- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Fri, 07 Feb 2020 10:16:00 +0000
- To: public-i18n-japanese@w3.org
みなさな 小林敏です 和欧文間の空きについて,問題をまとめてみました. 1 和文文字とラテン文字は設計思想が異なり,文字面と文字の外 枠との間のアキの考え方が異なる.和文をベタ組した場合,ラテン 文字と和文間をベタ組にすると詰まった印象を与えるので,その間 を少し開けたい. 2 和文とラテン文字の組合せは,以下のようにいろいろある.こ れらのケースで,理想的な空き量は異なってくるが,それぞれの空 き量を決めるのは大変なので,これまで,すべて同じ処理を行って きた.今後も同様でよい. 1)アラビア数字 2)ラテン文字1字 大文字の場合と小文字の場合 3)ラテン文字の複数文字 大文字の場合と小文字の場合 4)ラテン文字の単語 大文字の場合と小文字の場合 5)ラテン文字の複数単語 大文字の場合と小文字の場合 6)その他 “はJ. M. ケインズである“などといった例もある. *ただし,見出し,あるいは書名など,個別に処理できるような場合は,特に書名などでは,字の並びに応じ,細かく調整していたので,個別の状況で変更したい場合は出てくるでしょう.しかし,自動処理を前提としてた本文組の場合は,一律の処理でよいでしょう. 3 活字組版では,伝統的に四分であった. これは,活字組版の材料(スペース)が,小さいサイズでは,主 に四分しかなかったためである.文字サイズによっては,八分,六 分,1ポイントなどもあったが,これらは薄く,扱いが面倒でもあ り,準備している印刷所は限られていた. 4 活字組版で四分とする理由として,アラビア数字の問題があっ た.伝統的に活字組版で混植するアラビア数字の字幅は二分が原則 であった.また,ラテン文字の小文字も二分の字幅のものが,それ なりにあった. 字幅が二分の場合,奇数文字数の場合,前後を四分空けると,全体 で文字サイズの整数倍となり,行の調整処理の発生を,いくらか少 なくすることができた. 5 最近の組版では,和文中に使用するアラビア数字の字幅は二分 でないものがけっこうある. 6 DTPなどでは,和欧文間が指定でき,四分より狭いアキにして いる例がみられる. 7 私が,だいぶ以前に比較的に組版を見る目を持っていた方に, コンピュータ組版で和欧文間の空きについて見本組を作成し(八分 からニ分まで),アンケートをとったことがある.こまかい数値は 残っていないが,大方の意見として,六分又は五分がよいという意 見が多かったように記憶している. 8 DTPが日本で使われ始めたとき,あるDTPソフトは,和欧文間 の空き量として四分という指定が可能であった.しかし,この四分 は全角の1/4ではなく,半角の1/4,つまり全角の1/8であった. このことはマニュアルを仔細に読まないと分からなかったので,1/4 の指定をしたつもりが,実際は1/8のアキ量であった,ということ である.こうしたものでも,あまり問題とならずに流通していたこ とからも,和欧文間の空き量は四分より狭めてよいということを示 している. 以上のことから,和欧文間の空き量は四分より,いくらか狭めた選 択肢が可能になることが望ましいといえよう.
Received on Friday, 7 February 2020 10:26:44 UTC