Re: ルビと行間注の違い

小林龍生です。

とうとう、泥沼に踏み込みましたね。というか、この先に進むには、避けて通れないからなあ。

私見ですが、この問題を解決するためには、現在のルビタグを捨てて、機能論的(意味構造的)タグと、表現としての行間注釈とを切り分けて考えなければ、先に進めないように思います。
この問題は、約物の扱いも似ています。
要は、ルビとは、行間に組み込む約5.5ポイントの活字(それも従来は小書きの仮名を持たない仮名だけのセット)以上でも以下でもなく、それがどのような機能を果たすかは、文脈に置かれなければ定まらないということ。
かつてのメカニカルなタイプライターがsingle quotationとapostoropy、angle bracketとgrater
thanやsmaller thanを共有していたのと似たような話。
構造化文書屋さんには、この辺りの問題、果敢に切り込んでいって欲しいなあ。

ちなみに、ルビの多義性と多様性については、今野真二さんの「振り仮名の歴史」(集英社新書)がよくまとまっていると思います。

2020年7月29日(水) 14:21 Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>:

> 村田 様
> みなさな
>
> 小林敏です
>
> Placement of Japanese Rubyを直す機会があれば,JLReqの行間
> 注の例示への参照を付けましょう.
>
> 次のルビと行間注ですが,おっしゃるように,その境界はあいまい
> です.文書作成者(または指定者)の指示によるしかないかと思っ
> ています.(似た事例として,ルビ処理では,複合語の場合,全体
> を1つの熟語ルビの親文字とするか,複合語を構成する各語を1つの
> 親文字とするかは,対象の語句から決まることではなく,文書作成
> 者(または指定者)の指定によるしかありません.例えば,東京都
> と言った場合,“東京都(とうきようと)”とするか,“東京(とうき
> よう)”+“都(と)”とするかは,文書作成者(または指定者)が決
> めるしかありません。)
>
> 行間注は,ある意味なんでもありかと思います.それに対し,ルビ
> は必ず親文字が1字以上あり,また,語です(複合語を含め).ル
> ビ文字列は,まとまりとなったものについては分割禁止です.
>
> これに対し,行間注は,親文字がなく,対応する位置だけでもよい
> し,語句でも,文でも,段落全体でもかまいません.行間注は,親
> 文字列も行間注文字列も,分割可能位置では分割が可能にしないと
> 処理できません.配置上の問題としては,原則として行間注はベタ
> 組であり,配置位置も,ルビとは異なり,親文字に対し,先頭を合
> わせてもよいし,末尾を合わせてもよいし,中心をそろえてもよ
> い,という選択肢は必要になるかと思います.親文字からのはみ出
> しも,他の文字に掛かることは許容しないといけないでしょう.
>
> なお,考え方としては,ルビ処理と行間注を含めた処理法を記述
> し,そのなかで,部分を考え(モノルビ,グループルビ,熟語ル
> ビ,……),その部分の処理法を規定するということも考えれるか
> と思います.
>
> 問題は,行間注まで含めた処理を方法を記述することは,それなり
> に大変であり,複雑になります.ですので,まずは行間注は除外
> し,ルビ処理だでを書くということで進めていくしかないのではな
> いか,ということです.
>
> なお,行間注の配置処理方法については,以前に書いたものがあっ
> たかと思います.
>
> 以上です.
>
> MURATA Makoto さん wrote
>
> > 皆さん、
> >
> > ルビとは何で、行間注とは何か、両者の境界は
> > なにかをはっきりさせる必要があると思います。
> >
> > https://github.com/w3c/simple-ruby/issues/42

> >
> > 小林先生が、以前にこう書いています。
> >
> >     冒頭近く"Ruby as notes"という注があります.
> >     ここで説明している行間注については,JLReqの
> >     "4.2.2 Note Numbers"の直前に行間注の例(図)を
> >     掲げていますので,可能であればで結構ですが,
> >      参照を付けていただけると,ありがたい.
> >
> > この例では、「徳川家康」について、「1837-1913 江戸幕府最後の
> > 将軍」が行間注となっています。では、 「1837-1913」とだけつける
> > と、行間注でしょうか、ルビでしょうか。そして、Rules for Simple
> > Placement of Japanese Rubyがカバーする範囲でしょうか?
> >
> > ほかに、帝釈にインドラと振ったら、ルビでしょうか、
> > 行間注でしょうか。日本デイジーコンソーシアム
> > の技術委員会でまとめた例がここにあります。
> >
> >
> https://onedrive.live.com/Edit.aspx?resid=4106E423DCEF597E!41864&wdPid=2e60c9ec&authkey=!AGh8d3MrAlsP2bk

> >
> > これはWord文書です。Webで見るのではなく、ダウンロード
> > してみてください。
> >
> > 慶應義塾大学
> > 村田 真
>
>
>

-- 
KOBAYASHI Tatsuo(小林龍生)
Scholex Co., Ltd. Yokohama
homepage) http://kobysh.com/ <http://www.kobysh.com/tlk/>

Received on Wednesday, 29 July 2020 07:49:55 UTC