和欧文間の空き

みなさな

   小林敏です

和欧文間の空きについて,問題をまとめてみました.

1 和文文字とラテン文字は設計思想が異なり,文字面と文字の外
枠との間のアキの考え方が異なる.和文をベタ組した場合,ラテン
文字と和文間をベタ組にすると詰まった印象を与えるので,その間
を少し開けたい.

2 和文とラテン文字の組合せは,以下のようにいろいろある.こ
れらのケースで,理想的な空き量は異なってくるが,それぞれの空
き量を決めるのは大変なので,これまで,すべて同じ処理を行って
きた.今後も同様でよい.
 1)アラビア数字
 2)ラテン文字1字 大文字の場合と小文字の場合
 3)ラテン文字の複数文字 大文字の場合と小文字の場合
 4)ラテン文字の単語 大文字の場合と小文字の場合
 5)ラテン文字の複数単語 大文字の場合と小文字の場合
 6)その他 “はJ. M. ケインズである“などといった例もある.
*ただし,見出し,あるいは書名など,個別に処理できるような場合は,特に書名などでは,字の並びに応じ,細かく調整していたので,個別の状況で変更したい場合は出てくるでしょう.しかし,自動処理を前提としてた本文組の場合は,一律の処理でよいでしょう.

3 活字組版では,伝統的に四分であった.
これは,活字組版の材料(スペース)が,小さいサイズでは,主
に四分しかなかったためである.文字サイズによっては,八分,六
分,1ポイントなどもあったが,これらは薄く,扱いが面倒でもあ
り,準備している印刷所は限られていた.

4 活字組版で四分とする理由として,アラビア数字の問題があっ
た.伝統的に活字組版で混植するアラビア数字の字幅は二分が原則
であった.また,ラテン文字の小文字も二分の字幅のものが,それ
なりにあった.
字幅が二分の場合,奇数文字数の場合,前後を四分空けると,全体
で文字サイズの整数倍となり,行の調整処理の発生を,いくらか少
なくすることができた.

5 最近の組版では,和文中に使用するアラビア数字の字幅は二分
でないものがけっこうある.

6 DTPなどでは,和欧文間が指定でき,四分より狭いアキにして
いる例がみられる.

7 私が,だいぶ以前に比較的に組版を見る目を持っていた方に,
コンピュータ組版で和欧文間の空きについて見本組を作成し(八分
からニ分まで),アンケートをとったことがある.こまかい数値は
残っていないが,大方の意見として,六分又は五分がよいという意
見が多かったように記憶している.

8 DTPが日本で使われ始めたとき,あるDTPソフトは,和欧文間
の空き量として四分という指定が可能であった.しかし,この四分
は全角の1/4ではなく,半角の1/4,つまり全角の1/8であった.
このことはマニュアルを仔細に読まないと分からなかったので,1/4
の指定をしたつもりが,実際は1/8のアキ量であった,ということ
である.こうしたものでも,あまり問題とならずに流通していたこ
とからも,和欧文間の空き量は四分より狭めてよいということを示
している.

以上のことから,和欧文間の空き量は四分より,いくらか狭めた選
択肢が可能になることが望ましいといえよう.

Received on Friday, 7 February 2020 10:26:44 UTC