Re: フォント関係のお話

木田泰夫 様

   小林敏です

木田泰夫 さん wrote

> 田嶋さん、
> 
> ありがとうございます。この medium が欲しいというのはどこかに要望として上がっていたりします? もしそうならそれをポイントして、ほら、と言いやすいんですが。
> 
> 一度 JLReq TF で要望をまとめるのも一案ですね。如何思われます? > みなさん
> 
> 木田

この問題は,
 ある種の慣例として使用法があるか
 それとも,デザインの問題としの選択か
と完全にはわけきれませんが,こうした点も考慮した方がよいかも
しれません.

用法の問題

ご存知のように,ラテン文字では,以下の3つは,用法が確立して
います.
 ローマン
 イタリック 強調,外来語,書名など
 ボールド 特別な強調,ベクトル量

和文では,用法として確立しているのは,以下だけでしょう.
 ゴシック 強調

この和文での強調に,最近では明朝体のすこし太めの書体を使う例
が増えている.(ただ,あまり差のない例が,最近は多くて,あれ
なんだかおかしいな,ああ,強調か?と思う例もある.ゴシック体
と違って,明朝体を太くした場合,書体に差がないので,かなり太
字にしないと差がでないのでは,と私は感じています.)

田嶋さんの問題は,だぶん,これだと思うが,私は中途半端な太さ
は,見た目はきれいかもしれないが,あまり賛成はしない.

次に,デザインの問題

この問題は2つのレベルがある
(1)自然に見えるためにウェイトを変える
(2)別の要素だと区別をつけるため,差をつける

活字組版では,フォントのウェイトがなかったというよりは,3段
階または4段階くらいで,母型を変えて,大きな文字では線を太く
していた.ですから,見出しに使う大きな文字は,バランスがそれ
なりにとれていたのです.

それが写真植字やコンピュータ組版ではできないので,ウェイトを
選択しないといけなくなった.ですので,(1)の問題の解決のた
めに,必ず選択しないといけなくなった.

特に見出し(明朝体でも,ゴシック体でも),昔の言葉を使用すれば,中細(中太)は,絶対に必要なもので,本文が細明朝体で,見出しが12ポ程度では,太明朝体は,バランスをこわします.その意味では,“medium”は必要になる.

しかし,活字組版のように,大きな文字サイズになれば,自動的に
それなりのバランスのとれたウェイトになれば,選ばなくてもよく
なる.

区別をつけるため(2)の選択は,これは,要望は際限がないでし
ょう.

ついでに“教科書体”の問題ですが,“教科書体”は楷書体です.です
から,楷書体の指定に教科書体になってもおかしくない.なお,日
本の小学校低学年の筆記の教育で問題がでないようにした楷書体が
“教科書体”で,日本特有の問題だと思います.

以上,ご参考まで.

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 小林 敏(toshi)  2020年 4月22日
 e-mail: binn@k.email.ne.jp
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Received on Wednesday, 22 April 2020 05:07:36 UTC