全角の歴史

山本さん & all、

「1.4.1 欧文組版から見た日本語組版の特徴」の下の部分に対し、山本さんがコメントをくださっています。面白い話題なのでここで質問を。

元のテキスト:
> これは金属活字より続く印刷の特徴(例)であるが、固定幅で字を書く伝統は遠く古代中国や日本の手書きの時代からフォーマルな文書に見られ(例)、脈々と続いてきた伝統でもある。



山本さんのコメント:
> 山本:「これは金属活字より続く印刷の特徴(例)であるが」とありますが、むしろ「これは鋳造金属活字を用いた西洋式の活版印刷術から継承されてきた文字設計の特徴」が正しいと思います。なぜなら、印刷技術は金属活字に先行して開発され、中国や韓国での金属活字の発明はグーテンベルクの発明に先行するからです。

ここですが、「古活字版」を検索してみると、確かに嵯峨本のようなプロポーショナルなものもありますが、明らかに等幅のものもありますので、西洋式の活版印刷術が等幅の始まり、とは言えないのではないでしょうか?

e.g.
https://www.morisawa.co.jp/culture/japanese-typesetting/04/



また、
> 山本: 「固定幅で字を書く伝統は遠く古代中国や日本の手書きの時代からフォーマルな文書に見られ」とありますが、手書きの書の場合には文字字体の幅は等しくはなりません(これは格子状のグリッドのガイドライン[専門的には方格鳥絲欄と呼ぶそうですが]を用いていない手書きの書において明らかです)。方形の欄を用いたのは、字幅が揃わない文字を、一行あたりの文字数を揃え、一定の間隔で、整然と配置することが目的であったと考えられるのではないでしょうか。そうであれば、ここは、 「方形の枠をガイドとして文字を書く伝統は遠く古代中国や日本の手書きの時代からフォーマルな文書にも見られ」とするのが良いのではないでしょうか。

ですが、以前「台頭」の話題で田嶋さんが送っていただいたリンクの例など、「科挙の答案」を画像検索してみると、枠なしで等幅進行です。下の例でも、特に幅の大きい/小さい字が出てくるとそこで少々乱れますが、原則は等幅進行といえましょう。





元記事へのリンク

https://github.com/w3c/jlreq-d/wiki/1.4-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E7%B5%84%E3%81%BF%E6%96%B9%E5%85%A5%E9%96%80

Received on Wednesday, 4 October 2023 00:11:33 UTC