英単語等が入る場合の調整処理

木田泰夫 様
みなさま

 小林 敏 です.

英単語やアラビア数字など,2行にわたる分割禁止である,ある程度の文字数のある語を含む場合の行の調整処理について,少し考えてみました.いろいろな方法を組み合せる必要がありますが,問題は,どこまで許容できるのか,また,何を優先すればよいか,という議論が必要だと思っています.

まず,考えられる方法を列挙いたします.

A 行頭・行末をそろえる場合

 a ラテン文字の単語の分割を認める(分綴が不可の箇所も認める)
  a1 行末に何も記号を入れない
  a2 行末にハイフンを入れる
 *たぶん,これは賛同されないと思う.a2は現時点では自動処理はできないでしょう.
 *ラテン文字の単語や頭字語を縦向きに配置した場合は,一般に単語や頭字語の字間での分割は禁止されていない.しかし,これはDTPでは簡単に禁止にできるので,禁止している例は,けっこう見掛ける.
 *英単語は,ある意味で単語をまとめて読み,意味を理解するので,分割禁止が原則である(単語は語間で示すので,単語の区切りがあいまいになるということもある).では,それは日本語組版でも,そうであるか,という議論は可能.縦組で縦向きに英単語を配置した場合は,1字1字読む可能性が高いので,分割を認めていると思われる.この考えは,そもそも外国語が十分に読めない読者にとっては,横組でも分割してよいのでは,という考え方につながらないか?
 *行長が特別に短い場合に限って,この処理を認めるということも考えられる.

 b アラビア数字の分割を認める
  a1 行末に何も記号を入れない
  a2 行末(及び行頭)に何らかの記号を入れる
 *アラビア数字の分割を認める考え方はあり,その例もある(DTPなどでは,アラビア数字の分割はけっこう面倒なので,最近は見掛けない)
 *縦組でアラビア数字を縦向きに配置した場合は,アラビア数字の字間での分割は禁止されていない.しかし,これはDTPでは簡単に禁止にできるので,禁止している例は,けっこう見掛ける.(漢数字も禁止にできるので,禁止にした処理は,よく見掛ける.)
 *アラビア数字は,位置が数字の桁(位)を示す.分割すると,その位置が不明確になるというのが,分割禁止の主な理由と考えられる.漢数字は,原則として,十百千などの単位語を入れて数字の桁を示すので,分割可能ということであるが,今日では単位語を入れない方式が増えており,分割禁止という考え方は成り立つ.ただし,過去の慣例から,一般に漢数字の分割は認められている.

 c 詰めてよい箇所を増やす,例えば,仮名の字間
 フォントにもよるが,仮名の字間(漢字+仮名の字間も含む)は,少し空いている.この字間を一定の範囲で詰めてよいことにする.
 *行の調整処理で問題が出る,あるいは,1行だけ行数を減らしたいという場合,私は,DTPで,手作業でよく,この処理を行っていた(行長にもよるが,全角以上の調整が可能な場合もあった).たぶん,一般の読者にはわからないだろう.
 *写研の日本語組版プログラムはSAPCOL(サプコル)でも,その処理が選択できた.

 d 複数の行で調整処理を行う
 段落単位で調整処理を行うということである.
 *段落の行数が多い場合,cと組み合わせると,けっこううまくいくケースはあった.
 *段落が2行で,調整箇所がなく,困ったことはよくあった.
 *行長が短く(しかも行数が少ない)と,いう場合もあった.

B 行頭そろえを選択する
 a いっさいの単語の分割は行わない
 b 行末のアキが指定したアキ以上になる場合で,単語の分割可能なときは分割を行う

 

Received on Friday, 8 September 2023 02:31:22 UTC