- From: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>
- Date: Thu, 21 Aug 2025 06:53:54 +0000
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>, JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
少しコメントいたします。 「注 日本語の斜体 日本語フォントにはラテン文字のイタリックに相当するスタイルはない.日本語の斜体はイタリック体とは異なる.ラテン文字のイタリックは,ローマン体とは別にデザインされたものであるが,日本語の斜体は,元になる字形を変形したものである.ラテン文字でいうスラントに該当する.」 1. 「日本語」は言語なので、「日本語で用いる文字」あるいは「日本語で用いる仮名と漢字」が良いのではないでしょうか。また「フォント」は文字の実現形態なので、避けた方が良いのではないでしょうか。 さらに、ラテン文字を傾斜させたものは、たしかに「スラント」ですが、スラントはイタリック体の代用品として使われる場合が多いので、日本語の斜体との類似性はあくまで技術的なもので、用途が異なります。その点を考慮する必要があると思います。 上の考えをもとに、私が考えた文案は以下のとおりです。 ---- 注 日本語で用いる仮名と漢字には、ラテン文字におけるイタリック体という書体様式は存在しない。他方で、日本語で用いる文字を、傾斜させる方法として「斜体」が用いられる場合がある。ただし、ラテン文字におけるイタリック体が、独立した手書きの様式が活字に転用され、それが現代のデジタルフォントでも用いられているのに対して、「斜体」は明朝体やゴシック体などの通常の書体を、光学的・電子的あるいは計算によって、傾斜させるように変形する操作である。「斜体」は主に見出しや広告などで使われるデザイン上の特殊効果であり、その用途はラテン文字のイタリック体の用途とは異なる。 ラテン文字でも、同様の傾斜をかける変形をする(これを「スランテッド」や「オブリーク」などという)場合や、あらかじめそのような変形を施した書体も存在するが、それらは多くの場合、イタリック体の代用として用いられる。日本語で用いる文字には、イタリック体は存在しないため、イタリック体の代用として「斜体」を用いることは通常しない。また、原文がラテン文字で書かれた文献を日本語に翻訳する場合に、原文中にイタリック体が用いられ、その対応する日本語の訳語の文字もまた原文と同様に差別化して表記する必要がある場合には、上に述べた理由から、「斜体」とは異なる差別化・強調の方法(圏点、傍線など)を用いる。 ---- 山本
Received on Thursday, 21 August 2025 06:54:01 UTC