ruby処理の考え方―その前提

みなさま

 小林 敏 です.

ルビ処理のいくつかの問題について話題となっていますが,その考え方の前提に
つて少し補足しておきます.

1 まず,ルビ処理については,大方を納得させる確立した処理方法は存在しな
い(正解は存在しない).活字組版時代の有力な考え方はありますが,それです
べてが処理されていたわけではない.ましてやコンピュータ組版では,なかなか
思ったように処理できないので,処理系の処理にゆだねる処理もあり,ルビ処理
について混乱がある(コンピュータ組版では“中ツキ”か“肩ツキ”かといえば
すむことはない,それで処理できない問題が数多くある).

例えば,親文字からはみ出したルビは親文字の前後の漢字には掛けないという
ルールは,ほぼ確立したルールともいえるかもしれないが,これを無視したルー
ルで処理している例は,それなりにある.前後の漢字にルビ1字が掛かっても,
ある程度は漢字が読める人にとって,ちょっとおかしいなと思うことはあっても,
見直せば読める場合が多い(漢字が読めない人はどうかという問題は残る).ま
た,前後の漢字に親文字サイズの四分掛かる場合は,それほど掛かっているとい
う印象はない場合もある.

ですから,ルビ処理に,望ましいといえる処理法は考えられるが,正解があると
いうことではない.

2 したがって,従来は大きな原則は決めていたが,ルビでは,例外的なケース
も多くあり,個別ケースで適当に,その個別ケースで最適な方法を選らんでいく
方法がとられていた.(なお,いえば,例外的なケースでは,複数の最適な結果
を実現できない矛盾を抱えている場合も多い.)しかし,Webの自動処理では,
例外的なケースも含めて,なんらかのルールを決めないといけない.

3 逆にいえば,できるだけ望ましい結果になるように考えるとしても,ある割
り切りをしてルールを決めてしまってもよいといえる.

以上です.

Received on Friday, 5 February 2021 01:34:43 UTC