- From: Taku Yamaguchi <study.yamahige@gmail.com>
- Date: Sun, 8 Oct 2023 11:33:18 +0900
- To: W3C JLReq TF <public-i18n-japanese@w3.org>
グッドデザイン賞は「受賞対象の詳細」の文章に、KPIが何なのか具体的に書いたほうがよいですね。「感性じゃなく科学なのだ」と言いつつ、説明が科学的じゃない気がします。 この取り組みの中身は、これのことだと思います: 文字と行間の大きさは何が良い?読みやすさとKPI両立への挑戦, Yahoo! JAPAN Tech Blog(2023.05.24) https://techblog.yahoo.co.jp/entry/2023052430423559/ これによるとアンケートに基づいてるのは予備実験で、実証実験では回遊性やページビューとの関係を調べてます。また実証実験では被験者にヤフーニュースを読ませていて、5千字くらいはあるようです: ドローンよ、福島から飛び立て 再興拠点に集まるベンチャーの挑戦 https://news.yahoo.co.jp/articles/aa5f2fa33a5c412a24b527b0be01a916ab8e09f5 [1] 予備実験: 文字と行間 ⇅ アンケート [2] 実証実験: 文字と行間 ⇅ KPI: 回遊性(サイト内のページをどれくらい訪問したか)、ページビュー(Page View, PV) その一方で、グッドデザイン賞やYahoo! JAPAN Tech Blogの説明文では、こんなふうに読めます。でも、鈴木さんは「読みやすさ」を定義してないですよね。 [3] グッドデザイン賞 文字と行間 ⇅ 「読みやすさ」 ⇅ KPI: 回遊性、ページビュー 鈴木健司さんの研究はこれだと思う。彼の研究の主眼は[2]ですね。 ユーザ体験を小規模で短期間に検証し改善するミクロUX法に関する研究, 北海道大学 博士論文(2022年3月24日) https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/85531 2023年10月8日(日) 9:52 Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>: > > 小林龍生 様 > みなさま > > 小林 敏 です. > > いくつかコメントいたします. > > 1 読みやすさの評価は,とても重要で,こうした調査がすすむことは大いに期待しています. > > 2 ただ,読みやすさの評価は,各種の要素が絡んできて,その評価は簡単でない.以下の要素が重要かと思います. > 1行の字数 > 字間の大きさ(フォントの字面の大きさ) > 漢字と仮名のバランス > 文字サイズ > テキストのなじみ(既存の知識で対応できる,新しい概念を含む) > テキストそのものの長さ > > 3 1行の字数が重要です.今回のテストでは,20数字のテストのようですが,この程度であれば,1.5程度で十分読めます.1.4でもそれほど否定的でないようなので,それは言える可能性がある. > > 4 字面の大きさ(フォントの字面の大きさ)も重要で,一般の明朝体では,字間があいて見え,一般のゴシック体では,字間が詰まってきます.前者がより広い行間を必要とし,後者は,やや詰めてもいいように思っています.今回の調査はやや字面の大きなフォントです.それでも,1.7ということは,紙の本よりはモニタの方が広い行間を必要とするのか,そうとも思えるが,感想だけの判断からは,すぐに結論を出すということにつながらない,とも思う. > > 5 文字サイズは大きくなれば行間はいくか狭めることができる.これは,今回の調査でも,同様な結論になっている. > > 6 ところで,今回の調査ではアンケートを主に調査していますが,読みやすさの評価は何をもって判断すればよいかは,とてもむつかしい.一般には,行間が広いにこしたことはない(ただし,その量は限界があり,全角以上はあまり影響ないというのがこれまでの経験)ので,どうしても広い方がよく,その結果として1.7という数値が出たのは,ある程度予想できることです.しかし,それが本当に読みやすいのか,どうか,また,読むといことで,何が実現できればよいのか,という評価の軸も同時に考えていかないといけない. > > 7 読みやすさの評価は,読んだうえでの理解度,読むスピード,読む人の感想などで評価できますが,読む際の疲労度は,ある意味で読みやすさの評価の判断にとって大きいと思います.以前,詰め組(1歯ツメでなく0.25歯ツメ)を行った際に,校正者から疲れが多くなたという意見を聞いたことがある.これは読みにくくなったということでしょう.その原因は慣れの問題か,ツメ組のせいかは不明ですが. > > 8 また,読む人の慣れの問題も大きいが,これはどう考えていけばよいか. > > 9 読みたいという情報は,少々読みにくくても読んでします,ということもある. > > 10 読みやすさも,長いテキストと短いテキストで対応は変わる.短いテキストであれば,すぐ読んでしまうので,疲れはほとんで問題ない.が,長いテキストこそ,読みやすさが重要.この長いテキストの読みやすさの評価はどう行えばよいか. > > 今後,こうした調査が,より詳細に行われることを期待いたします. > > 小林龍生 さんwrote > > >ご参考までに。 > >https://www.g-mark.org/gallery/winners/15570?years=2023 > >
Received on Sunday, 8 October 2023 02:34:47 UTC