Re: 和欧文間の空き

みなさま

   小林敏です

以下の件に,少し補足しておきます.

1 JIS X 4051では,和欧文間の空きは四分アキが採用されていま
すが,このアキは行の調整処理に使用できる規定になっています.
調整量の範囲は,広げる場合は二分まで,詰める場合は八分までで
す.

2 この規定に従い,JLReqでも,JIS X 4051の規定を解説してい
ます.しかし,伝統的な方法は,四分固定ですので,JLReqでは,
その方法も解説しています.

3 Wordでは,段落書式で“日本語と英字(数字)の間隔を自動調
整する”を選ぶと,JIS X 4051の規定に従い、この四分アキが行の
調整処理に使用されます.特にオプションで“文字間隔の調整”で“間
隔を詰めない”を選ぶと,よく和欧文間が二分アキになります.です
ので,和欧文間の二分アキは,Wordを使用すると確認できます.
(私は,上記の設定をよく使用するのですが,和欧文間が二分アキ
を避けるために,すべての和欧文間には,四分スペースを挿入して
います.)

4 InDesignでは,各種の方法が設定でき,四分固定(別の値も選
択できる)も,また,設定した範囲での行の調整処理にも使用でき
ます.たぶんInDesignの組版と思われる(紙の)書籍について,私
の読書範囲で見たものは,たまに調整に使用されている例も見掛け
ますが,多くは一定の値(四分アキが多いが,必ずしもそうでない
例もある)で固定した処理をしたものが多いように感じています.

以上です.

Atsushi Shimono (W3C Team) さん wrote

>  みなさま
> 
>  完全に流れて行ってしまっていた間のこれではあるのですが、github issueでは
> https://github.com/w3c/jlreq/issues/163
> にあります。
>  clreqでは
> > up to a quarter of the width of a Han character
> https://w3c.github.io/clreq/#handling_western_text_in_chinese_text_using_proportional_western_fonts
> という上限1/4emという扱いだそうです。
> 
> 
>  ひとまずのポインタまで
> 
> 
> On 2020/02/07 19:16, Kobayashi Toshi wrote:
> > みなさな
> > 
> >    小林敏です
> > 
> > 和欧文間の空きについて,問題をまとめてみました.
> > 
> > 1 和文文字とラテン文字は設計思想が異なり,文字面と文字の外
> > 枠との間のアキの考え方が異なる.和文をベタ組した場合,ラテン
> > 文字と和文間をベタ組にすると詰まった印象を与えるので,その間
> > を少し開けたい.
> > 
> > 2 和文とラテン文字の組合せは,以下のようにいろいろある.こ
> > れらのケースで,理想的な空き量は異なってくるが,それぞれの空
> > き量を決めるのは大変なので,これまで,すべて同じ処理を行って
> > きた.今後も同様でよい.
> >  1)アラビア数字
> >  2)ラテン文字1字 大文字の場合と小文字の場合
> >  3)ラテン文字の複数文字 大文字の場合と小文字の場合
> >  4)ラテン文字の単語 大文字の場合と小文字の場合
> >  5)ラテン文字の複数単語 大文字の場合と小文字の場合
> >  6)その他 “はJ. M. ケインズである“などといった例もある.
> > *ただし,見出し,あるいは書名など,個別に処理できるような場合は,特に書名などでは,字の並びに応じ,細かく調整していたので,個別の状況で変更したい場合は出てくるでしょう.しかし,自動処理を前提としてた本文組の場合は,一律の処理でよいでしょう.
> > 
> > 3 活字組版では,伝統的に四分であった.
> > これは,活字組版の材料(スペース)が,小さいサイズでは,主
> > に四分しかなかったためである.文字サイズによっては,八分,六
> > 分,1ポイントなどもあったが,これらは薄く,扱いが面倒でもあ
> > り,準備している印刷所は限られていた.
> > 
> > 4 活字組版で四分とする理由として,アラビア数字の問題があっ
> > た.伝統的に活字組版で混植するアラビア数字の字幅は二分が原則
> > であった.また,ラテン文字の小文字も二分の字幅のものが,それ
> > なりにあった.
> > 字幅が二分の場合,奇数文字数の場合,前後を四分空けると,全体
> > で文字サイズの整数倍となり,行の調整処理の発生を,いくらか少
> > なくすることができた.
> > 
> > 5 最近の組版では,和文中に使用するアラビア数字の字幅は二分
> > でないものがけっこうある.
> > 
> > 6 DTPなどでは,和欧文間が指定でき,四分より狭いアキにして
> > いる例がみられる.
> > 
> > 7 私が,だいぶ以前に比較的に組版を見る目を持っていた方に,
> > コンピュータ組版で和欧文間の空きについて見本組を作成し(八分
> > からニ分まで),アンケートをとったことがある.こまかい数値は
> > 残っていないが,大方の意見として,六分又は五分がよいという意
> > 見が多かったように記憶している.
> > 
> > 8 DTPが日本で使われ始めたとき,あるDTPソフトは,和欧文間
> > の空き量として四分という指定が可能であった.しかし,この四分
> > は全角の1/4ではなく,半角の1/4,つまり全角の1/8であった.
> > このことはマニュアルを仔細に読まないと分からなかったので,1/4
> > の指定をしたつもりが,実際は1/8のアキ量であった,ということ
> > である.こうしたものでも,あまり問題とならずに流通していたこ
> > とからも,和欧文間の空き量は四分より狭めてよいということを示
> > している.
> > 
> > 以上のことから,和欧文間の空き量は四分より,いくらか狭めた選
> > 択肢が可能になることが望ましいといえよう.

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 小林 敏(toshi)  2020年 4月28日
 e-mail: binn@k.email.ne.jp
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Received on Monday, 27 April 2020 23:14:41 UTC