- From: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>
- Date: Wed, 13 Oct 2021 20:06:39 +0000
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>, Yasuo Kida <kida@mac.com>
- CC: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org>
小林 様 文字の大きさとして 「字面の大きさ」 が挙げられていますが、これはグーテンベルク以来の歴史上、あまり例がなく、有名な例としては、1960–70年代にErnst Hochらが提案し、ISO/TC130で議論された大文字の高さまたは小文字の高さをミリメートルで計測したものを文字サイズとする提案で、一部ドイツの写植システムが採用した例はありますが、普及することはありませんでした。また、全角を基準にする必要のある和文フォントでは使えません。 「文字の大きさの単位」については、現在のコンピューター上では、American Point Systemは使われていません。そのため、1 pointは0.3514 mmではありません。(厳密には、American Point Systemでは、1886年制定当時の英国と米国のインチサイズ間にありうる差異の問題を回避するために、当初メートル制を用いて、83 picaを35 cmと定義しましたが、後に、0.1666 inchを1 picaと全米活字鋳造業者組合が定義し直しました)。 PostScript処理系を搭載したプリンターはデフォルトでは1/72 inchを1 pointとしていたため、1984年発売当初画面表示用にビットマップフォントを採用していた、Apple社のMacintoshコンピュータは、画面解像度を72-dpiとすることで、WYIWYG(What You See Is What You Get画面表示と印刷結果が同じ)を実現することが可能になりました。 この1/72を1 ptとするポイントシステムは、1870年代にシカゴの活字鋳造所のMarder Luseの共同経営者だったNelson C. Hawksの当初の提案すなわち1 inchの1/6をPicaとし、その1/12を1 ptとするシステムと同等であり、ヨーロッパで18世紀末にフルニエのシステムを基にディドーが制定したDidot Pointと同じ分割方法を採用したもので、1886年に制定されたAmerican Point Systemが基準サイズとして1/6 inchのPicaを採用せずに、鋳型の作り直しのコストを低減するために当時前米最大手の活字鋳造所MS&J社製の既存のPicaのサイズを基準として採用してしまう以前の、本来の提案に回帰したものとも言えます。 なお、ヨーロッパの大陸側(フランスやドイツ)では、1980年代後半にDTPが普及する以前は、活字だけでなく写植システムなどでも、フランスが1790年代にメートル制を導入する以前に使われていたFrench Royal Inch(pouce)の単位を基準サイズとして、その1/6をCiceroとし、その1/12を1 pointとするDidot Pointが使われていました。 補足まで。 山本 -----Original Message----- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp> Sent: Wednesday, October 13, 2021 10:30 AM To: Yasuo Kida <kida@mac.com> Cc: JLReq TF 日本語 <public-i18n-japanese@w3.org> Subject: JDLReq(仮称)のメモ 木田 様 みなさま 小林 敏 です. 木田さんの意図にあっているかどうかわかりませんが,アキか字送りかの問題のついでに,JDLReq(仮称)のメモを書いてみました.テキストを添付いたします.ご検討をお願いいたします. 添付ファイル名:JDLEeqメモ1.txt 行頭の印は,私のエディタでアウトライン機能を使用するもので,無視してください.
Received on Wednesday, 13 October 2021 20:07:04 UTC