Re: テキストコンテンツを読みやすくする文字と行間の適切な大きさを科学的に検証する取り組み

小林龍生 様
みなさま

 小林 敏 です.

いくつかコメントいたします.

1 読みやすさの評価は,とても重要で,こうした調査がすすむことは大いに期待しています.

2 ただ,読みやすさの評価は,各種の要素が絡んできて,その評価は簡単でない.以下の要素が重要かと思います.
 1行の字数
 字間の大きさ(フォントの字面の大きさ)
 漢字と仮名のバランス
 文字サイズ
 テキストのなじみ(既存の知識で対応できる,新しい概念を含む)
 テキストそのものの長さ

3 1行の字数が重要です.今回のテストでは,20数字のテストのようですが,この程度であれば,1.5程度で十分読めます.1.4でもそれほど否定的でないようなので,それは言える可能性がある.

4 字面の大きさ(フォントの字面の大きさ)も重要で,一般の明朝体では,字間があいて見え,一般のゴシック体では,字間が詰まってきます.前者がより広い行間を必要とし,後者は,やや詰めてもいいように思っています.今回の調査はやや字面の大きなフォントです.それでも,1.7ということは,紙の本よりはモニタの方が広い行間を必要とするのか,そうとも思えるが,感想だけの判断からは,すぐに結論を出すということにつながらない,とも思う.

5 文字サイズは大きくなれば行間はいくか狭めることができる.これは,今回の調査でも,同様な結論になっている.

6 ところで,今回の調査ではアンケートを主に調査していますが,読みやすさの評価は何をもって判断すればよいかは,とてもむつかしい.一般には,行間が広いにこしたことはない(ただし,その量は限界があり,全角以上はあまり影響ないというのがこれまでの経験)ので,どうしても広い方がよく,その結果として1.7という数値が出たのは,ある程度予想できることです.しかし,それが本当に読みやすいのか,どうか,また,読むといことで,何が実現できればよいのか,という評価の軸も同時に考えていかないといけない.

7 読みやすさの評価は,読んだうえでの理解度,読むスピード,読む人の感想などで評価できますが,読む際の疲労度は,ある意味で読みやすさの評価の判断にとって大きいと思います.以前,詰め組(1歯ツメでなく0.25歯ツメ)を行った際に,校正者から疲れが多くなたという意見を聞いたことがある.これは読みにくくなったということでしょう.その原因は慣れの問題か,ツメ組のせいかは不明ですが.

8 また,読む人の慣れの問題も大きいが,これはどう考えていけばよいか.

9 読みたいという情報は,少々読みにくくても読んでします,ということもある.

10 読みやすさも,長いテキストと短いテキストで対応は変わる.短いテキストであれば,すぐ読んでしまうので,疲れはほとんで問題ない.が,長いテキストこそ,読みやすさが重要.この長いテキストの読みやすさの評価はどう行えばよいか.

今後,こうした調査が,より詳細に行われることを期待いたします.

  小林龍生 さんwrote

>ご参考までに。
>https://www.g-mark.org/gallery/winners/15570?years=2023

Received on Sunday, 8 October 2023 00:52:07 UTC