約物の問題

みなさま

   小林敏です

コメントについての,その2 約物について

句読点や括弧類の字幅

JIS X 4051やJLReqでは,これらの字幅は半角として扱っていま
す.どのように実装されているかとは関係なしに,説明の便宜上と
考えていただければと思っています.

なお,“慶應義塾大学SFC研究所Advanced Publishing Laboratory
日本語書記技術WG報告書”の“簡便な行組版ルール(案)”では,こ
れらの字幅を全角とした説明を試みています.

和文間隔

これは,通常,全角のアキを確保するものでしょう.この前後での2
行にわたる分割は可というのが,JIS X 4051やJLReqでの説明で
す.しかし,これには問題があり,疑問符などの後ろのアキについ
て,行末に配置される場合の方法を,JLReqの3.1.6で解説していま
す.

その他,和文間隔は,見出しのレベル名が付いた場合の見出しテキ
ストとの間や,人名の姓と名の間などに使う例があり,本文中に使
用され,これらが行末,行頭にきた場合の問題があります.それら
につては,JLReqでは触れていません.行頭に和文間隔を配置す
る,和文間隔を行頭禁則文字とする,行末は確保するが,行頭に配
置される場合は,前行の末尾の行の外側(つまり無視)するなどの
方法がありますが,いずれとするか確立した方法はないようです.

約物連続時の処理

この場合,アキを調整するが,前後の約物のサイズが異なる場合の
処理法が問題です.JIS X 4051やJLReqでは,ケースにより,例え
ば前に配置する約物のサイズが基準といった方法をとっています.
これは,書籍で一般に行われている,カギで囲まれた説明の後ろに
文字サイズを小さくした括弧書きというケースを想定しています.

今日では,そうしたケース以外もあり,一般化が必要です.この一
般化は,前述の“簡便な行組版ルール(案)”で試みています.いく
つかの方法が考えられますが,平均化する,大きな文字サイズを基
準とする,といった方法があるでしょう.

縦組と横組で使う約物

縦組だけで使う,あるいは横組だけで使う,という約物があります
が,それらの基準は,あまり明確ではありませんが,何らかの考え
方は,説明が必要かもしれません.

可変のWebにあっては,縦組で見てください,あるいは,横組で見
てください,と組方向を指示すれば,その方針で約物を選べばよい
のですが,どちらでもよいとした場合,変えるのか,変えないの
か,変えないとすれば,次項の字形の配置方向の問題が出てきま
す.

縦組と横組で使う約物の字形の向き

これも,いろいろと問題が出てきます.主に横組で使用する約物を
縦組に使用した場合,どのような向きにするか.これも約物ごと
に,何らかの指針は必要かもしれません.

欧字とカナの混じった人名の表記と配置処理

J. M. ケインズといった場合の配置処理です.縦組と横組でも異な
ります.区切りの記号をピリオドとするか,中点とするか,ピリオ
ドは和文用か欧文用か,その場合のアキをどう処理するか,さまざ
まです.こうした問題は,ある意味で,方針を決めればよいのです
が,それなりに悩みのタネでもあります.

以上です.

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 小林 敏(toshi)  2019年 6月22日
 e-mail: binn@k.email.ne.jp
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Received on Saturday, 22 June 2019 05:30:12 UTC