- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Sun, 23 Jun 2019 01:29:52 +0000
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みなさま 小林敏です コメントについての,その3 強調の処理 圏点とルビ,あるいは傍線とルビを同一箇所に配置する処理が問題 となっています.これは,方針を決めて処理すればよいでしょう. 一般には,ルビの外側に圏点を付ける(逆の処理をしている例もあ りますが),傍線の外側にルビを配置すればよいでしょう. ところで,圏点も傍線も,ある言葉や,ある表現の強調です.日本 語組版では,この強調の処理に複数の方法があります.ですので, 強調の方法を工夫すれば,ルビと圏点,傍線の重なりを回避できま す. こうした強調の方法を変えることは,原稿作成または原稿編集の工 夫でしょうが,こうした処理方法も併せて考えていくことも必要で しょう.ここでは,強調の方法やルビの代替的な方法を考えてみた いと思います. 〈強調する方法〉 強調する方法として,いくつか例を示すと,以下のような方法があ ります.どのような強調にどのような方法を採用するかは,著者の 好みや,歴史的に好まれ採用されていたという意味で,ある種の慣 行はありますが,そう明確ではないと思います. 括弧でくくる.縦組ではカギ括弧・山括弧,横組では山括弧・コー テーションマーク・かぎ括弧などが使用されています. 通常では漢字や平仮名を使用する言葉を片仮名書きにする. 圏点を付ける.(強調の内容の違いにより,異なった圏点を付ける 例もあります.明治時代の書籍などで見掛けます.) 傍線あるいは下線を付ける.(例は少ないのですが,その言葉全体 を枠(罫線)で囲んでしまう方法もあります.) ゴシック体にする.(英文などでイタリック体で強調する例に近い かもしれません.英文などでボールド体での強調はあまり好まれて いないようですが,日本語組版では,それほど避ける方法とは考え られていません.) 同じフォントで太字(ボールド体)にする.これは,最近,目にす る方法ですが,それなりに差異が目立たないと,強調の役割が十分 ではない例もあります.その他,本文が明朝体に対し,別の楷書体 にする方法もあります. カラー印刷であれば,該当する部分の文字の色を変える. 別行にする.(例えば,俳句などを示す場合,それを独立させて,1 つの段落として示す方法です.この場合,文字サイズを大きくす る,さらに,その段落の前後を1行アキにする方法もあります.) 文字サイズを大きくする.(活字組版では,前項のように別行にす るのではなく,行中の文字サイズを大きくすることは,けっこう面 倒な作業なので,あまり採用されてこなかった方法ですが,コンピ ュータ組版では,それほどでもないので,今日では,例は多いとは いえませんが,あります.) 英文では,大文字にする,あるいは字間を空ける(レター・スペー シング)という方法で強調する方法もありますが,日本語組版で は,見掛けない方法です.(ただし,字間を空ける方法は,工夫を すれば日本語組版でも採用できる方法でしょう.) 〈ルビの代替的な方法〉 ひとつは,該当する言葉の後ろに,パーレンを付け,そこに漢字の 振り仮名や,その言葉の片仮名の用語を示す方法です.(この場 合,括弧を含め,その箇所の文字サイズを本文より1段階小さくす る方法と,本文と同じサイズにする方法があります.(活字組版で は,この1段階小さくする方法は,それなりに面倒でしたが,コン ピュータ組版では,活字組版と比較して,それほど面倒ではないで しょう.) それ以外に割ルビという方法があります.行間の狭い辞書などで採 用されている方法です.割注のように該当する言葉の直後に割注の ように括弧をつけて,2行にして漢字の振り仮名を示す方法です. 岩波書店の“広辞苑”で採用しています.この割ルビの文字サイズ は,ルビと同じで,一般に親文字のサイズの1/2にしています. また,Webではポップアップで示してもよいでしょう. 以上です. ――――――――――――――――――――― 小林 敏(toshi) 2019年 6月23日 e-mail: binn@k.email.ne.jp ―――――――――――――――――――――
Received on Sunday, 23 June 2019 01:29:52 UTC