Re: 行頭約物

石井 様
村上 様
みなさま

 小林 敏 です.

前のメールに誤りがありましたので,再送いたします.

行頭の括弧類の処理ですが,

  Koji Ishii さんwrote

>多岐の議論をしているので、どの側面を議論しているのかを明確にすると、わかりやすいでしょうか。

ということもあり,また,

  木田泰夫 さんwrote

>この議論、段落を字下げで作る場合はどうなるのが良いか、段落を空行で作る場合にはどうなるのが良いか。自分はどちらの前提で今話しているのか、分けて考えると少し整理がつきますかね?

これ,案外に関係するかもしれないと思いなおしています.ましてや,端物では,段落の先頭を下げないことも多いでしょう.そこで,一般化したケースを考えてみました.ただし,私はSCCに詳しくありませんので,私の用語で説明し,また,誤っているかもしれませんが,参考にしていただければと幸いです.

結論を先に書くと,
デフォルトの設定としては,“段落先頭の字下げはなし,折返し先頭はベタ”がよいと思う.段落先頭の字下げを設定したい人は,その設定を行う.

以前のメールに書いてことを繰り返します.

出てくる箇所は,以下の2つ
 段落の先頭行(全角下ガリ)とする場合 以下,“段落先頭”という
 段落の2行目以下 以下,“折返し先頭”

考えられる組合せとしては以下の6つ(1つ追加),なお,括弧の字幅は二分として説明
 a 段落先頭:全角二分下ガリ 折返し先頭:二分下ガリ
 b 段落先頭:全角二分下ガリ 折返し先頭:ベタ(以下,天付きという)
 c 段落先頭:全角下ガリ 折返し先頭:二分下ガリ
 d 段落先頭:全角下ガリ 折返し先頭:天付き
 e 段落先頭:二分下ガリ 折返し先頭:天付き
 f 段落先頭:天付き 折返し先頭:天付き

今回は,すべてありと考えます.

今回の考えの前提:今後,段落を示す方法として,Webでは,段落間を1行アキ(必ずしも1行としないで,行間を広げればいいのですが,以下,1行アキという)にする方法が増える可能性がある.この場合,これまでの慣習にならい段落先頭を全角下ガリとする方法をよく見かけるが,1行アキの場合は,その必要はない.と考えると,今後は,段落先頭を全角下ガリとしない方式が増える可能性がある.また,端物では,段落の先頭を下げないことも多いでしょう.

となると,段落先頭について書式としては全角下ガリにしない方法がデフォルトでいいことになる.そうすると,どうなるかは以下.

A 段落先頭について書式としては全角下ガリにしない(天付き)をデフォルトと考えた場合(全角下ガリをデフォルトとした場合にどうなるかは,この後に記します).

デフォルトをどう決めるか,段落先頭及び折返し先頭,というか折返し先頭だけが問題
 A-a 折返し先頭(及び段落先頭)のデフォルトは天付き
 A-b 折返し先頭(及び段落先頭)のデフォルトは二分下ガリ
どちらに決めてもよいが,私はA-aがよいと思っている.

 (注)段落先頭の字下げがなしの場合で折返し先頭を天付きとした設定では,段落先頭も天付きとなる,と私は考えたが,それでいいですか?

A-A 段落先頭に全角スペースが入っている場合
 B-a 約物連続時に詰める設定 → 段落先頭は,全角下ガリ(全角スペースと括弧の字間は二分詰められる)
 B-b 約物連続時に詰める設定がない → 全角の二分下ガリとなるが,行の調整処理で詰められるかもしれない,つまりアキはい一定しない可能性がある.

段落先頭と折返し先頭の組合せは以下
 A-aとB-a → 組合せのdとなり,まったく問題ない,私はこれが理想
 A-aとB-b → 組合せのbとなる可能性があるが,段落先頭は保証されない.この組合せは,一般にないが,読む際に問題が出るわけではない.まあ,それはデータの作り方と,細かい設定をしっかり考えないことが問題で,データを作成した人の責任と思う.
 A-bとB-a → 組合せのcとなり,これはあまりない配置だが,それはそれでよい.
 A-bとB-b → 組合せのaとなる可能性が高く,それはそれでよいが,段落先頭は保証されない.まあ,それはデータの作り方と,細かい設定をしっかり考えないことが問題で,データを作成した責任と思う.

A-B 段落先頭に全角スペースが入っていない場合
 A-a 段落先頭も折返し先頭も天付き これはこれで問題はでない
 A-b 段落先頭も折返し先頭も二分下ガリ これはこれで問題はでない

このように考えてくると,折返し先頭をどうするかは議論になるが(aとした方が問題の発生は少ない),段落先頭について書式としては全角下ガリにしない(天付き)をデフォルトとしてよさそうだ.1行アキにしないで,折返し先頭を全角下ガリにしたい場合は,そのように考えた著者なり編集者が書式を変更し,全角下ガリに設定を行えばよい.とうぜん,そのような書式を設定する場合は,折返し方法も考えて設定する必要があるので,デフォルトの状況を考えて設定するだろうから,それもあまり問題とならない.

B 段落先頭について書式としては全角下ガリにするをデフォルトと考えた場合

B-A 段落先頭に全角スペースが入っている場合

 C-a 約物連続時に詰める設定 → 段落先頭は,2倍下ガリ(全角スペースと括弧の字間は二分詰められる)
 C-b 約物連続時に詰める設定がない → 2.5倍下ガリとなるが,行の調整処理で詰められるかもしれない,つまりアキはい一定しない可能性がある.

いずれも問題が多い.この場合,折返しがどうなる以前の問題といて,段落先頭では誰もが考えていない結果となる.ですから,こうした状況が起こるということを考慮するか,しないかだけが問題.

B-B 段落先頭に全角スペースが入っていない場合

 C-d 折返し先頭のデフォルトは天付き 組合せのdとなり,まったく問題はない
 C-e 折返し先頭のデフォルトは二分下ガリ 組合せのaとなり,これはこれで問題ない.

(注)改行先頭の括弧は,折返しを二分下ガリの設定では,改行先頭は全角二分下ガリ,でいいですね?

このように考えると,折返しのデフォルトは,天付きでも,二分下ガリでもがよいが,aが多数派か,そうでないと考えるかで異なる.aを小数派と考えれば天付きがデフォルト,aを多数派と考えれば,デフォルトは二分下ガリ,となる.

ですから,改行行頭を書式としては全角下ガリにした場合は,主に改行の全角下ガリを実現するために全角スペースを挿入しているデータをどう考えるかが重大な問題となる.これを無視するなら,段落先頭の書式として全角下ガリをデフォルトとしてよい.

以上から抜けている問題がある.それは組合せのeが実現できないことである.eをどう実現するかは,けっこう難しい.eの場合,段落先頭に括弧がなければ全角下ガリです.

e方式を選んだ場合,折返しを天付きにするのは簡単であるが,改行行頭である.括弧で始まらない行は全角下ガリなので,別個に括弧で始まる段落はdivで名称を付けて区別し,書式を設定するしかないのか,それとも何か方法があるのかは,私はわからない.

そして,このeは,下農さんのメールから判断すると,世間一般では少数派になりそうであるが,出版の世界で出版社の数では少数派であるが,刊行点数では多数派である.つまり無視できない,ということになる.

以上,ご参考まで

Received on Friday, 20 October 2023 08:24:04 UTC