Re: web における和欧間スペース

みなさま

 小林 敏 です.

和欧文間のアキについては,以下のように問題を分ける必要がある.

1 どのような間隔が望ましいのか
 1.1 本文の場合
 1.2 見出しなどの場合
2 アキを確保する処理はどうしたらよいのか

以下は,日本語組版を前提に考えてみます.

1.1 本文の場合

活字組版時代の仮名や漢字とラテン文字及びアラビア数字の字間の処理は以下の3つ
 a 四分アキ(四分スペースを挿入)
 b 二分アキ(二分スペースを挿入)
 c ベタ組
aが望ましい処理をといわれていたし,それを支持する考え方が多かった.
bは,複数の単語の場合,その語間が三分となるので,それよりは大きくしたいという考え方によるものと思われる.
cは望ましくはないが,手間がかかるので,それを避けるために行われていた.

コンピュータ組版では,書式の設定で処理できたので,多くの出版物で四分アキが行われていた.
ただし,コンピュータ組版では,四分アキだけではなく,書式の選択で,四分アキ以外の値も選ぶことができ,四分より狭い,例えば八分(1/8)アキや六分(1/6)アキの処理などが行われていた.

Webでは,どう考えたらよいか.

これは,フォントによるので,何ともいえない.フォントの漢字や仮名の字面によるので,それによるということになる.漢字や仮名の字面の大きなフォントでは,漢字や仮名の字間が狭くなるので,それとのバランスから漢字や仮名とラテン文字の字間はベタ組ではよいと思われる例もある.

一般的にいえば,文字の字面と文字の外枠のアキ(ラテン文字でいうサイドベアリング)の考え方が漢字や仮名とラテン文字では基本的に異なっているので,漢字や仮名とラテン文字が並ぶと詰まった印象を与えることがある(もちろん漢字や仮名の字形にもよるが,個別の組合せで処理することは,やってできないことはないであろうが現実的でない).そこで何らかの一定のアキを確保したいことも多い.
私の印象でいえば,四分はアキ過ぎと思う場合もあり,八分(1/8)アキや六分(1/6)アキくらいがいいのかな,とも思っている.

1.2 見出しの場合

これは文字サイズが大きくなるいうことを考えると,単純な文字の拡大処理で行うことを前提にすると,文字の字面と文字の外枠のアキの関係が本文よりは,特に,漢字や仮名の余白が大きくなるので,本文とは同一の処理は,さらに難しくなる.文字の組合せも考慮したいとなれば,個別にアキを決めたいという要求がでてくる可能性がある.そこまで細部に注意して決めるか,本文と同一でよいと考えるかは.設計者の判断ということになる.ただ,見出しは,本文とは異なる要求がでる可能性があるということである.

2 処理方法

方法としては
2.1 書式で設定
2.2 しかるべきスペースを挿入

書式で設定できることが,処理も簡単であるし,望ましいでしょう.ただし,前述したように四分以外のアキにしたいことが多いので,どのようにするかは別にして,ある程度の値を選択できることが望ましい.

次にスペースを挿入する処理

これまでの日本語のコンピュータ組版では,本文に限れば,漢字や仮名とラテン文字の字間をスペースで処理する発想はなかった.つまり書式で設定するという考え方が主流であった.

ただし,各種の文書処理システムのなかには,書式で設定することができないので,やむなく,便法としてスペースで処理する例も行われていた.しがって,私は,書式で設定できればスペースで処理する必要は,原則として必要ないと考えている.ただし.見出しなどで個別処理で行うことは,それはそれでかまわないであろう.

したがって,自動処理でわざわざスペースを挿入するという処理は,もちろん否定はしないが,便法であるものを,それをデフォルトとすることは問題が多いと考えている.後述するように,通常は可変スペースのU+0020が挿入され,アキが一定しないことが問題である.

また,アキを書式で四分以下にしたい場合,実現できない場合もでる.これは書式での設定とスペースの使用が混ざった場合であるが,スペースで漢字や仮名とラテン文字の間は,原則としてベタ組となる.つまりスペースのアキが優先されることによる.

さらに,スペースに可変スペース(U+0020など)を使用すると,行頭・行末そろえにすると,アキが一定にならない.それは好ましくない.固定スペースにすれが,この問題は解決できるが,入力がそれなりに面倒であるという問題がある.

注)Wordでは,書式の設定で四分アキが選択できる.ただし,行頭・行末そろえを選ぶと,このアキは可変である.私はこれを避けるためにWordで漢字や仮名とラテン文字の間には,四分の固定スペースを入れる処理を行っている.実は,このようになったのは,JIS X 4051の規定が原因と思われる.JIS X 4051では漢字や仮名とラテン文字の字間は四分であるが,行頭・行末そろえにした場合の“行の調整処理”で,漢字や仮名とラテン文字の字間の四分アキを二分アキから八分アキの範囲で,調整に利用してよいことになっている.この処理は,なぜか採用されたものであるが,これまでの日本語のコンピュータ組版では採用されていなかった処理であり,私は,あまり望ましいものではないと思っている.

以上です.

  木田泰夫 さんwrote

>JLReq TF の皆さま、
>
>CSS ワーキンググループの GitHub で和欧間スペースが議論されています。
>https://github.com/w3c/csswg-drafts/issues/6950

>
>非常に簡単に説明すると、提案者は ideograph-alpha と ideograph-numeric つまり
>英数字と漢字の間の空白をデフォルトで ON にすべきではないか、と提起し、それに
>対して議論が起こっています。JLReq TF からも意見を出すべきかと思います。
>
>出ている議論をかいつまんでみますと:
>・互換性の問題はどうする?おそらく数行以上のテキストでは影響が少ない。一行だ
>けのUIなどで影響の出る可能性がある
>・trim-adjacent や allow-end で既に壊したではないか
>・難しい判断だ。互換性の問題 vs 望ましい挙動を得るために未来永劫プロパティを
>付けることを要求する & 自動変換などでそれができない場合もある
>・iOS の UI は最近空白を入れ始めた
>・clreq から印刷の例がいくつか示されている。オンラインテキストの例は web がサ
>ポートしていないので、参考にすべきではないだろう
> etc.
>
>議論する際に「何が望ましいか」と「デフォルトはどうあるべきか」を分けることは
>整理のために重要かと思います。また、望ましい挙動を示すとして、空間の大きさを
>示すことも有益かと思います。
>
>皆さま、いかがでしょう?
>
>木田

Received on Tuesday, 28 June 2022 04:35:08 UTC