- From: Koji Ishii <kojiishi@gluesoft.co.jp>
- Date: Sun, 12 Feb 2012 11:04:42 -0500
- To: Yasuo Kida <kida@apple.com>, MURATA Makoto <eb2m-mrt@asahi-net.or.jp>
- CC: "public-html-ig-jp@w3.org" <public-html-ig-jp@w3.org>
実例をありがとうございます。I18N WGで今までにいただいた実例をまとめています[1]が、学習試験などでは村田さんの示してくださったような長めの文章をルビとしてレイアウトする例[2]があるようですし、漢文の注釈もこれに近いレイアウトですね。 以下、少し話題が違うものになっているので、件名を変えます。 > 私はこのシリーズのルビを絶賛しますが、両側ルビをHTML > やCSSでやるべきかどうかについては、また話が別です。 > むしろ、安易な模倣はこのシリーズに携わった人達を失望さ > せるのではないかと思います.複雑ルビを入れるべきかどうか > について論点を整理しませんか。 この文章から村田さんがどのような議論を展開されたいと思っているのか推測が難しいのですが、HTML/CSSの原則から言えば、HTMLはセマンティクス、CSSがレイアウトです。 public-i18n-cjkでAdobeの山本太郎さんも指摘してくださっています[3]が、現段階の議論の中心はセマンティクスです。 その観点から言えば、「複雑ルビを入れるかどうか」というのは、論点の設定としてはちょっと適切でないように思えます。また、「複雑ルビ」とおっしゃっているのはRuby Annotation[4]のcomplex rubyのことをおっしゃっているのだと思いますが、これをそのままHTML5に入れるか、というのがご質問であれば、それはほぼありえないと思います。 必要になるものを整理し、その過程で、両側ルビや二重ルビの実例を調べ、HTML5の概念に沿った形で「一つのベースに対して複数の注釈を付けられるセマンティクスを検討する」ことは必要だと思っています。 そのセマンティクスの設計ができた上で、それを村田さんが示されたような例にレイアウトできる機能をCSS Rubyに入れるか、という点に関しては、おっしゃるように議論が必要だと思います。特に画面上で見ることを前提に考えれば、木田さんのおっしゃられるような新しい、画面ならではの表現方法の方が適切であろうという点に関しては大いに合意します。 また、「複数の注釈を付けられる」はある程度複雑化する可能性があるので、その可能性を現段階で断念して、一つの注釈にゴールを絞るべきだ、という議論はあるかもしれないとは思いますが、今回集まった実例から判断する限り、私は複数の注釈を付けられる可能性は残すべきだと思っています。 村田さんが議論されたい、とおっしゃられているのはどれでしょう? [1] http://www.w3.org/International/wiki/Rb#Real_Examples [2] 問題3 http://www.mie-c.ed.jp/koukou/boshu/h23/kokugo-m.pdf [3] http://lists.w3.org/Archives/Public/public-i18n-cjk/2012JanMar/0048.html [4] http://www.w3.org/TR/ruby/ ---------- From: Yasuo Kida [mailto:kida@apple.com] Sent: Sunday, February 12, 2012 7:12 PM To: MURATA Makoto Cc: Koji Ishii; public-html-ig-jp@w3.org Subject: Re: 両側ルビの実例をご存知の方にお願い (was RE: HTML5 and ruby この例はすごいですね。ルビが空間の都合によって右についたり左についたり。「乳母」はルビも解説も右。「快活」はルビが左で解説が右。解説のかかる範囲が分るように棒線が引かれている。ルビは普通は右側だけれど「愛し」は左。ルビのルビまで登場していますね(乳母の説明の「育てる」にルビ)。 これを組むのはそれは大変な手作業だったと想像できます。さすがにリフローの起こる環境でこれを自動でレイアウトするのは技術的にかなり難しそうです。 今までに見つけていただいた例を見ると、こんな風にまとめられますかね。 ・ある程度の使用例が見つけられる。 ・ほとんどの場合が語義解説、つまりグロッサリーのいち表現形態。 ・その組版(語義のかかる範囲の示し方、左右の使い方など)の方法は様々で確立されたルールがあるわけではない。 これは両側ルビといった組版技術の問題としてではなく、グロッサリーとして表現形態を考える、というアプローチの方が実りがあるような気がします。電子媒体なら、マウスオーバーやタッチなどのジェスチャーで語義がポップアップするなど、紙にはできない表現が可能です。 場合によっては難しい単語の読みもルビとして表さずに随時呼び出せるグロッサリーに任せてしまうという表現の仕方もありますね。 木田 On 2012/02/11, at 21:02, MURATA Makoto <eb2m-mrt@asahi-net.or.jp> wrote: 両側ルビの例として、講談社の「21世紀版 少年少女文学館 シリーズ」があります。これは、世界文学館、日本文学館、 古典文学館からなる全69巻のシリーズです。このシリーズ の特徴の一つは、徹底したルビにあります。 Amazonに、このシリーズの特集ページがあり、画像で 実際のページを示しています。もちろんルビも含まれ ています。 http://www.amazon.co.jp/gp/feature.html?ie=UTF8&docId=1000173306 このシリーズでのルビは、単に読み方を説明するだけ ではなく、少年少女には難しい事項を分かりやすく説明し ています。たとえば、「北の政所」には、傍線が引かれ ており、「摂政、関白の妻の敬称」というルビが右側に ついています。そして、「北」の左側には「きた」、 「政所」の左側には「まんどころ」とルビが振られています。 最初に見たときは、大量のルビが煩わしく思いました。 しかし、実際に読んでみると、これがなかなかいいのです。 本文中に難しいところがあっても、確認したくなればちょっと 視線をずらせばよく、面倒な操作(たとえば脚注番号を辿る など)をする必要がありません。ルビを取り去ったらこの シリーズの魅力は半分になってしまうでしょう。 このシリーズは執筆も編集も組版もたいへんだったと思います. 日本の古典を少年少女に親しませるために一所懸命に工夫したの でしょう。親として子供に少しずつ与えていきたいと思います し、自分でも読みたいと思っています。 私はこのシリーズのルビを絶賛しますが、両側ルビをHTML やCSSでやるべきかどうかについては、また話が別です。 むしろ、安易な模倣はこのシリーズに携わった人達を失望さ せるのではないかと思います.複雑ルビを入れるべきかどうか について論点を整理しませんか。 村田 真 -- Praying for the victims of the Japan Tohoku earthquake Makoto
Received on Sunday, 12 February 2012 16:08:11 UTC