Re: CJKフォントのpalt(詰め組)とkernの関係

On Tue, Apr 18, 2023 at 12:32 PM Shinyu MURAKAMI <murakami@vivliostyle.org>
wrote:

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> 私が言いたかったことは、フォント制作者の意図と違ってkernだけを有効にしてもそれなりによい結果になっていたのを、石井さんはそれがフォント制作者の意図であると勘違いしていたのではないかということです。
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> paltとkernの両方を持った日本語フォントで、paltを有効にしないでkernだけを有効にする前提で作られているものがあるとは考えられません。なぜならpaltとkernの組み合わせで最適になるようにkernを設定しないと、そのフォントが詰め組に対応するためにpaltとkernの両方を持っている意味がないし、もしも片方を有効にすることしか考慮されていないフォントがあったら、そのフォントは正しい詰め組の設定(paltとkern両方有効)をしたとき正常な結果にならないでしょう。
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> ですので、ここの認識は石井さんが間違っていると私は考えます。
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> しかし、「多くのアプリケーションにおいてこの20年間」フォントの設計意図通りではない表示がされてきたけど、それなりによい日本語テキスト表示になっていてユーザーは満足しているのに、それら多くのアプリケーションに修正を求めるということは無理があるのでないか、という主張であれば検討する必要があると私は考えます。
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まずは、一番大事なところをご理解いただいて、ありがとうございます。正しいことと信じていても、一人で主張し続けるのは辛いので、大変助かりました。

で、細かいことですが、「間違っていると考えます」という点について、ご説明いただいて村上さんのお考えを理解できました、ありがとうございます。少し釈明させてください。

村上さんの理論は、「ベタ組みと詰め組の二種類しかない」かつ「ベタ組みはグリッドにきっちり合わせる必要があるので、カーニングを入れてはならない」というトラディショナルな組版をベースに考えれば、仰るとおりだと思います。しかし一方で、ご存知のように、連続役物の詰めや、Webで特に多用される欧文単語の混植もあり、文字方向について「グリッドにきっちり合わせる」という重要性は、近代的な組版においては以前ほど重要視されなくなってきていることはご同意いただけるかと思います。

「す。」にカーニングを設定していたのは、本文用のフォントです。つまり、「ベタ組み」か「詰め組」か、と言われれば、「ベタ組み」用のフォントです。もちろん厳密なベタにはなりませんが、ベタ組みでも閉じカッコと句読点の間は詰めた方が良い、と考えるのと同様に、「す」と「。」の間は詰めた方が良い、と考えるのも、一つの妥当な考え方だと私は考えています。

トラディションに照らし合わせれば、これは邪道で、排除されるべき間違った考えかもしれませんが、デザイナーが「これがいい」「これをやってみたい」と言えば、トラディションとは違うと言って否定するよりも、デザイナーのやりたいことをやらせてあげる方が建設的だと思いませんか?
私の認識は、この経験から来ています。これでご理解いただけるでしょうか?

Received on Tuesday, 18 April 2023 04:12:39 UTC