Re: 日本語組版のアクセシビリティ

敏先生、

お返事が遅くなりました。


>   MURATA さんwrote
>
> >たとえば「胡麻がら」という言葉がごんぎつねには出てきますが、たまたま
> >「が」の後で改行されることがあります。「が」は助詞だと思って読んで、
> >次の行が「ら」で始まっていて、意味が不明になる。そして、「がら」と繋げ
> >て読まないと意味が通らないことに気づく。これは、先日の会議であった例です。
>
>
> 単語で区切らない日本語の問題かと思いますが,この例は,行末で分割されるから読みにくくなりますが,行の途中でも読みにくいものです.漢字の連続でも問題となる例もあります.
> 例:仲尼太史の…… 仲尼は人名,太史は官名
> 犀首公孫衍聞いて…… 犀首は官名,公孫衍は人名
> 大変波がある
>
> 多くは仮名の連続です.以下にいくつか例を示します.
> 例:身のためにはかろう生活(方法)
> 作業の傍らもそもそかっじった
> いつものほほんと幸福で
>
> ただ,こうした例は,多くないように思います(最近,こうした例を採集しようとしていますが,数か月で数例しか見つかりませんでした.)
>
>
活版以前には、散らし書きというものがあったようです。

各行の行頭または行末、またはその両方を揃えずに、さらに各行の文字の大きさや行の長さ・高さを変えながら散らして書く方法


というのが散らし書きです。行頭、行末をそろえて
書くのを並べ書きといいます。すべて以下のページ
の受け売りです。

http://www.bekkoame.ne.jp/ha/a_r/A50.htm


散らし書きの例をいろいろ見てみましたが、行末
なんていうものは気にしないので、単語の途中での
分割はほぼありません。文節単位ごとに別の
行にしていることも多々あります。


>
> こうした問題は,単語又は文節単位での行の折り返しで,いくぶんかはよくなるが,全面的な解決ということにはならないように思います.文章を工夫する,読点は使う,圏点を付ける,括弧を付けるなどの編集上の工夫が必要とされるように思います.
>
> ところで,単語又は文節単位でも行の折り返し,行頭そろえという方法は現状ではごく少なく,慣れていないので抵抗感をいだく人もいます.(APLの“日本語書記技術WG報告書”の中で,英文と和文を併記した“Is
> EPUB part of the web?”の和文で単語区切りの行頭そろえという組版にしたのですが,ある人は読みにくいといっていました.)
>
> ですので,この方法の利点に気づき,徐々に普及し,読者が慣れていくということが必要かなとも思っています.



文字の大きさも、行間も字間も行長も一定しないことを
よしとする美意識が活版より前の日本人、とくに
女性にはあったのです。小林潤平さんの階段状ベース
ラインも、散らし書きなのかも知れません。デジタル時代の
組版が取り入れるべきことは多いのかも知れません。

村田 真

Received on Sunday, 16 October 2022 02:39:11 UTC