RE: 3章と4章(ルビ)のドラフト

山本 様
下農 様
みなさま

 小林 敏 です.

それでは,とりあえず,以下のようにいたします.

邦文手動写真植字機で"プロポーショナルな詰め組"を行う場合,個々の仮名ごとに字送りを変更することになる.そこで,仮名文字の両側のアキが視覚的に均等に見えるようにし,かつ"詰め組"の作業効率の向上を図る目的で,いくつかの書体で,詰め組用の仮名を収容した専用文字盤が作られるようになった.これを利用すれば,それぞれの書体で,各仮名文字の字形に応じた固有の字幅で文字を配置(印字)できた.

通常の仮名文字の字幅は全角であり,横組では文字の外枠の左辺から右辺まで,縦組では文字の外枠の上辺から下辺までの長さの中心に文字図形を配置していた.これに対し,この詰め組用の仮名の専用文字盤では,横組の場合,仮名文字のプロポーショナルな文字字形の左側にマージン(左側のサイドベアリング)をとり,それを文字の開始位置として,文字図形および右のマージン(右側のサイドベアリング)が文字の終了位置となるように各文字のネガティブ像を配置している.この専用文字盤では,文字図形と左右のマージン(サイドベアリング)を合わせたものが,それぞれの文字の字幅となる.これを利用することにより,通常であれば等幅で配置される日本語の仮名文字を,あたかもプロポーショナルの字幅をもつ文字として配置することが可能となった.

この詰め組用の仮名の専用文字盤は,等幅の字幅で組む場合に比べ,より視覚的に均等な文字の配置となり,こうした配置が必要とされる雑誌の見出しや商業印刷物などにおいて広く用いられた.

Received on Saturday, 6 July 2024 03:01:33 UTC