RE: 行長とマージン


(少しコメントさせて下さい。)

> 整数倍に設定する場合,行長は,文字サイズ×文字数という設定ができるとよい

これはまったくその通りだと思います。字詰めで行長を指定するのは和文組版の常識だと思います。
また、特定の文字サイズの整数倍に行長を制約するか、しないかも選択可能にすべきだと思います。
ジャスティファイするか左揃え行末成り行きにするかも、選択可能であるべきだと思います。

> 2 望ましいマージン
> これはむつかしい.字詰め方向のマージンは,配置領域と行長が決まれば,それで決まるということにはならない.例えば,紙の本で考えても,句集,一般の単行本,雑誌では,望ましいマージンは異なる…… 

このご意見にもまったく賛同いたします。

マージンというのは、ページに限定されるわけで、ページに分割されないメディアでは、少なくとも横組みでは「地」(下側)のマージン、縦組みでは左側のマージンは存在しないのではないでしょうか。また、webなどでは、ページの中に他のページが含まれる場合があるので、マージンにもいろいろなマージンがあるかと思いますが、ここでは、個々のtype area(文字が占める矩形の範囲)の外周の余白の意味で考えています。

また、ページが存在する場合のマージンは、ページの空間構成=デザインの重要なポイントであるため、デザイン上の決定事項であり、千差万別であり、最適なマージンは決定不可能です。また、ノド側を中心として左右対称の見開きページとするのか、同一のマージンを左右両ページに設定する左右非対称のページ構成にするかも、デザイン上の決定事項であり、実際千差万別です。

できることがあるとしても、何も明示的に指定されなかった場合にはtype area(文字が占める矩形の範囲、つまり横組みでは幅が行長に等しく、高さが (行数 - 1) x 行送り + 文字サイズに等しい)の上下左右に最低限いくらかのマージンを設定することを推奨することぐらいではないでしょうか。その場合、推奨はできますが、ページのデザイナーがマージンを指定する場合に、その値がとるべき範囲を強制することはできません。例えば文芸書の本文組でも、伝統的な様式を踏襲するデザイナーとそうではないデザイナーとではマージンの設定は大きく異なってきます。例えば一時期の文芸誌『思潮』や『牧神』などでは縦組みで天のマージンがきわめて狭く設定される場合が多くありましたが、一般的な縦組みの文芸誌ではより保守的で広めのマージンが設定されています。これは、上に書かれているように、内容とデザインによってマージンの設定は幅が広く、推奨できる最低値があったとしても、推奨値以外のマージン設定を禁止することは、誰にもできないと思います。(また、マージンの最大値を推奨することは最初から不可能ではないでしょうか。)

> 3 日本語組版の行長は,文字サイズの整数倍の設定
> これは,日本語組版のすべての場合に必要とはならないかもしれないが,間違いなく,それが必要になる場合が多い(この問題は,山本さんや私のメールで理由を説明している)

この考えにもまったく同意します。

山本太郎
アドビ

Received on Wednesday, 30 August 2023 06:22:10 UTC