Re: 日本語組版のアクセシビリティ

みなさま

 小林 敏 です.

  MURATA さんwrote
  
>たとえば「胡麻がら」という言葉がごんぎつねには出てきますが、たまたま
>「が」の後で改行されることがあります。「が」は助詞だと思って読んで、
>次の行が「ら」で始まっていて、意味が不明になる。そして、「がら」と繋げ
>て読まないと意味が通らないことに気づく。これは、先日の会議であった例です。

単語で区切らない日本語の問題かと思いますが,この例は,行末で分割されるから読みにくくなりますが,行の途中でも読みにくいものです.漢字の連続でも問題となる例もあります.
 例:仲尼太史の…… 仲尼は人名,太史は官名
   犀首公孫衍聞いて…… 犀首は官名,公孫衍は人名
   大変波がある

多くは仮名の連続です.以下にいくつか例を示します.
 例:身のためにはかろう生活(方法)
   作業の傍らもそもそかっじった
   いつものほほんと幸福で

ただ,こうした例は,多くないように思います(最近,こうした例を採集しようとしていますが,数か月で数例しか見つかりませんでした.)

こうした問題は,単語又は文節単位での行の折り返しで,いくぶんかはよくなるが,全面的な解決ということにはならないように思います.文章を工夫する,読点は使う,圏点を付ける,括弧を付けるなどの編集上の工夫が必要とされるように思います.

ところで,単語又は文節単位でも行の折り返し,行頭そろえという方法は現状ではごく少なく,慣れていないので抵抗感をいだく人もいます.(APLの“日本語書記技術WG報告書”の中で,英文と和文を併記した“Is EPUB part of the web?”の和文で単語区切りの行頭そろえという組版にしたのですが,ある人は読みにくいといっていました.)

ですので,この方法の利点に気づき,徐々に普及し,読者が慣れていくということが必要かなとも思っています.

Received on Tuesday, 4 October 2022 04:16:02 UTC