- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Tue, 12 Mar 2024 09:42:25 +0900
- To: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
木田泰夫 様 みなさま 小林 敏 です. 木田泰夫 さんwrote >アクセシビリティなどの必要性から本来の読みを示すためのルビをつける必要のある場合に、元々の文に「そう読んで欲しいのではない、必ずしも仮名でない」言い換え表現などのルビがついていたらどうするんですか? >ルビを二重にするのか、もしくは、アクセシビリティのためのルビが指定されたら「そう読んで欲しいのではない」ルビを消すのか。 問題は,以下のようなカタカナやラテン文字のルビが付く場合です. 極光 ルビ:オーロラ 避難所 ルビ:アジール 同業組合 ルビ:ギルド 針葉樹林帯 ルビ:タイガ 視聴者 ルビ:audience 教科書どおりの方法 ルビ:textbook method また,次のような例もあります. 筆跡 ルビ:て 幸運 ルビ:うん 森羅万象 ルビ:いきとしいきるもの 一方をたてれば他方はなりたたない ルビ:トレードオフ これは,読みを示すというよりは,別の言葉でのいいなおし(注にちかいもしれない) さらに,漢字を含むルビの例もあります. ミルキーウェイ ルビ:天の川 こうしたルビは,最近の書籍では増えており,漢字の読み方を示したルビよりは多い場合も,けっこう目にしています.こうした現状からは,元データでルビデータのない漢字に,表示の際に漢字の読みとしてのルビを付けるということを考えた場合,なんらかの対応はしないといけない,ということになるでしょう. 原則としては,ルビにするかどうかは別にし,上記のすべての例では,漢字の読みを付ける必要があるように思います. なぜなら,執筆者は,“極光+オーロラ”という表現がしたかったわけであり,この表現を“極光”だけとする,又は“オーロラ”だけともするわけにはいきません(その表現がよいか,またはよくないかの判断はあるでしょうが,執筆者の表現を尊重するとすれば,そうなります).そして,“極光”という表現があるとすれば,“極光”という漢字の読み方は欠かせないでしょう.(“極光+ルビ:オーロラ”とあった場合,たぶん“きょっこう”+“オーロラ”と二重に読んでいくと考えられます.)ですから,読み方を1つにすることは避けた方がよいでしょう.二重になっているのだから二重に読むしかないでしょう. また,多くの読者も,“極光”の読み方を知りたいと思うでしょう. 追記: 年とともに,記憶力の衰えはどうしょうもありません.このような状況では,初出にルビを付けるという方針の本では苦労しています.2度目に出てくる場合に覚えていない,はて,なんと読んだか,と前に出てくる箇所を探して確認する(これがなかなか見つからない)という経験は,けっこうあります.
Received on Tuesday, 12 March 2024 00:43:49 UTC