- From: 木田泰夫 <kida@mac.com>
- Date: Tue, 12 May 2020 10:42:53 +0900
- To: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Cc: public-i18n-japanese@w3.org
敏先生、 情報ありがとうございます。なかなか記号は難しいですね。記号周りは英語でも全く同様に空白を入れて欲しくない場合も多いです。例えばハイフン類の周りなどまさにそう。これらがどうなっているのか github で聞き中です。 ユーザーの方で対処する場合もありということなら、覚えやすさ、間違えやすくないこと、実用上どうか、が重要になりますね。その点、村上さんの提案は説得力があるように思いました。 木田 > 2020/05/10 16:44、Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>のメール: > > 木田泰夫 様 > > 小林敏です > > 以下,気付いた事項をコメントしておきます. > > 木田泰夫 さん wrote > >> 通常の(全角でない)クォーテーションはサンプル文字が全角だったのでリストに出ていませんが、中国語では文をこれで囲むので、勝手に空白を入れられると困るという問題があって、それは認識されているようです。 >> https://github.com/w3c/csswg-drafts/issues/5017 <https://github.com/w3c/csswg-drafts/issues/5017> >> >> >> 日本語でも同じ問題があると言えるでしょうか? 上記の文字が「始め括弧類」「終わり括弧類」と分類されているくらいですからある程度使用実績があるのだと思いますが、どの程度重要でしょう。 > > 全角でないクォーテーションは,活字組版の時代には使われていま > したが,今日の日本語組版で使うクォーテーションは,原則としてダブルもシングルも全角と考えてよいでしょう. > > それから,横組では,かぎ括弧は形が悪い,特に終わり括弧類が下 > がっているので,使うのは避けた方がよいという考えが活字組版の > 時代にはあった.その影響があり,私は今でもかぎ括弧は横組では > 使わない.クォーテーションを使っている. > > でも,こうした考え方は少数派になり,クォーテーションの使用は > 減っている感じであるが,それなりに使われているように思いま > す. > > また,クォーテーションとかぎ括弧とを使い分けする方法もあり, > それなりに使いたい人はいるのではないかな. > >> ハイフン類(cl-03)の一部 >>> 2010 ‐ cl-03 HYPHEN ハイフン(四分) 字幅は四分角 >>> 2013 – cl-03 EN DASH 二分ダーシ,ダッシュ(二分) 字幅は半角 >> >> >> これらも、もし空白が入ったらどう困るのか、私には判断できません。どなたかー > > 欧文の場合, > 二分ダーシは,欧文組版でも使用されているが,25–50のように数 > 字で範囲を示す場合に使うが,この場合,前後にスペースを入れな > い,また,Klein–Nishina's formulaのうように語の連結にも使用す > るが,この場合も前後ベタ組.一方,括弧がわりに全角ダーシを使 > う例があり,これを近年,二分ダーシで表現する方法がある.この > 場合は,二分ダーシの前後にスペースを入れる.(全角ダーシでは > 入れないのがルールのようです.) > > 日本語の場合, > 数字で範囲を示すのに日本語では“~”を使う例があるが,これは欧 > 文にならって二分ダーシにすべき,という人もいる(私はすべきと > はいわないが,自分の原稿では二分ダーシにしている).この場合 > は,前後をベタ組とするのがよいが,日本語の組版では前後を四分 > 空けている例がけっこうある. > > 前述の語の連結の例は,日本語では"クライン–仁科の公式"となり, > 同じように二分ダーシを使う例があるが,この場合も前後はベタ > 組. > > また,二分ダーシには,JIS X 4051やJLReqでは行頭の配置を禁止 > している.しかし,二分ダーシは,日本語組版では,扱いが悪いと > いうか,低いというか,JIS X 0213でやっとコードポイントが付与 > されたので,何も言われてこなかった(ということは禁止といわれ > てこなかった)ので,行頭に配置している例は,それなりに,今で > も見掛ける. > >> 区切り約物(cl-04)の多く >>> 203C ? cl-04 DOUBLE EXCLAMATION MARK 感嘆符二つ >>> 2047 ? cl-04 DOUBLE QUESTION MARK 疑問符二つ >>> 2048 ? cl-04 QUESTION EXCLAMATION MARK 疑問符感嘆符 >>> 2049 ? cl-04 EXCLAMATION QUESTION MARK 感嘆符疑問符 >> >> >> これらは、前にスペースは困りますが(英語もそう)、普通、句読点の前で改行はしないでしょう。 >> 後ろに空白文字が入るのは何となく許容できる? >> >> もし全角でない ? や ! が使われた場合も考慮必要? > > 欧文の場合, > 欧文の場合は,使うかどうか不明だが,“?”や“!”と同じであれば, > 後ろは空ける.前はベタ組だが,活字組版時代には,“!”の前を少し > だけ(hair space,一般に五分)あける方法もあった. > > 日本語の場合 > ?と!と同じであれば以下のルール > 文末の“.”や“。”の代わりに使うのであれば,後ろは全角アキ > 文中に使う, > “それ正解?なんですか” > 以下のように括弧を付けた形で考えればよい > “それ正解(?)なんですか” > この場合,前後ベタ組か前後四分アキにする,というのが考え方 > > 日本語では,全角を使うのがルールであったが,活版時代には, > "?""!"には二分のものがあり,これを横組で使用し,後ろを二分 > アキとする方式もあった.この方式は,最近ではほとんで見掛けな > い. > >> 分離禁止文字(cl-08)の多く >>> 2014 ? cl-08 EM DASH ダッシュ(全角) 処理系によっては,U+2015 (HORIZONTAL BAR)にも,同様の振る舞いを実装しているものもある >>> 2026 … cl-08 HORIZONTAL ELLIPSIS 三点リーダ >>> 2025 ‥ cl-08 TWO DOT LEADER 二点リーダ >> >> >> これらは困ります? 分離禁止というくらいでこれらの間に入ると困りますが、そんなところでは改行を入れないと期待できるでしょう。その前後はどうでしょう? > > 欧文の場合, > 欧文の場合は,括弧の代わりに全角ダーシを使う場合は,前述した > ように,前後をベタにしていたようです.行頭・行末の扱いは,私 > は知らない. > > 日本語の場合, > “―”も“…”も,漢字や仮名との間はベタが原則. > > 2倍の場合,途中で切るのは避けたい(特に2倍ダーシは避けるとい > う意見があるが,最近は,“――”を2行に分割した例も見掛ける). > 2倍ダーシなどを行頭も行末でも,それを配置することは,これま > では許容されてきた. > > 全角の“―”も“…”は,行頭の配置は可,ということは,ぞの前で > も,後ろでも分割は可 > >> 前置省略記号(cl-12)、後置省略記号(cl-13)の一部 >>> 20AC ? cl-12 EURO SIGN ユーロ記号 >>> 2116 № cl-12 NUMERO SIGN 全角NO >>> >>> 00B0 ° cl-13 DEGREE SIGN 度 プロポーショナル >>> 2032 ′ cl-13 PRIME 分 プロポーショナル >>> 2033 ″ cl-13 DOUBLE PRIME 秒 プロポーショナル >>> 2103 ℃ cl-13 DEGREE CELSIUS セ氏度記号 >>> 2030 ‰ cl-13 PER MILLE SIGN パーミル >>> 2113 ? cl-13 SCRIPT SMALL L リットル >> >> これらはそもそも欧文の領分ですし、これらの周りに空白文字を入れないでと主張するのは結構難しそうです。特に重要なケースはありますか? > > 数字の間に入る度分秒は,前後はベタ,スペースを入れる理由はな > い.これは欧文でも日本語でも同じ.日本語でも,数字の間に入る > 場合,全角は見られたものではない. > > 上にあるセ氏度記号は,これは合字,DEGREE SIGNと"C"を使うと > いう考え方もある. > > ついでに言えば,アラビア数字で小数点を示すピリオド,位どりを > 示すコンマは,前後ベタ組にするのが原則.また,位どりのコンマ > の代わりに四分アキをする方式もある. > >> 等号類(cl-17)、演算記号(cl-18)の多く >>> 2260 ≠ cl-17 NOT EQUAL TO 等号否定 >>> 2252 ≒ cl-17 APPROXIMATELY EQUAL TO OR THE IMAGE OF ほとんど等しい >>>> 2243 ? cl-17 ASYMPTOTICALLY EQUAL TO >> 漸進的に等しい,ホモトープ >> …たくさんあるので以降省略 >>> 00D7 × cl-18 MULTIPLICATION SIGN 乗算記号 >>> 00F7 ÷ cl-18 DIVISION SIGN 除算記号 >>> 00B1 ± cl-18 PLUS-MINUS SIGN 正又は負符号 >>> 2213 ? cl-18 MINUS-OR-PLUS SIGN 負又は正符号 >> >> >> これらも欧文組版、数学組版の領分ですね。特に重要なケースはあるでしょうか? >> >> 一番普通の + - = > < などは全角文字があるので、リストに現れていません。これらが全角数字と使われる場合には空白文字は入りません。全角でない数字と使うと、等号類が全角でも空白文字が入ります。それで OK ? > > それは困るんではないかな.特に一般書では. > > まず,自然科学書と一般書では扱いがことなるのではないかな.自 > 然科学書や経済学の本で,いわゆる数式が入る場合は,数学組版の > 領分だと思います.しかし,"+,-,×,÷"や"="ぐらいしか入ら > ない一般書のような場合は,自然科学書のように数学組版といえる > かが問題かと思います.一般書で扱う場合は,半角の数字と組み合 > わせた全角の記号を使う組版はあり,ではないか? > > なお,日本語での数学記号の組方として,+,-,×,÷は,前後 > ベタ組ですが,=などは,前後を四分あける方式(特に別行式にし > た場合)があった.なかには+,-,×,÷の前後も四分空けるや > り方もあったが,もう空ける方式はやめた方がいいように,私は思 > っています. > > 以上です. > > ――――――――――――――――――――― > 小林 敏(toshi) 2020年 5月10日 > e-mail: binn@k.email.ne.jp > ―――――――――――――――――――――
Received on Tuesday, 12 May 2020 01:43:13 UTC