Formatter:
>> http://www.antenna.co.jp/AHF/
>> http://www.antennahouse.com
>>
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Received on Thursday, 3 June 2010 07:12:20 UTC