- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Tue, 12 Oct 2021 08:46:29 +0900
- To: Taro Yamamoto <tyamamot@adobe.com>, Nat McCully <nmccully@adobe.com>, W3C JLReq TF <public-i18n-japanese@w3.org>
Taro Yamamoto 様 小林 敏 です. 詳細な説明,ありがとうございます.よくわかりました. また,“プロポーショナルな日本語フォントにおける約物や括弧類をどう扱うべきか”については,私も興味を持っています.私の読書は,雑誌より書籍が多いので,プロポーショナル組は少ないのですが,Webも含めて,これから注意してみるようにいたします. Taro Yamamoto さんwrote >小林 敏 様 > >> “palt”でプロポーショナルを実現する方法はわかりましたが,和文のプロポーシ >> ョナルの幅のデータの内容がよくわからないのです.“字形のプロポーショナル幅 >> との差分がカーニング値”とありますが,可能であるなら,その内容というか,そ >> の方法を知りたいのです. >> 実際の字形の占める領域をデータとして利用しているのですか,それとも各文字そ >> れぞれに個別に全角との差分データを具体的に与えているのですか.また,字形の >> 占める領域のデータを利用する方法では,均一のサイドベアリングの値を与えるこ >> とが可能か,それはマイナスの値を含めて変更可能ですか. >> こうした疑問が出るのは,プロポーショナルの場合でも,サイドベアリングは必要 >> になるでしょうからです. > >実際の字形の占める領域は、直接には'palt'とは無関係です。欧文書体のデザインと >完全に同じことで、それぞれのグリフには字幅が与えられ、その字幅の内側にサイド >ベアリングがあり、そのさらに内部に字形の占める領域があります。デザインされた >字形に相応しい適切なサイドベアリングを設定することで、適切な字幅をもつプロ >ポーショナルなグリフの仮想ボディが決まります。そのプロポーショナルの仮想ボデ >ィと全角とのオフセットが、'palt'がもつ情報となります。 > >フォントのテーブル内のバイナリーのデータ形式については詳しくないので、分かり >ませんが、’palt’の情報が表現しているのは、次の例のような内容となります。 > >-110が左側のオフセット値で、全角の左側を-110/1000カットした位置からプロポーシ >ョナルのグリフのボディが始まることが分かります。左側のツメ量が110ということで >す。 >そして、そのプロポーショナルグリフの字幅は770であるということが示されています。 >そのプロポーショナルのグリフのボディの開始位置からx方向に770の地点に、ボディ >の右端があるということになります。このプロポーショナルのグリフを印字すると、 >その場所まで原点が移動することになります。このプロポーショナルボディの右側は、 >全角ボディの右側を1000 – 110 - 770 = 120分だけカットした位置に相当します(下 >図参照。770がプロポーショナルのグリフの字幅となります)。 > > >- もう1点は,縦組の場合は,どうなるか?という点です.字形データを利用する場合 >は,縦か横か幅のどちらかという問題ですが,個別に全角との差分データを具体的に >与えている場合は,縦と横で値が変わってきます. > >縦組みの場合も、横組みの場合とまったく同じです。ただし、異なる点は、’palt’ >ではなく、’vpal’フィーチャーが使われる点だけです。LSBがTSB に、RSBがBSBにな >ります。縦組み時のプロポーショナルグリフの上下の全角からのオフセット情報を持 >つことになります。 > > - 最後の疑問は,アキを持った句読点や括弧類の字形とは何を指すのですか.アキを >含めない値ですか,なんらかのアキを含めているのですか? > >これは、フォントの実装に依存する可能性がありますが、多くの場合、アキを含めて >いないと思います。なぜなら、全角と半角を前提とした文字クラスの前後関係に依存 >したスペーシングの方法が一般に確立されていないからです。’palt’によるプロ >ポーショナルの約物や括弧類をどのように処理するかはアプリケーションに依存して >いると思います(I believe Nat knows better about this)。次の例では、点の前を >20詰めていますが、字幅は半角にしています。 > >日本語フォント内のグリフは、‘palt’によってプロポーショナルのメトリクスを持 >つことができ、それによってプロポーショナルのグリフとして使うことができますが、 >プロポーショナルグリフの特に約物や括弧類をどのように組むべきかは、長体フォン >トを含め、’palt’を用いずに、はじめから純粋なプロポーショナルな日本語フォン >トにおける約物や括弧類をどう扱うべきかと、同じく、まだ標準的な方法が確立して >いません。この点については、いま宿題として調査中です。11月末頃には、レポート >を提出できると考えています。 > >ちなみに、’palt’の仕組みは、OpenTypeフォントが生まれる以前からレイアウト用 >のアプリケーションソフトが実現していたツメ組みの機能に基づいたものと言えます。 >ですので、1990年代の初めから続いている伝統的な機能と言えるかもしれません。 > >山本 > > > ―――――――――――――――――― 小林 敏(toshi) 2021年10月12日 e-mail: binn@k.email.ne.jp ――――――――――――――――――
Received on Monday, 11 October 2021 23:47:07 UTC