- From: Koji Ishii <kojiishi@gluesoft.co.jp>
- Date: Thu, 16 Dec 2010 09:27:37 -0500
- To: 塩澤 元 (Shiozawa, Hajime) <hajime.shiozawa@gmail.com>
- CC: "public-html-ig-jp@w3.org" <public-html-ig-jp@w3.org>
少し技術論から外れてしまいますが、 >それでも個人的には自動的に行間が調整されるとありがたいと感じています。 >あくまで個人的にはなので気にしないでください。:-) いえいえ、個人的考えをご表明くださるのは大事なことだと思っています。ありがとうございます。 ブラウザーのデフォルト スタイルシートは、どの言語に対して使ってもそこそこであることを目標に設定されているので、そのままでは日本語に適した表示にはなりません。雑誌社が作っているようなページでも、デフォルトのline-heightのままで、そのために読みにくいページが多いのは私は残念に思っています。日本語用に直したスタイルシートをしばらく使ってみると、最初は英語ページに見慣れた目があるので違和感があるかもしれませんが、少し慣れると、驚くほど読みやすいと思います。 読みやすさの研究でも、行間が狭くなると、行の右端から次の行の左端に目を移す時に行を間違えてしまう比率が高くなり、読みやすさ、読む速度、内容の理解率などのすべてに悪影響が出る、という実験結果があります。 この辺は、釈迦に説法になってしまうようなすごい方がきっとこのMLにはたくさんいらっしゃるんだと思いますが、日本語では、ルビのないページでも150%程度が最小に近い行送りだと認識しています。例えばMS Wordは言語ごとにデフォルトのスタイルを変えられるので、日本語版では170%くらいに設定していますし、以前に山本さんがTeXで使っていらっしゃるline-heightを示してくださいました。 http://lists.w3.org/Archives/Public/public-html-ig-jp/2010Dec/0001.html これくらい空いていれば、ルビを入れてもずらす必要がありません。ページを作られる機会があったら、ぜひline-heightを少しだけ気にしてみてください。 塩澤さんのおっしゃられた行間の自動調整も、一つの可能性だと思っています。おそらくここ半年から一年くらいの間に、ブラウザーでの行送りをどうするか、という議論をこのML含めていろいろな方とさせていただいて、方向性を出していきたいと思っていますので、その枠組みの中で取り得るオプションの一つとして、また相談させてください。 -----Original Message----- From: 塩澤 元 (Shiozawa, Hajime) [mailto:hajime.shiozawa@gmail.com] Sent: Thursday, December 16, 2010 10:20 PM To: Koji Ishii Cc: public-html-ig-jp@w3.org Subject: Re: ルビと行間についてご意見ください 塩澤です。 >・日本語を読みやすく作りたいなら、特にルビを入れるのであれば、最低でもline-height:1.5以上を使うのは著者の責任 >・ルビが入るだけの行間が空いているのであれば、行送りを一定に揃えるのがW3C/ブラウザーの責任 >と分けた方がすっきりするのではないでしょうか。 この分離についてはすごく納得できました。 ページ製作者とW3C/ブラウザの責任の分離は大事ですね。 確かに、Web でルビがなかなか使われていない現状を考えると、私が提案した方式では挙動が一気に変わってしまうので、製作者側の混乱を招いてしまう可能性が高いですね。 それでも個人的には自動的に行間が調整されるとありがたいと感じています。 あくまで個人的にはなので気にしないでください。:-) >なお、日本語は、ルビに限らず、行の送りを一定にすることにこだわりが強いため、これに対する根本解決案がいくつか提案されています。 >一つ目が90年代にMSが提案したdocument gridあるはline gridと呼ばれるもの、もうひとつがCSS line boxで提案されているline-stacking-strategyで「行の送りを一定にする」モデルをCSSでサポートしましょう、という案です。 >塩澤さんがおっしゃられている問題の根本解決は、このいずれかになると思っています。 >どちらの仕様ももう数年更新がないまま止まっていますので、来年のどこかで再スタートさせられれば、というのが私の希望的観測で、そのための予備調査を丁度始めようとしているところです。 ご説明ありがとうございます。 行送りに関する仕様が進んでいくと、日本語組版が一気に充実しますね! ブラウザの行レイアウトに関する実装は非常に複雑で、そう簡単には取り組めないので、Webkit の David さんが興味をもってくれていることは非常に嬉しいです。 丁寧な返信ありがとうございました。 塩澤 -- # 青山学院大学大学院 # 理工学研究科 知能情報コース # 塩澤 元 (Shiozawa, Hajime) # mail: hajime.shiozawa@gmail.com
Received on Thursday, 16 December 2010 14:30:58 UTC