- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Fri, 07 Feb 2020 10:16:00 +0000
- To: Koji Ishii <kojii@chromium.org>, public-i18n-japanese@w3.org
Koji Ishii 様 小林敏です 行送り方向の行配置の処理が問題になっていますが,どこまで実現 していただけるかわからないのですが,問題点のみ,何かの際の参 考になるかと思い,以下に示しておきます. 行送り方向の配置では,特に異質なものが入らない限り,一定の決 まった位置に配置してほしい,ということが原則です. そして,このことは,指定の方法で考えれば,以下のような方法で 実現されています. 1 使用文字サイズと行間で決める 2 使用文字と文字の基準点(日本語組版では通常,行送り方向の 文字の中心)の移動距離…行送り 3 行の配置スペースを指定(行高) 4 行の配置ライン(グリッド)を決め,それに文字の中心または ベースラインをそろえる どのような方法を用いても,文字サイズが同じで,異質な要素が入 ってこなければ,一定の位置で配置できます.しかし,そうでない 場合も出てくるのが問題です.以下では,それを示します. 問題1 複数行を配置する領域を設計する問題.紙面に印刷する場 合には余白の指定にも影響する.ここでは,その計算式だけを示し ます. 1 行間 文字サイズ×行数+行間×(行数−1) 2 行送り 文字サイズ/2+行送り×(行数−1)+文字サイズ/2 3 行高 行高×行数−(行高−文字サイズ) *Wordでは,行高×行数で行送り方向の領域のサイズが決めら れるので,1や2で考える領域より“行高−文字サイズ”だけ大き くなるので,それを考えて,余白を指定しないといけない. 4 グリッドの場合も計算は行高と同じになる. 問題2 領域の先頭や末尾に配置する問題 1 行間は,文字の外枠を領域に接して配置する 2 字送りでは,領域の橋から基準点を文字サイズの1/2の位置にし ないといけない 3 行高では,常に領域と文字の間に空白が出るので,そのことを 考えて領域を設定しないといけない. 4 グリッドでは,配置基準により,領域の端からの計算が必要に なる.ベースラインの場合は,数値がわかりにくいので困るケース もある 問題3 見出しなど複数行(整数)に配置(その中心に配置) 1,2 1や2では計算が必要になる. 3 行高では行数さえ指定すればよい 4 グリッドでは,奇数行で基準が中心の場合はよいが,偶数行で は,すこし複雑になる(シフトする必要がある).ベースラインが 基準の場合,その位置の正確な数値がわからないと計算できない 問題4 見出しなど複数行(整数)に配置(その中心でない) 1,2 1や2では計算が必要になる. 3 行高では行数を指定し,文字位置のシフトが必要 4 グリッドではシフトが必要になる 問題5 段落間の間を指定する(整数行) 段落間を1行アキにしたい場合ですが,これはいずれの方法でも簡 単に実現できるでしょう. 問題6 段落間の間を指定する(数値で指定) 必要な例を,いくつか例示します. 1)段落間を,1行アキではアキ過ぎるので,すこし狭くしたい 2)段落間に引用文や後注を挿入する場合 3)見出しを領域の先頭に配置する場合,アキで指定 4)見出しとサブタイトルの間を数値で指定したい 5)表や図を組を段落間に挿入する これは,どうするればできるのか.行間の場合は簡単ですが,それ 以外は,それなりにやっかい. 問題7 行中にその段落で設定した文字サイズより大きな文字サイ ズ又は添え字のようにはみ出しのある文字が配置された場合,行の 配置はどうなるのか.文字に付属して注の合印,圏点,ルビなどが 付いた場合はどうなるのか 1 行間では,それを計算し,その行の行間を狭める 2 字送りでは,同じ字送りで処理すればよい 3 行高では,両側に同じ量のはみ出しがある場合はよいが, 片側では,けっこうやっかい.(Wordでルビを付けると,そ の行の位置が,揃わなくなる) 4 グリッドは,行位置はそろえられる 問題8 隣り同士の行に関係したものが重なってしまう場合,その処理はどう考えたらよいのか. 整数行で行ドリを増やしていく場合には,行高は簡単に処理できる が,そのでない場合は,どの方法でも,けっこうややこしい.行間 で重ならないように,あるいは一定をアキを確保するというのは, 処理しやすいのではないか 問題9 行そろえの行頭そろえ,行末そろえ,ジャシティファイと 同じのように行送り方向で,その処理があるとよいが,それはどう すれば処理できるか 問題10 紙に印刷する場合,行送り方向の版面サイズを一定にす る,という要求があった.行の調整処理を,行送り方向でやってほ しいということです.行間の場合,これの説明は簡単にできるが, 処理系での処理は,とても大変のように思います. モニタ表示では,その必要性は少ないので,考える必要はないとい ってよいか. SAPCOLに,フリースペースというコマンドがあった.このコマン ドを挿入した位置に行送り方向の不足分を挿入箇所に平均に割り振 って行送り方向のサイズをそろえる処理するというものです.実は,これですべて行送り方向のサイズをそろえる調整はできるように思いますが,それでは解決できない例もあります. 以上です. Koji Ishii さん wrote > # 新しい public-i18n-japanese@w3.org に移ります > > 皆さま > > > > これらの行間内のレイアウトの例を見ると、行間自体の重要性と一貫したリズムを保つ必要性が強く感じられます。また欧文組版やWEB組版と違うrequirement > > でしょうか。 > > > >Nat > > > > そう思います。欧文にも > 行のリズムがある、と知ってから、その共通項を取ったデザインの試行をしてきましたが、確かに共通項もあるものの、概念的な違いから来るrequirementsの違いも明確にあって、 > 行のリズムの概念の上に、それぞれの requirements に沿った複数の機能設計が必要だと最近は感じます。
Received on Friday, 7 February 2020 10:23:31 UTC