- From: MURATA Makoto <eb2m-mrt@asahi-net.or.jp>
- Date: Sun, 16 Oct 2022 11:38:18 +0900
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Cc: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
- Message-ID: <CALvn5EA3_zqiCJU+TeZFwbcy4BLDJ+c0-Ps+yF5W3Mke88vWbw@mail.gmail.com>
敏先生、 お返事が遅くなりました。 > MURATA さんwrote > > >たとえば「胡麻がら」という言葉がごんぎつねには出てきますが、たまたま > >「が」の後で改行されることがあります。「が」は助詞だと思って読んで、 > >次の行が「ら」で始まっていて、意味が不明になる。そして、「がら」と繋げ > >て読まないと意味が通らないことに気づく。これは、先日の会議であった例です。 > > > 単語で区切らない日本語の問題かと思いますが,この例は,行末で分割されるから読みにくくなりますが,行の途中でも読みにくいものです.漢字の連続でも問題となる例もあります. > 例:仲尼太史の…… 仲尼は人名,太史は官名 > 犀首公孫衍聞いて…… 犀首は官名,公孫衍は人名 > 大変波がある > > 多くは仮名の連続です.以下にいくつか例を示します. > 例:身のためにはかろう生活(方法) > 作業の傍らもそもそかっじった > いつものほほんと幸福で > > ただ,こうした例は,多くないように思います(最近,こうした例を採集しようとしていますが,数か月で数例しか見つかりませんでした.) > > 活版以前には、散らし書きというものがあったようです。 各行の行頭または行末、またはその両方を揃えずに、さらに各行の文字の大きさや行の長さ・高さを変えながら散らして書く方法 というのが散らし書きです。行頭、行末をそろえて 書くのを並べ書きといいます。すべて以下のページ の受け売りです。 http://www.bekkoame.ne.jp/ha/a_r/A50.htm 散らし書きの例をいろいろ見てみましたが、行末 なんていうものは気にしないので、単語の途中での 分割はほぼありません。文節単位ごとに別の 行にしていることも多々あります。 > > こうした問題は,単語又は文節単位での行の折り返しで,いくぶんかはよくなるが,全面的な解決ということにはならないように思います.文章を工夫する,読点は使う,圏点を付ける,括弧を付けるなどの編集上の工夫が必要とされるように思います. > > ところで,単語又は文節単位でも行の折り返し,行頭そろえという方法は現状ではごく少なく,慣れていないので抵抗感をいだく人もいます.(APLの“日本語書記技術WG報告書”の中で,英文と和文を併記した“Is > EPUB part of the web?”の和文で単語区切りの行頭そろえという組版にしたのですが,ある人は読みにくいといっていました.) > > ですので,この方法の利点に気づき,徐々に普及し,読者が慣れていくということが必要かなとも思っています. 文字の大きさも、行間も字間も行長も一定しないことを よしとする美意識が活版より前の日本人、とくに 女性にはあったのです。小林潤平さんの階段状ベース ラインも、散らし書きなのかも知れません。デジタル時代の 組版が取り入れるべきことは多いのかも知れません。 村田 真
Received on Sunday, 16 October 2022 02:39:11 UTC