RE: 全角幅送りの議論

木田 様
山本 様
みなさま

 小林 敏 です.

 >“行送り方向のサイズが文字サイズとなる”という定義について

この件,調べなおしてみましたら,JIS X 4051やJLreqの文字サイズに定義は“行送り方向のサイズが文字サイズとなる”と思い込んでいましたが,違っていました.ええええ! といったところで,どうも面目ありません.

JIS X 4051の定義は,JIS Z 8305(活字の基準寸法)と同じで,“文字の高さ”です.文字を正立させた場合における上下のサイズです.

いずれにしても,文字サイズは,どう定義しても問題が出そうで,“文字の高さ”と定義しても,また,“行送り方向のサイズが文字サイズとなる”と定義しても問題が出そうです.これは,あくまで,ドキュメント内での説明のためのもので,処理系でどうするかは別の問題です.説明する際に矛盾がでないか,どうかということです.

どういうことかというと,サイズは,実際の処理では,ある基準サイズの元図(元データ)を比率計算し,それが実現されたものです.

ところで,実現された文字,表示された文字がどうなるかはによって,文字サイズが,実際のどこに示されているかは,実際の組版を行ってうえでないと決まりません.ところが,組版した結果と関係づけて文字サイズは定義されていません.それとは無関係に文字サイズは定義されています.そこに無理があるのです.

アラビア数字の場合は,“文字の高さ”という定義は,横向きであろうが縦向きであろうが,うまく説明が付きます.しかし,“文字の高さ”という定義は,文字を変形した,又は変形したフォントの場合は,うまくいきません.長体のときは“文字の高さ”が文字サイズになりそうだ.ところが,平体のときは,たぶん“文字の左右”が文字サイズになりそうだ.

“行送り方向のサイズが文字サイズ”という定義は,ある程度はうまくいきそうだが,どう組版するか,ということと関係づけて考えると,うまくいかない.前述のアラビア数字がそうです.縦組で横転させる場合や横組では問題ないが,縦組で正立させる場合は,うまくいかない.アラビア数字を正立させるか,横転させるかは,何も言っていませんから,どちらが正解ともいえない.

変形させた場合は,さらに複雑ですので,考えるのは,やめにします.

私の結論は,以下です.

文字サイズについては,どう定義してもうまくいかないので,ほっておく.これまでドキュメントを書いてきた経験からいうと,文字サイズを厳密に定義しなくても,ほとんどの説明はできる.“行送り方向のサイズが文字サイズ”と誤解していた私でも,説明ができていた.つまり,文字サイズの定義はあまり影響がなかった.ですので,文字サイズの定義は,変えないですみそうだ.(要は,あまりそこに厳密な突込みは入れない.)

以上です.

Received on Sunday, 15 October 2023 05:10:17 UTC