- From: Kobayashi Toshi <binn@k.email.ne.jp>
- Date: Mon, 27 Apr 2020 23:14:41 +0000
- To: "Atsushi Shimono (W3C Team)" <atsushi@w3.org>, public-i18n-japanese@w3.org
みなさま 小林敏です 以下の件に,少し補足しておきます. 1 JIS X 4051では,和欧文間の空きは四分アキが採用されていま すが,このアキは行の調整処理に使用できる規定になっています. 調整量の範囲は,広げる場合は二分まで,詰める場合は八分までで す. 2 この規定に従い,JLReqでも,JIS X 4051の規定を解説してい ます.しかし,伝統的な方法は,四分固定ですので,JLReqでは, その方法も解説しています. 3 Wordでは,段落書式で“日本語と英字(数字)の間隔を自動調 整する”を選ぶと,JIS X 4051の規定に従い、この四分アキが行の 調整処理に使用されます.特にオプションで“文字間隔の調整”で“間 隔を詰めない”を選ぶと,よく和欧文間が二分アキになります.です ので,和欧文間の二分アキは,Wordを使用すると確認できます. (私は,上記の設定をよく使用するのですが,和欧文間が二分アキ を避けるために,すべての和欧文間には,四分スペースを挿入して います.) 4 InDesignでは,各種の方法が設定でき,四分固定(別の値も選 択できる)も,また,設定した範囲での行の調整処理にも使用でき ます.たぶんInDesignの組版と思われる(紙の)書籍について,私 の読書範囲で見たものは,たまに調整に使用されている例も見掛け ますが,多くは一定の値(四分アキが多いが,必ずしもそうでない 例もある)で固定した処理をしたものが多いように感じています. 以上です. Atsushi Shimono (W3C Team) さん wrote > みなさま > > 完全に流れて行ってしまっていた間のこれではあるのですが、github issueでは > https://github.com/w3c/jlreq/issues/163 > にあります。 > clreqでは > > up to a quarter of the width of a Han character > https://w3c.github.io/clreq/#handling_western_text_in_chinese_text_using_proportional_western_fonts > という上限1/4emという扱いだそうです。 > > > ひとまずのポインタまで > > > On 2020/02/07 19:16, Kobayashi Toshi wrote: > > みなさな > > > > 小林敏です > > > > 和欧文間の空きについて,問題をまとめてみました. > > > > 1 和文文字とラテン文字は設計思想が異なり,文字面と文字の外 > > 枠との間のアキの考え方が異なる.和文をベタ組した場合,ラテン > > 文字と和文間をベタ組にすると詰まった印象を与えるので,その間 > > を少し開けたい. > > > > 2 和文とラテン文字の組合せは,以下のようにいろいろある.こ > > れらのケースで,理想的な空き量は異なってくるが,それぞれの空 > > き量を決めるのは大変なので,これまで,すべて同じ処理を行って > > きた.今後も同様でよい. > > 1)アラビア数字 > > 2)ラテン文字1字 大文字の場合と小文字の場合 > > 3)ラテン文字の複数文字 大文字の場合と小文字の場合 > > 4)ラテン文字の単語 大文字の場合と小文字の場合 > > 5)ラテン文字の複数単語 大文字の場合と小文字の場合 > > 6)その他 “はJ. M. ケインズである“などといった例もある. > > *ただし,見出し,あるいは書名など,個別に処理できるような場合は,特に書名などでは,字の並びに応じ,細かく調整していたので,個別の状況で変更したい場合は出てくるでしょう.しかし,自動処理を前提としてた本文組の場合は,一律の処理でよいでしょう. > > > > 3 活字組版では,伝統的に四分であった. > > これは,活字組版の材料(スペース)が,小さいサイズでは,主 > > に四分しかなかったためである.文字サイズによっては,八分,六 > > 分,1ポイントなどもあったが,これらは薄く,扱いが面倒でもあ > > り,準備している印刷所は限られていた. > > > > 4 活字組版で四分とする理由として,アラビア数字の問題があっ > > た.伝統的に活字組版で混植するアラビア数字の字幅は二分が原則 > > であった.また,ラテン文字の小文字も二分の字幅のものが,それ > > なりにあった. > > 字幅が二分の場合,奇数文字数の場合,前後を四分空けると,全体 > > で文字サイズの整数倍となり,行の調整処理の発生を,いくらか少 > > なくすることができた. > > > > 5 最近の組版では,和文中に使用するアラビア数字の字幅は二分 > > でないものがけっこうある. > > > > 6 DTPなどでは,和欧文間が指定でき,四分より狭いアキにして > > いる例がみられる. > > > > 7 私が,だいぶ以前に比較的に組版を見る目を持っていた方に, > > コンピュータ組版で和欧文間の空きについて見本組を作成し(八分 > > からニ分まで),アンケートをとったことがある.こまかい数値は > > 残っていないが,大方の意見として,六分又は五分がよいという意 > > 見が多かったように記憶している. > > > > 8 DTPが日本で使われ始めたとき,あるDTPソフトは,和欧文間 > > の空き量として四分という指定が可能であった.しかし,この四分 > > は全角の1/4ではなく,半角の1/4,つまり全角の1/8であった. > > このことはマニュアルを仔細に読まないと分からなかったので,1/4 > > の指定をしたつもりが,実際は1/8のアキ量であった,ということ > > である.こうしたものでも,あまり問題とならずに流通していたこ > > とからも,和欧文間の空き量は四分より狭めてよいということを示 > > している. > > > > 以上のことから,和欧文間の空き量は四分より,いくらか狭めた選 > > 択肢が可能になることが望ましいといえよう. ――――――――――――――――――――― 小林 敏(toshi) 2020年 4月28日 e-mail: binn@k.email.ne.jp ―――――――――――――――――――――
Received on Monday, 27 April 2020 23:14:41 UTC