- From: 木田泰夫 <kida@mac.com>
- Date: Thu, 7 Sep 2023 12:06:16 +0900
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Cc: Yamamoto Taro <tyamamot@adobe.com>, Makoto MURATA <eb2m-mrt@asahi-net.or.jp>, JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
- Message-Id: <07B077EF-32AD-4B1B-B483-ABEBF9F29FF6@mac.com>
私もjlreq-dにぜひ欲しい情報だと思います。 山本さん、お願いしてもいいですか? 場所は、2. 日本語の組み方の詳細 <https://github.com/w3c/jlreq-d/wiki/2.-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E7%B5%84%E3%81%BF%E6%96%B9%E3%81%AE%E8%A9%B3%E7%B4%B0>の一部ですね。ここに書いて、もし1.4 日本語の組み方 <https://github.com/w3c/jlreq-d/wiki/1.4-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E7%B5%84%E3%81%BF%E6%96%B9>に拾うべき内容があれば拾う。 木田 > 2023/09/07 11:57、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール: > > 木田 様 > 山本 様 > みなさま > > 小林 敏 です. > > 木田さん > > 大きな文字サイズの文字字間の問題ですが,以下の山本さんのコメントを元に,山本さんにまとめてもらい,Jlreq-dのどこかに入れるということは考えられませんか? > > 山本さん,お願いいたします. > > Taro Yamamoto さんwrote > >> (さらにコメントを追加します)。 > >> 小林さんが書かれたように、パンチカッター(父型彫刻師)が父型を彫刻していた時 >> 代、またはそれと同様にパントグラフの原理を利用したベントン彫刻機を使わずに母 >> 型を作成するためのデザインの原型を手で彫って作成していた時代においては、各文 >> 字サイズごとにデザインが異なっていて、原寸大の大きさで読みやすくしかもデザイ >> ンの一貫性が保たれるように、文字の形がサイズごとに最適化されていました(もち >> ろんこの出来不出来はその職人の技量とセンスに依存したわけですが)。また、その >> 後、父型や母型の製造が機械化されるようになった時点でも、基となる文字のデザイ >> ン(原字パターン)は同じでも全角の中での大きさ(字面率)を調整するなどして、 >> サイズごとに微調整が行われました。しかし、これらのことはサイズごとに活字を製 >> 造する必要があるためで、光学的に原字から作成した文字盤上の文字を拡大縮小する >> 手動写植機やデジタルフォントを用いる電算写植やDTPにはあてはまりません。同じ原 >> 字パターンを拡大縮小するだからです。これまで、この問題に対する解決策として、 >> 次の方法が用いられてきました。 >> >> a. 想定する印字サイズのレンジを決めて、それらのレンジごとに、最適化したデザイ >> ンを作成して、異なるフォントを作成して、用途に応じて使い分ける。これは欧文フ >> ォントで行われてきました。次の例はGaramond Premier Proの例で、キャプション、 >> 本文、見出しの3つのレンジごとに最適化したデザインのフォントを用意しています。 >> https://flic.kr/p/2p1ixPs >> >> b. 字幅の送り機構の最小単位を細かくして、文字を組む段階で微妙に文字の間を空け >> たり詰めたりして、書体デザインが作成された時に想定されしていた印字サイズと実 >> 際の印字サイズが異なる場合に、字間のスペーシングを調整できるようにします。こ >> のことは欧文の字幅の送りユニットが1/18 EMからどんどん細かく指定できるようにな >> っていった歴史が示しています。また、送り機構の最小単位を十分に細かくすること >> によって、対象とする装置とは異なるユニットでデザインされたデザインを移植する >> 際にも、誤差を最小化できます。現代のデジタルフォントでは全角あたり1000ユニッ >> トか2048ユニットが多いですが、さらに大きなユニット数を採用することも可能です。 >> InDesignなどでは、トラッキングの機能を使って字間の全体的な調整を行うことがで >> きます。日本語組版でも、いわゆる写植時代に「1歯詰め」と呼ばれたように、字送り >> 量を1歯減らして、均等に詰める方法が、商業印刷物などに用いられました。(ただし、 >> この方法は推奨できません。単純に1歯詰めるだけだと、日本語のフォントは通常プロ >> ポーショナルでないため、特に漢字のあいだで詰まり過ぎる箇所が発生してしまうた >> めです。ただ、一見よりタイトに見える版面が得られるのでグラフィックデザイナー >> が多用しました。) >> >> c. 現在では、 Variable Fontsのように可変軸をもつフォントを用いることで、印字 >> サイズに最適化したデザインのインスタンスを生成して利用可能にする方法が考えら >> れます。 >> >> d. これは日本語のフォントにも言えることですが、太さが細いフォントは本文用、太 >> いフォントは見出し用を想定して、ウェイト(太さごとに)仮想ボディの中でどれぐ >> らいの大きさでデザインするか、及び明朝体などでの縦画線と横画線の太さの対比 >> (コントラスト)を変えています。これは書体のデザインの段階で一般的に広く行わ >> れていますが、これも印字サイズに書体デザインを最適化する一つの方法といえます。 >> >> e. 特に見出しにおいては、文字の詰まり方とスペーシングはデザイン上の重要な要素 >> なので、書体デザイナーがフォントの中で設定した詰まり方とは関係なく、それぞれ >> 個々のデザインに応じて、詰めたり空けたり、必要であれば一文字づつ手で詰めたり >> 空けたりする作業が行われます。このことは、最適なスペーシングはレイアウトやデ >> ザイン全体と相互に連関し依存しているということを示しています。 >> >> つまり、この問題については、書体をデザインする際に対処できることと、それを組 >> む側が対処できることがあると考えられます。 >> >> 山本太郎 >
Received on Thursday, 7 September 2023 03:06:38 UTC