RE: JDLReq(仮称)のメモ

Taro Yamamoto 様

 小林 敏 です.

コメント,ありがとうございます.

文字サイズは,字面の大きさを規定しないといけないという議論は,若い頃にも,私の周辺でも話題になったことがありました.現実の問題を考える場合,文字の大きさは字面の大きさを考えないといけない,それを問題にしないといけないということのようだったと思います.

現実にも,字面の大きなフォントもあれば,そうでないフォントもあります.ラテン文字には,文字設計の基準となるラインがありますが,日本語にはないので,日本語ではむつかしいでしょうが,何か,それを表現する方法は考えられないかなあ,という願望もあり,問題にしたものです.

また,文字サイズが字面でないということから,何か別のサイズをもってこないといけない,ということが問題をややこしくしているように思うのですが,現状ではなんともしようのないことなんでしょう.

ポイントのメートル法でのサイズは,何をもってきてよいか悩んだのですが,とりあえずJISに従ったのです.現状では,細かい話はおいておいて,単純にメートル法で示すとした場合は,0.3528mmでいいのでしょうか?

  Taro Yamamoto さんwrote

>小林 様
>
>文字の大きさとして
>「字面の大きさ」
>が挙げられていますが、これはグーテンベルク以来の歴史上、あまり例がなく、有名
>な例としては、1960–70年代にErnst Hochらが提案し、ISO/TC130で議論された大文字
>の高さまたは小文字の高さをミリメートルで計測したものを文字サイズとする提案で、
>一部ドイツの写植システムが採用した例はありますが、普及することはありませんで
>した。また、全角を基準にする必要のある和文フォントでは使えません。
>
>「文字の大きさの単位」については、現在のコンピューター上では、American Point 
>Systemは使われていません。そのため、1 pointは0.3514 mmではありません。(厳密
>には、American Point Systemでは、1886年制定当時の英国と米国のインチサイズ間に
>ありうる差異の問題を回避するために、当初メートル制を用いて、83 picaを35 cmと
>定義しましたが、後に、0.1666 inchを1 picaと全米活字鋳造業者組合が定義し直しま
>した)。
>
>PostScript処理系を搭載したプリンターはデフォルトでは1/72 inchを1 pointとして
>いたため、1984年発売当初画面表示用にビットマップフォントを採用していた、Apple
>社のMacintoshコンピュータは、画面解像度を72-dpiとすることで、WYIWYG(What You 
>See Is What You Get画面表示と印刷結果が同じ)を実現することが可能になりました。
>
>この1/72を1 ptとするポイントシステムは、1870年代にシカゴの活字鋳造所のMarder 
>Luseの共同経営者だったNelson C. Hawksの当初の提案すなわち1 inchの1/6をPicaと
>し、その1/12を1 ptとするシステムと同等であり、ヨーロッパで18世紀末にフルニエ
>のシステムを基にディドーが制定したDidot Pointと同じ分割方法を採用したもので、
>1886年に制定されたAmerican Point Systemが基準サイズとして1/6 inchのPicaを採用
>せずに、鋳型の作り直しのコストを低減するために当時前米最大手の活字鋳造所MS&J
>社製の既存のPicaのサイズを基準として採用してしまう以前の、本来の提案に回帰し
>たものとも言えます。
>
>なお、ヨーロッパの大陸側(フランスやドイツ)では、1980年代後半にDTPが普及する
>以前は、活字だけでなく写植システムなどでも、フランスが1790年代にメートル制を
>導入する以前に使われていたFrench Royal Inch(pouce)の単位を基準サイズとして、
>その1/6をCiceroとし、その1/12を1 pointとするDidot Pointが使われていました。
>
>補足まで。
>
>山本

Received on Wednesday, 13 October 2021 23:42:39 UTC